愛美×水瀬いのり 特別対談 声優と音楽の仕事、仲良し二人組がお互いの共通点を語り合う

愛美「いのりんの歌が引っ張ってくれるような感じがある」

ーー第二部で印象的な場面はありましたか。

愛美:牢屋のシーンかな。

水瀬:そうだね。カルラが囚われていて。

愛美:囚われの身であり、今後、処刑されるかもしれないという場面で、今の心境を明かすのですが、そこにカルラの自己犠牲の性格が表れていて。自分を犠牲にしても、大切なひとを守りたいという気持ちが明確に言葉として表れたシーンがあるんですね。

水瀬:カルラの今後が決まるというか。どう生きていきたいのか、カルラのあり方もすごく描かれていて。

愛美:二人の関係性もあのシーンでだいぶ見えたよね。今まで、親友ではありつつも。

水瀬:一緒に語るようなシーンはそんなになくて。

愛美:あそこまで話せる仲なんだというのがそのシーンでかなり出ているんです。

水瀬:一緒に声を録れたのは嬉しかったね。

ーーリーシアとカルラの掛け合いを楽しみにしてます。そして、楽曲ですが、第一部につづき、オープニングテーマ「REAL-EYES」は水瀬さんが担当されています。

水瀬:作詞家さんと作曲家さんは変わっていますが、第一部で歌わせていただいた「HELLO HORIZON」から、どこか引き継げる部分があるような曲になっていたらいいなと考えました。「HELLO HORIZON」があるから「REAL-EYES」があるし、「REAL-EYES」があるから「HELLO HORIZON」があると感じられるような2曲になったら嬉しいと思っていたんですね。

 私自身、続編が描かれるアニメのオープニングを続けて担当するのは初めてだったので、同じ作品の中で、自分の違う曲が流れるのはすごく新鮮な気持ちでした。「HELLO HORIZON」で描いた、ありのままの自分を認めて、そんな自分を誰かが必要としてくれるということに気づけた主人公が、「REAL-EYES」では、“Realize”、つまり、しっかりと現実を固めながら夢や理想に向かっていく。そんなところが作品の展開とマッチしていて。自分がしっかり地に足を付けて立ってこそ、夢やロマンを語れるものだなと思うので、私自身も頷けるところがありました。夢物語ではなくて、それでも進まないといけない現実を背負いながら進んでいく楽曲の主人公とソーマがリンクするなと思ってます。

ーー引き継いだものというのは?

水瀬:自分らしさですかね。誰でもない自分が歩む一歩。第一部ではいろんな個性を持った人たちを集める宝珠放送がありましたけど、なかには自分の中で個性とは呼べなかった人もいると思うんですよね。ちょっと変わってるなとか、ちょっと人と違ってるな、くらいにしか思ってなかった人もいた。でも、それが何かのきっかけになることをソーマが教えてくれたように、一人ひとりが持っている自分らしさを確立していく物語なので、ありのまま、自分らしさというのは、どちらの曲にも通ずるかなと思います。

ーー愛美さんは「REAL-EYES」を聴いてどう感じましたか。

愛美:前作と比べて、優しく穏やかで包み込んでくれるような歌声になっていて。その歌声からメッセージ性が前作と変わっているのを感じていたんですよね。前作は、個々の葛藤がある中で、みんなで頑張っていこうと背中を押してくれるような楽曲だなと感じたんですけど、今回は、言わなくてもわかるような絆ができている状態で、いのりんの歌が引っ張ってくれるような感じがあって。お互いに信頼しあってるチームの歌なのかなと思って。〈留まるな〉っていうサビの最初のメッセージもいいですよね。いくぞ! と先陣を切って率いてくれるような力強さを感じつつも、どこか包まれる、大地のようなものも感じました。

ーー歌い方の違いは意識しましたか?

水瀬:そうですね。「HELLO HORIZON」は“守ろうと決めた”ところで終わるので、守るべきものを見つけて、何のために戦うのか、何のために明日を生きるのかを知った主人公が歌う「REAL-EYES」だと思っていて。大切なものを知った上で生まれる慈愛という気持ちは、成長していく過程で得るものだと思ったし、前回よりも、尖っていないというか、諦めていない。歯を食いしばって、力づくでも、必ず明るい未来を取り戻す。そんな未来のために進むんだっていう思いは込めました。

