『白いページの中に / 朝が来るように』インタビュー

Leolaが語る、映画『ホテルローヤル』主題歌と表現のターニングポイント 「等身大の自分に近づけたい」

「こういうものをやっていきたいんだって行き着いた」

ーーそしてもう1曲「朝が来るように」です。こちらの曲も「白いページの中に」のアレンジの雰囲気に近い感じになっていて、1枚の作品としても統一感がある内容ですね。

Leola:よかったです。この「朝が来るように」は8年前に作っていた楽曲で、2020年の私のモードに合わせて、アレンジし直した1曲なんです。最初はもっとロックな感じで、エレキもギュイーンと鳴っていたアレンジで、わりとこのままリリースできるねっていうくらいまで仕上げてあったんです。下積み時代にずっと歌っていた曲だったんですけど、一時期から封印しようと思って歌わなくなっていて。それから6〜7年経って、たまたま今回の「白いページの中に」の話を持ってきてくれたプロデューサーさんが、この曲を一緒に作っていた方だったので、いいタイミングだなって思いました。あとは当時自分で歌っていた声を聴くとなんていうか……人を刺すような、すごく強くてトゲトゲした感じがあったんです(笑)。まだデビューも決まっていない頃だったので、たぶん「負けたくない!」っていう攻撃的な歌を歌っていて。

ーーそれはすごく意外です。

Leola:やっとこの曲らしく、優しさも交えながら歌えるような年齢になったなって思いました。今ならこの曲を出してもいいかもしれないって。でもこの曲はもともと、スタッフさんや下積み時代のライブに来てくれていた人たちにすごく人気だったので、このまま出さないのはもったいないし、いつか出したいなと思っていたんです。そのタイミングが今だなっていう。

ーー歌わなくなってしまったのは何か理由があったんですか。

Leola:デビューが決まってからは、どちらかというとあまり悲しい歌を歌わないようにしていたんです。どうしても失恋の曲とかって、ストレートすぎたりするところもあるから、ちょっと今じゃないよねってその当時はなっていたんです。Leolaの中でもハッピーな部分を押し出していきたかったので。それでタイミングを逃し続けていたというか(笑)。でもやっと今年に入ってから、「ないものねだり」とか、影のある曲も表現したいなと思えるようになったので。この曲を今の自分なりに歌って、今の自分なりにアレンジを変えて出したら、面白いかもしれないと思ってトライしました。

ーーすごくぴったりですし、今の気分がわかるいい歌ですよね。失恋の歌だけど何かその先も見えてくる曲で、甘い痛みを感じるのがいいなと。

Leola:よかったです。思い入れのある曲なので、日の目を浴びたことが本当に嬉しいです。

ーーこの曲を書いていた当時は、こうした感情を扱った曲も多かったんですね。

Leola:そうですね、当時のプロデューサーさんと一緒に、いろんなジャンルにトライしたりしていて。歌詞も、当時は趣味で同級生と組んでいたバンドで書いていたくらいだったので、ここはこういうふうにするとよくなるよとか、いろんな指導をしてもらいながら完成させた曲でもあって。そういう曲がまだいくつかあるんですけど、特にこの曲は大切だったんです。

ーーそれがすごくいい形で花開きましたね。アレンジも大きく変わっているということですが、今のアレンジではどういったところにポイントを置いていますか。

Leola:アレンジに関してはとにかく詰め込みすぎないということでした。元のアレンジをベースにはしているんですけど、かなり音を引いていて。あとはドラムの音色も柔らかいものを選んだり、スネアを「カン!」と抜けていく硬い音に変えたりとか。シンプルなんだけど、その隙間の中に世界が広がるようにしたくて。最初はもっとアコギがジャカジャカ鳴っていたんですけど、それも音量を下げてもらったりしていますね。隙のある感じ、ギュギュッと詰まっていた音の間隔を開けて、ゆとりのあるアレンジにしてもらっています。

