SOMETIME’S、ついに実現した渋谷WWWワンマン 良き歌とサウンドで真っ向勝負、ライブだからこそ味わえる魅力も

 「3人目のSOMETIME’S」こと、楽曲のアレンジとマニピュレーターをつとめる藤田道哉をはじめ、清野雄翔(Key)、佐々木恵太郎(Ba)、冨田洋之進(Omoinotake/Dr)、ぬましょう(Per)、永田こーせー(Sax)、大泊久栄(Tp)といった7名のメンバーを紹介すると、ライブはそろそろ終盤へ。ファンキーなグルーヴに乗り、SOTAが自由奔放なフェイクで叫びまくる「Stand by me」を終えると、余韻の中でTAKKIがゆっくりと話し出す。コロナ禍で負った精神的ダメージのこと。オモロイ相棒、ソウちゃんのこと。彼が隣にいたから、この状況を乗り越えられたこと。

 つらいことがあっても僕らはやめない、という歌を書いてきました。最後にそれをやります――。その「You and I」は、ねばっこくファンクでしっかりロックなサウンド、勢いあるホーン、オーディエンスを巻き込んだクラップの一体感が文句なく楽しい。そしてラストにもう1曲、さらに明るく楽しくハッピーな「Honeys」を披露して本編を締めくくる、高揚感あふれるフィナーレに、客席からの熱い拍手が止まらない。

 二人だけでは何もできない。みんなに支えられて、ますますこの輪を広げていきたい。「一緒に大きくなっていきましょう」と、SOTAの熱い呼びかけで始まったアンコールタイム。「Slow Dance」「Morning」と、心躍るグッドメロディ、自然に体が動く大らかなグルーヴ、SOTAが放つ天性の楽天的オーラ、TAKKIのデリケートかつ大胆なギターセンス。音源を聴いているだけではわからない、間近で体感するSOMETIME’Sは、確かに「ライブバンド」だった。

 「愛してます、どうもありがとう!」。笑顔で手を振り、そしてメンバーの忘れ物がないかいちいちチェックする、SOTAのお茶目な仕草にこちらも自然と笑顔になる。音楽的には、流行の音を追いかけるよりも、60年代のソウルやファンク、70年代のダンスクラシック的な要素、そしてシティポップのエッセンスなどの、良き部分をアップデートしたサウンドで、堂々と王道を往く。良き歌、良きギター、良きサウンドで真っ向勝負の清々しさ。これは注目されて当然だと、納得の90分。この場所からどこまで高く遠く飛べるか、この夜の向こうにSOMETIME’Sの明るい未来が見えている。

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