愛美:希望を感じましたね。

水瀬:お! 嬉しい。

水瀬いのり「本当に歌詞が大好きで、何度も何度も読んでいます」

ーー(笑)。そして、エンディングテーマ「LIGHTS」ですが、作詞を愛美さん自身が手掛けてます。

愛美:初めてタイアップ作品の作詞をして。

水瀬:すごい! すごいです。

愛美:アフレコの時に結構、相談したよね。

水瀬:そうだね。「どうしよう?」って言いつつも、きっともう8割くらいできてるんだろうなと思いながら話してました(笑)。

愛美:「いつもどうしてるの?」って聞いたりして。

水瀬:でも、もう作詞数を超されていますからね。あっという間にあいみんは書いていくので、すごいですよ。

愛美:いのりんは、「すごい」ってずっと褒めてくれるんだよね。

水瀬:歌詞の表現が曲によってガラッと変わるのもすごいと感じていて。あいみんの中にいろんな引き出しがあるんだなって思います。

愛美:そんなことないよ(笑)。全部、褒めてくれるんですよね。歌詞を書く悩みもわかってくれた上で、「大丈夫だよ」って言ってくれて。褒められたエネルギーをパワーにして頑張りましたけど、アニメの曲の歌詞を書くのは初体験だったので、苦戦はしました。自分の思ったことを書けばいいというわけではなかったので、作品の伝えたいメッセージを感じるべく、第二部のシナリオも見させていただいて。全話を通して伝えたいことはなんだろうか、主人公が大事にしているものはなんだろうかって。コミカライズも全部、見直して書いていって。でも、作品が伝えたいことは、結構、オープニング曲で全部言っちゃってることが多くて(笑)。だから、エンディングでは何を伝えればいいんだろう? って思ったんですけど。私が一番ヒントにしたのは、ソーマがおじいちゃんと話す冒頭のシーンでした。

ーー両親のいないソーマに、育ててくれたおじいちゃんが、家族について話してました。

愛美:「家族の絆を紡いでいれば大丈夫だ」っていうことを言っていて。この言葉が全部に通じているんだろうなと思って。リーシアとお父さん、お母さんの関係もそう。そこを元にちょっとずつ紐解いていって。国王という立場に立って、ソーマは選択を迫られる機会が多くなったし、責任も問われるようになったと思う。その中での葛藤とか、人間誰しもに訪れる選択の場面とか。その時に感じることはなんだろう? っていうのを歌詞に落とし込んでみました。選びとったものが間違いじゃなく、確かに未来に生きたり、輝く明日につながるんだよって。自分も希望を感じたくて、そういう歌詞にしてみました。

水瀬:本当に歌詞が大好きで、何度も何度も読んでいます。あいみんが「人間誰しも」と言ったように、特定の誰かじゃなくて、大きく訴えたい、伝えたい思いなんだろうなと思って。空に向かって、自分はこう生きるよっていう意思表示のようなものを感じたんですよね。自分が歩んできた道や過ち、いろいろな選択を受け止めながら、それでも進んでいくんだっていう意志の強さが、私が歌うオープニングにも通じる部分があって。精神年齢がまた1つあがった主人公の歌だなというのを思いましたし、〈幼すぎたんだ〉というフレーズが入っているので、自分というものをさらに冷静に見ながら、自分自身を見つめ直しながら生きていく人の歌なんだろうなと感じ取りました。

愛美:もう、全部伝わってる!すごい!

水瀬:問いかけの部分はやっぱり、はっとなるよね。〈「なにを選べばいい?」〉〈「なにが正しいのか?」〉って聞かれた時に、自分はすぐに答えられるかな……と思いますし、ドキッとなりましたね。

愛美:嬉しい。自分の作詞のテーマとして、より多くの人の悩みに届いて、少しでも救えたらなという思いがあって。戦うというワードや、メッセージ性の強さは、争いのある『現国』の世界観だからこそ書けたと思うんです。どの時代にも友情はあるし、どの時代もみんな悩んで葛藤しているし、未来にも過去にも、みんな選択は迫られている。ソーマは別の世界から来たけど、それとは関係なく、共通してみんなに悩みはあって。それを少しでも軽い気持ちにできたらなという願いも込めました。あと、ソーマが一人で葛藤して、一人で悩んでるシーンも印象的で。あんなに強そうなソーマだけど、涙するところもある。ずっと恐怖と戦い続けながら生きているので、ソーマみたいに一人で悩んでいる人とか、助けを求められないような立場の人にも届けばいいなと思っていましたね。

ーー愛美さんの歌声については水瀬さんはどう感じましたか。

水瀬:掠れた息の多い雰囲気から、サビに向けて力強い歌声になって。歌詞を読むだけでは予想ができない歌い方や歌心がいっぱいあったし、流れるように紡がれていくフレーズが心地よくて。改めて、あいみんの歌の表現って幅広いなと思いましたね。普段もあいみんの音楽を聴いているけど、今回はまた違った歌声とアプローチになっている。意外性もあるし、これから先、第二部の物語が進んでいくにつれて、このエンディング曲の意味がどんどん立証されていくんだろうなと思って。余韻もありつつ、大人っぽさもあって、めちゃめちゃカッコよかった。静かなカッコよさがあった。

愛美:嬉しい! 私、めっちゃ悩みがちなんですけど、悩むときは、本当に声にならない気持ちが溢れてくるというか。そこを表現できたらいいなと思って、話しているような歌い方や、声にならない声、言葉がうまく出ないような息の使い方を試してみました。

ーーダークで深みのある歌声になってますよね。タイトルにはどんな思いを込めましたか。

愛美:命の灯火を表していていつか消えてしまうかもしれない戦うみんなの命の光が、未来を照らしているという意味を込めました。今を全力で生きるからこそ美しいというような、はかなく燃える生命を表現しています。