ーー今、Leolaさんが歌うなら、そういうアレンジだなっていうのはご自身でも明確にあったんですね。

Leola:はい。デビューして4年半やってきて、こういうのが自分に合うなとか、こういうものをやっていきたいんだなって、行き着いたんだなと思います。音色の選び方でいうと、今年リリースした「ないものねだり」「Lucky Me」あたりから、オーガニックすぎない音の選び方をしたいと思い始めていたので、そことも整合性がとれているかなって。

「自分がどうしていると幸せかもわかってきた」

ーー今年は、そういう意味では自分でも変わっていきたいという想いが強く芽生えてきた年ですね。

Leola:そうですね。5年目というのもあるのか、ハッピーで元気なLeola像を崩して、もっと今の等身大の自分に近づけたいなという思いで、第2章くらいの気持ちでいこうと思っていたんです。捨てるものは捨てて、身軽になって次に行こうという気分だったのかもしれないです。

ーーずっとLeolaさんの音楽を聴いてきた人も、きっと同じように年齢を重ねて大人にもなってきていますからね。

Leola:デビュー当時の自分を遡っていくと、ちょっとずつ大人になっているなとは思うので(笑)。自分自身とのギャップはなるべくないようにしたいなと思うんです。自分が変わっていけば、曲も変わっていくのが自然なことですし。

ーー音でも余白がある表現になったように、歌でもそういう余白・余韻・物語の行間を描けるようになってきているなと。

Leola:まだまだですけどね。それこそ「白いページの中に」では、そういう部分に挑戦させてもらいましたし、曲とかメロデイだけじゃない“声”で表現できる人になりたいなというのはありました。

ーーここからの制作についてはどうなっていきそうですか。

Leola:今はちょっとストップしている段階なんです。来年のモードもまだ自分の中では、正直定まっていなくて。毎年「こういうもので行こう」というのをだいたい決めるんですけど、今年がちょっと……。

ーーコロナ禍の影響もあって、きっと思い描いていたことができなかったことも多いですよね。

Leola:不完全燃焼な感じもあるので、引き続き2020年に表現したかったものを、よりぐっと出せるようにしていきたいなと思ってます。

ーー歌詞にも変化はありそうですか。

Leola:全然違う歌詞を書きそうだなと思っているんです。もともと本は好きだったんですけど、ここ数年デビューしてからゆっくりと本を読むモードになれていなくて。でも、最近やっとそれが戻ってきて、詩集とか、小説以外も読むようになったので、そこでまた言葉のチョイスも変わりそうだなって。本当に全然違うものが出てきそうで、自分でも怖いんです(笑)。

ーー自分にこんなものもあったかと(笑)。

Leola:それもあってまだ書けてないんです。でもそこも楽しみなので。

ーーそれくらい2020年は自身を内観をする時間になったんですね。

Leola:すごくそう思いますし、きっと2020年はみなさんそうだったんじゃないかと思うんです。自分を見つめ直して、改めて何が好きなのか、どういう人とどういう接し方をしたいのか、自分がどんなふうに見られたいのか、どんなふうに表現したいのか、ということをすごく考えました。「自分にこれが向いているな」とここ数年思っていたことも、もしかしたら違うかもっていう疑いの目から見てみたりしていて。違った角度でやってみたら意外に良かったりするので、またここから変わる気がしますし、改めて自分がどうしていると幸せかということもわかってきた気がします。

ーーそういう気持ちや考えの変化って声にも反映されると思いますし、歌が芳醇になっていく予感ですね。だからこそこれまでのようなポジティブな歌も、また違う響き方をすると思いますので、楽しみにしています。

Leola:ポジティブな部分はポジティブな部分で変わらずあるものだと思うので。楽観的ですから(笑)。またこれまでとは違ったポジティブソングが書けるかもしれないし、今までの曲も違うように届けられるかもしれないなとは思います。

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<締切:11月27日(金)>

Leola『白いページの中に / 朝が来るように』

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Leola『白いページの中に / 朝が来るように』
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1.白いページの中に
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