CYNHN、アルバム『Blue Cresc.』収録曲から見るユニットの現在地　変化していく“青”と未来を感じさせる内容に

　以上、注目曲をいくつかピックアップしたが、『Blue Cresc.』の青盤のみ、「2時のパレード」と「ごく平凡な青は、」のリミックスバージョンが収められており、こちらもぜひ聴いてほしい。前者は「レア」の作曲・編曲を担当したKan Sanoが制作したもので、エレクトリックなビートが原曲とは違った世界へといざなってくれる。後者は新進気鋭のサウンドメイカー・quoreeが激走するロックチューンを大胆に分解し再構成。「水の中の」と近い音像で、ユニットの“これから”を暗示しているようだ。

　ご存じの通り、CYNHNは常に「青」にこだわってきた。所属レーベルは＜I BLUE＞、あざやかな“蒼”を基調にしたビジュアルと演出、“青”の世界観を取り入れたサウンドメイクなど、これほど徹底してひとつのイメージを貫くアーティストはあまりいないだろう。

　新作『Blue Cresc.』では、CYNHNが歩んできた時間とともに変化していく“青”を表現する一方で、希望に満ちた未来を感じさせる内容になるように、意図したと聞いている。特に新曲はこのような思いを前面に出したかったのか、他の楽曲よりもポジティブなオーラを感じさせる。その輝きは夜が明ける直前の“青”のようだ。

　前作『タブラチュア』では自分の気持ちに正直な等身大の歌詞が強く印象に残ったが、『Blue Cresc.』はだいぶ様子が変わっている。世界中の人々の不安やとまどい、悩み、コロナを乗り越えた先の未来――。メンバー4人は自身の「青さ」は残しつつも、そうしたものまでも青色で描いていく。ちなみにアルバムタイトルは、より青が濃く深まっていくことを意味するという。まさに言い得て妙である。彼女たちの「青」はこれからも着実に進化し濃くなるに違いない。

■リリース情報
2022年2月2日発売
『Blue Cresc.』（ブルー・クレッシェンド）
初回限定盤(CD2枚+DVD)　価格：¥5,000 / TECI-1763
青盤(CD) 定価：¥3,000 / TECI-1765

＜収録内容＞　※-ν- は新レコーディング音源
01：AOAWASE （作詞・作曲：渡辺翔 / 編曲：笹川真生）
02：レア　（作詞：渡辺翔 / 作曲・編曲：Kan Sano）
03：２時のパレード -ν-　（作詞・作曲：渡辺翔 / 編曲：高橋諒）
04：氷菓 -ν-　（作詞：武市和希 / 作曲：mol-74 / 編曲：トオミヨウ）
05：インディゴに沈む -ν-　（作詞・作曲：草野華余子 / 編曲：草野華余子・eba）
06：解けない界面論 -ν-　（作詞・作曲：渡辺翔 / 編曲：笹川真生）
07：夜間飛行 -ν-　（作詞：蒼山幸子 / 作曲・編曲：トオミヨウ）
08：水の中の　（作詞・作曲：高橋國光 / 編曲：ケンカイヨシ）
09：水生 -ν-　（作詞・作曲：渡辺翔 / 編曲：eba）
10：イナフイナス -ν-　（作詞・作曲：渡辺翔 / 編曲：ケンカイヨシ）
11：くもりぎみ -ν-　（作詞・作曲：渡辺翔 / 編曲：笹川真生）
12：ごく平凡な青は、 -ν-　（作詞・作曲：渡辺翔 / 編曲：eba）
13：アンサンぶる　（作詞・作曲：渡辺翔 / 編曲：eba）
14：2時のパレード Kan Sano Remix　（作詞・作曲：渡辺翔 / 編曲：Kan Sano）　※青盤のみ収録
15：ごく平凡な青は、quoree Remix　（作詞・作曲：渡辺翔 / 編曲：quoree）　※青盤のみ収録

[初回限定盤 特典CD]
CYNHN「LIVE TOUR 2021 -AOAWASE-」Live CD（From Nagoya & Osaka）

[初回限定盤 特典DVD]
CYNHN「レア」Music Video＆メイキング

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