2021.06.26 12:00

Maroon 5は全盛期を更新し続けるーー1stから新作『ジョーディ』まで、紆余曲折のバンド史を振り返る

文＝ノイ村

　リードシングルとして発表された「ビューティフル・ミステイクス」では現代を代表するラッパーの一人、メーガン・ジー・スタリオンをゲストに、さらにプロデューサーにはブラックベアーとアンドリュー・ゴールドスタインのタッグを迎えているが、このタッグによる軽快でリラックスしたポップロック風味のサウンドを受け継ぎながら、Maroon 5らしい甘く包み込むような質感へと見事にアップデートしている。アダムの甘い歌声からミーガンの明快なラップへ、さらにミーガン自身の美しい歌声へと切り替わる楽曲展開も鮮やかで、Maroon 5の手腕をまたしても実感させられる見事な一曲だ。今作は、これまでの作品の中でもR&Bの側面が特に強く打ち出されているが、バンドが生み出す濃密な音空間の中でH.E.R.とアダムの溶けそうなほどに美しい歌声が折り重なる「コンヴィンス・ミー・アザーワイズ」は、バンドの20年に及ぶキャリアの中でも屈指の名曲であると言ってもいいだろう。

Maroon 5 - Beautiful Mistakes ft. Megan Thee Stallion (Official Music Video)

　今回のアルバムタイトルの『ジョーディ』はアダムの幼馴染であり、バンドの元マネージャーであったジョーダン・フェルドスタインの通称で、本作は2019年にリリースされた「メモリーズ」同様、彼へ捧げられた作品でもある。ポップシーンの激流の中でバンドの歴史を共に歩んできた友人への想いを引き継ぎながら、Maroon 5は時代に合わせて武器を変え、コアを磨きながらこれからも歩み続けるのだ。

Maroon 5 - Lost (Official Music Video)

■ノイ村
92年生まれ。普段は一般企業に務めつつ、主に海外のポップ／ダンスミュージックについてnoteやSNSで発信中。シーン全体を俯瞰する視点などが評価され、2019年よりライターとしての活動を開始
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