BTS、「Dynamite」「Life Goes On」など複数バージョン公開の背景 狙うは米ビルボードでの上位チャートインロングラン
また、2020年に入ってからBillboardでのYouTubeの換算方法がいくつか大きく変更され、公表されているものでは公式以外のユーザーによる関連動画が集計対象ではなくなった。これにより公式リリース動画の比重が重くなったと見ることが出来る。K-POPジャンルではコレオグラフィーバージョンの動画を出すことは一般的だが、「Life Goes On」が本MV以外に振付バージョンではない3種類ものMV(in the forest・on my pillow・like an arrow)をリリースした背景には、このような事情も関連しているのかもしれない。
BTSは『LOVE YOURSELF』シリーズから全てのリリース日を韓国でのチャーティングではなくBillboardの集計期間に合わせた金曜日に変更しており、アメリカ市場での上位チャートインに少しでも有利に働くような仕掛けは以前から積み重ねてきていた。特に「Dynamite」はアメリカの所属レコード会社であるコロムビア(ソニー系列)からのリリースなので、アメリカの状況を熟知しているレコード会社主導でのプロモーションが行われていると思われることもあるだろう。今のBTSがそれだけアメリカのレコード会社が能動的にアメリカ向けの企画をビジネスとして進めたくなるようなアーティストであり、プロモーション方式の変化はアメリカ市場での存在感の大きさの証明にもなるのではないだろうか。
BTSのアメリカでのやり方には、同様に所属レコード会社主体でのプロモーションが行われる日本での経験が生きている部分もあるのだろう。ファンとしては同じ楽曲を多面的に楽しむ機会にもなり、また、同じくアメリカ市場での上位チャートインを目標とする他のK-POPアーティストにとっても良い前例となり得るかもしれない。
■DJ泡沫
ただの音楽好き。リアルDJではない。2014年から韓国の音楽やカルチャー関係の記事を紹介するブログを細々とやっています。
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