flumpool、温かいアンサンブルで伝えた15年分の感謝 新たなスタート切った初のビルボード公演

 2021年のflumpoolといえば、所属事務所から独立し新会社を設立するなど環境が大きく変化。中盤のMCでは山村が「思い返してみればその一歩も一人じゃ踏み出せなかったんですよね」と語り、人と人との関係について深く考えさせられた1年だったと振り返った。また、‟誰かといると強くなれる、前向きになれる”という自身の性質を顧みる年になった、とも。そんな素直なMCのあとに演奏されたのは、同じく素直な言葉の詰まった「Snowy Nights Serenade ~心までも繋ぎたい~」。ウインドチャイムの音色やパウダースノーのような照明はもちろんこの季節にぴったりだが、〈泣いた日々も 悔やんだ日々も あったりした今年だけど/やがて来る明日を 笑って迎えられる そうありたい〉と歌いつつ、目に入る限りの全ての人へ「心からありがとう」と伝える歌詞の内容が今のflumpoolにぴったりで、選曲された背景に思いを巡らせたくなった。

 途中でメンバーも言及していたように、ビルボードはステージと客席との距離が近い。どのくらい近いかというと、上階席にいる観客の表情をステージから確認できるほど。そんな距離感で観に来た人に手渡すように自分たちの音楽を届けること、いろいろあった2021年をそんな1日で締め括ることが彼らにとって大事だったのではないだろうか。心を許しきっているような、メンバーの穏やかな表情を見てそう感じた。だからこそ、アルバムに収録される新曲「A Spring Breath」をアンコールで披露することで、自分たちが今伝えたいことを直接届けていったのもバンドにとって自然な流れに思える。「A Spring Breath」はコーラスが印象的なアッパーチューンで、シンプルかつ温かみのあるサウンドが聴く人に寄り添ってくれるようだった。

 時系列が前後するが、本編ラストには、結成15年のバンドによる“大人の冒険”と語られたビルボードライブを特に象徴する初期曲=「花になれ」「labo」「星に願いを」が演奏された。テンポをグッと落とした「花になれ」、あのイントロフレーズがアコギで演奏されるのが新鮮だった「labo」と原曲から大きく雰囲気を変えた2曲に対し、「星に願いを」はリズムやキメをおおよそ踏襲。これまでのライブでの光景を思い出させてくれるようなアレンジに盛り上がる観客を見て、笑顔で頷くメンバーであった。「皆さんの愛情をすごく感じました。今年も1年ありがとうございました」と山村。その愛を糧にしながらflumpoolの2022年が始まっていく。

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