ーー今、「未来」という言葉がありましたが、お二人はどんな未来を望んでますか。

愛美: 家が好きなので、家にいたいです。

水瀬:え!? 外、出なくなっちゃうよ。

愛美:家でできることと言えば、最近、Photoshopの勉強をはじめています。これ、職業にできないかなと思って。……もちろん、声優やアーティスト活動も頑張るのは大前提で。人生、いろんな選択肢があるなと思って。

水瀬:パソコンがあれば、会社に行かなくても仕事ができるようになって、コロナ禍で家で声を録る人もいましたしね。私は平穏で、自然あふれる場所で暮らしたいですね。いつかは東京以外の場所で生活してみたいと思ってます。

ーー東京出身なのに?

水瀬:もう楽しみ尽くしたというのもありますね。私は、占いだと、「同じ場所にいるとよくない」と言われることが多くて、転々とした方がいいらしいんですよ。「環境を変えましょう」とか、「冒険も好き」って言われて。確かにそうなんですよね。旅行に行くと明るくなるタイプで、めちゃくちゃ店員さんと喋っちゃったりして。仲良くなりすぎて、帰る時に泣いてくれたこともありました(笑)。そういう、異なる環境に行った方が、いつもとは違う性格になれるっていうのを体験していて。でも、コロナ禍で海外旅行には簡単にいける状況ではなくなってしまったので近い将来とは言えないですが、海外に行ってみたり、国内でも、今自分が触れている世界とは全く違うところに行ってみたい。サバイバル生活とかめちゃくちゃやりたいんですよ。不便も便利も両方知って、自分の価値観を一回リセットしたいなというのはよく思いますね。

愛美:真逆だね。

水瀬:確かに(笑)。

ーー空気感が似ているという始まりでしたが、引きこもりたい人と冒険者という真逆のタイプであることがわかって終わるという……。

水瀬:でも、私も一人旅なので、二人とも孤独というところは似てますけどね(笑)。

ーー(笑)。最後にアニメの第二部を楽しみにしてる読者にメッセージをお願いします。

愛美:初めてタイアップ作品の作詞をさせていただいて、1行ずつ全部説明できるくらいの気持ちと愛を込めて書かせていただきました。ぜひ、何度も聴いていただけるような楽曲になったらいいなと思います。アニメとしては、カルラのいろんな一面が見れると思うので楽しみにしてくれたら嬉しいです。

水瀬:第一部でも描かれていましたけど、第二部ではさらに命のやりとりが描かれています。喜ぶ人がいるということは、悲しむ人がいて、光があるということは影があるというところが現実的に描かれている作品だと思います。私たち二人がそれぞれ歌っている楽曲も、そういうシリアスさがありつつ、それでも救いのある、希望のある物語を表現しているので、楽しんでいただけたらなと思います。そして、それぞれ第一部のオープニング/エンディング曲も担当しているので、2つの楽曲をもう一度聴いて、繋がりや成長を感じてもらえたら。たくさんたくさん聴いてください!

■リリース情報
水瀬いのり「REAL-EYES」
配信中
作詞:RUCCA 作曲・編曲:藤間 仁(Elements Garden)
※TVアニメ「現実主義勇者の王国再建記」第二部オープニングテーマ
配信リンク:https://lnk.to/REALEYES_inoriminase

愛美「LIGHTS」
作詞:愛美 / 作曲:佐藤 樹, Kon-K 編曲:Kon-K / ストリングス編曲:岸田勇気
TVアニメ「現実主義勇者の王国再建記」第二部 エンディングテーマ
配信リンク:https://lnk.to/AIMI-LIGHTS

■アニメ情報
アニメ『現実主義勇者の王国再建記』

<放送情報>
TOKYO MX:毎週土曜25:30~
BS11:毎週土曜25:30~
HTB北海道テレビ:毎週水曜25:50~
アニマックス:1月22日(土)より毎週土曜19:30~

<配信情報>
FOD にて独占配信中(毎週⼟曜 25:30より最新話更新)

原作:どぜう丸(オーバーラップ文庫刊)
キャラクター原案:冬ゆき
監督:渡部高志
脚本:大野木寛
キャラクターデザイン:大塚舞
音楽:立山秋航
音響監督:明田川仁
音響効果:小山恭正
音響制作:マジックカプセル
音楽制作:キングレコード
プロデュース:WOWMAX
アニメーション制作:J.C.STAFF

ソーマ・カズヤ:小林裕介
リーシア・エルフリーデン:水瀬いのり
アイーシャ・ウドガルド:長谷川育美
ジュナ・ドーマ:上田麗奈
ハクヤ・クオンミン:興津和幸
トモエ・イヌイ:佳原萌枝
ポンチョ・パナコッタ:水中雅章
カルラ・バルガス:愛美
ロロア・アミドニア:M・A・O
マリア・ユーフォリア:金元寿子
ジャンヌ・ユーフォリア:石川由依
公式サイト
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<締切:2月27日(日)>

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