GRANRODEOが示し続ける“最強”の姿　OxT、FLOW、西川貴教と祝った15周年フェスを振り返る

コロナ禍に贈った前向きなメッセージ

　オープニングナンバー「SINGularity」に合わせてクラップが鳴り響く中、満を持してといった雰囲気で登場した西川貴教。「2021年最初のライブを、GRANRODEOの15周年に捧げるためにきました」と声をあげてステージが始まった。スケールの大きなサウンドの「Roll The Dice」。デジタルとロックが融合したサウンドの「His/Story」では、本来観客みんなで〈Wow…〉と声をあげるところでは、観客は代わりに拳を振り上げて盛り上がる。

　この日は他に、「REBRAIN In Your Head」など、アルバム『SINGularity』の収録曲を歌った西川。MCでは「歌う意味はあるのかと考え続けた1年、答えはバカみたいに単純だった。誰かのために歌いたい、ただそれだけ」と、コロナ禍の思いも語った西川。「Hear Me」では、大きな時代の流れに身を任せながら、その中で歌うことを止めない大きな意思を感じさせた。

　また「思いを込めてこの曲を」と、『RODEO FREAK』にも収録されたGRANRODEOのカバー「偏愛の輪舞曲」を披露。ダークさのある雰囲気が西川の世界観ともぴったりで、上半身をはだけて腹筋を露わにしながら圧倒的な歌唱力で聴かせる西川に、観客は心で大歓声を送った。

　ライブ後は西川のトークに、KISHOWがあたふたするというレアなシーンが会場を笑わせた。KISHOWが西川の歌った「偏愛の輪舞曲」を褒めると、「じゃあこれからは自分の曲としてやっていこうかな」と、最後まで西川ペースでトークに花が咲いた。

　そしてトリを務めたのは、もちろんGRANRODEO。グルーヴィーなサウンドの「Pierrot Dancin'」からスタートし、マイクを斜めに構えてロックスター然としたスタイルでシャウトしまくるKISHOW。その傍らで寡黙にギターを奏でるe-ZUKA。やはりこの2人は最強だと思わせる立ち居姿に、心が震わされた。

　3月10日発売のコンセプトミニアルバム『僕たちの群像』から、同作の1曲目に収録の「未来線を上って」もいち早くお届けした。キャッチーなサビはそのままに、GRANRODEOにしてはポップで爽やかな雰囲気の楽曲で、学生がそれぞれの進路と向き合う卒業シーズン間近のこの時期を楽曲で彩ってくれた。

　MCでは3組のステージを振り返り、「鳴り止まない歓声が、俺には聞こえています」とKISHOW、「もうお腹いっぱいです」とe-ZUKA。「いつかまた声が出せる密なライブが出来るまで、このライブが助けになればいい」（KISHOW）、「幸せなライブが出来ました。生きて乗り切って、いつか大声で騒げるライブをやりましょう」（e-ZUKA）

　有観客でのライブがままならない状況で、多数のアーティストが集結するフェスを開催するのは覚悟のいること。準備もろもろにかなりの時間と労力を要したことだろう。それを実現させたGRANRODEOとスタッフの努力と思いに、全身全霊のライブステージで応えた出演者たち。フェスのラストを締めくくったGRANRODEO「Can Do」は、その明るく元気な楽曲で、見る者と関わる者すべてにポジティブなエネルギーを送ってくれていたように感じた。