GALNERYUS、新旧楽曲を織り交ぜて提示した“最高”を超える姿 新体制で臨んだ最新ツアーを振り返る

 新編成での初ツアーということもあってか、アンコールでは久しぶりにカバー曲も披露された。この日用意されたのは、過去にもカバーした経験があるScorpionsの名曲「Rock You Like A Hurricane」。GALNERYUSのオリジナル曲と比較すれば非常にシンプルな演奏&アレンジながらも、根底からはバンドのルーツがしっかりと感じられ、小野の圧巻のボーカルパフォーマンスと相まってほかの楽曲と同様に楽しむことができたことだろう。

 以降は小野加入から間もない時期の「TEAR OFF YOUR CHAIN」や、前任ボーカル時代の「FATE OF THE SADNESS」「BRAVING FLAG」といった曲を連発。現編成でリメイクされた2曲を含め、ここまでのセットリストを見ると新作以外の過去曲が比較的初期〜中期の楽曲で構成されていることに気づく。カバー曲含め、今回のセットリストには「新たなメンバーを迎えて制作された新曲を通じて“現在進行形のGALNERYUS”をアピールする」と同時に、「LEAに対してGALNERYUSのルーツをメンバー自らが伝える」……そんな意図が感じられる。これもバンドがさらに前進していくために必要な作業なのだろう。だとしたら、そんな姿を目の当たりにできた今回のツアーは非常に貴重な機会だったのではないだろうか。

 そんなことをぼんやり考えていると、終盤には比較的最近の楽曲「RAISE MY SWORD」が突如飛び込んでくる。初期楽曲とあわせてこの曲が選ばれたことも非常に興味深い。改めて「GALNERYUSらしさとは?」という命題と向き合った、そんな意味のあるセットリストのように思えてくるから不思議だ。演奏を終えると、SYUが「みんな、いろいろあるのはわかっているので、観てくれるだけでいいので」とライブに足を運んでくれたオーディエンスに対して感謝の言葉を贈る。その姿はどこか感極まっているようにも見え、客席側のこちらにまでその熱い思いが伝わり涙腺が緩む。

 しかし、こんな湿っぽい空気のままGALNERYUSのライブは終わらない。この日3度目のアンコールにしてラストナンバー「DESTINY」では、まるで心の中での大合唱が聞こえてきそうなほどにエモーショナルで、未来は明るいという暗示のような多幸感に満ち溢れ、最高潮を迎えたところでライブは幕を下ろした。

 ツアーを終えたGALNERYUSはこのあと、楽曲制作期間に突入するという。過去最高傑作と謳われる最新オリジナルアルバム『INTO THE PURGATORY』(2019年)を経て、新たな編成での第一歩となったスペシャルアルバム『UNION GIVES STRENGTH』で見せた「最高を超えていく」片鱗が次のオリジナルアルバムでどう開花するのか。今回のツアーを観れば、その答えは明白だ。過去を超え続ける最高の1枚を待ちながら、今はこのライブの余韻に浸りたい。

GALNERYUS "FIND THE WAY TO OVERCOME" TOUR 2021 (For J-LOD LIVE)

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