INIとBE:FIRST、新世代ボーイズグループから光る“令和っぽさ”の正体
11月3日にデビューするINIとBE:FIRST。2021年にオーディション番組から生まれ、奇しくも同日にデビューを飾る2つのボーイズグループには、どちらも独自の「令和っぽさ」が光っている。
旧来の価値観から解き放たれた、繊細な距離感
INIは、サバイバルオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』から生まれた11人組のボーイズグループだ。彼らの「令和っぽさ」といえば、メンバー同士の絶妙な距離感だろう。
彼らはオーディション番組中に長い時間を一緒に過ごしてきたこともあり、結成数カ月ながら非常に密接な絆を築いている。サバイバルオーディションという過酷な環境で育まれる強い絆に視聴者は胸を打たれるものだ。
だが、INIには少し独特で繊細な雰囲気がある。その空気感は、YouTubeにアップされた木村柾哉&許豊凡の「[INI Korea Vlog Tour] 〜人生写真編〜」で顕著に表れていた。メンバー達が韓国でオフを楽しむ穏やかな動画なのだが、そこに映っていたのは「アイドルがわちゃわちゃしている」という次元を一つ飛び越えたものだと感じた。
彼らは無邪気に寄り添い、互いを思いやり、カフェやプリクラを楽しむ。長く平成の時代を生きてきた筆者には、そんな彼らの様子が、旧時代の「男らしさ」、マッチョイズムと呼ばれるものから、幸福に解き放たれているように映るのである。ジェンダーについて語られる機会も増えている今、こういった「新しさ」が当たり前のものになってほしいというのが個人的な願いである。
コロナ禍でも手を伸ばす、ファンとのつながり
また、ファンとの距離感も、INIの持つ「令和っぽさ」だ。INIは、SNSの更新が非常にマメである。多忙なデビュー準備期間中、毎日必ずメンバーがTwitterに投稿するほか、LINE公式アカウントも開設された。そして、各メンバーからのメールを受け取れるプライベートメールサービスでは、連日ブログのような長文を送るメンバーも多い。
彼らのグループ名には、『11人の僕たち(私:I)があなた(I)と繋がり合う(Network)』という意味がある。コロナ禍で生まれたグループだからこそ、ネットワークを介してファンと繋がる様々な試みが、それぞれの場所を生きるファンの支えになることだろう。
そんなふうに、旧来の価値観から一歩抜け出た印象を持つINIだが、彼らのデビュー曲「Rocketeer」では非常にパワフルなパフォーマンスを見せつけている。そのギャップもまた、彼らの魅力である。