声優 花江夏樹、“巧みなセルフプロデュース”による目覚ましい活躍に注目 MCやゲーム実況などから感じた、独自の発信力

 事務所を介さず、編集まですべて自分で行っているYouTubeチャンネルも絶好調だ。2020年10月時点で登録者は171万人、累計再生数は3億回を超える。YouTube活動をしている声優の中ではもちろん、国内のYouTuberを含むすべてのユーザーの中でもトップランナーの1人と言っていいだろう。投稿するのは主にゲーム実況動画で、一人でプレイしているものもあるが、声優仲間やゲーム仲間と一緒にプレイしているものも多い。動画を盛り上げるトーク力、視聴者を飽きさせない編集力はもちろん、仲間の中心に立って引っ張っていく求心力の高さには目を見張るものがある。

 単にゲームを楽しんでいるだけでなく、自分のキャリアに対する冷静なまなざしも持つ。花江のように声が高めで少年役の多い声優は、次々現れる若手らと役を争っていくことになる。YouTubeで独自の発信の場を持つことは、戦い続けるための武器を増やす戦略の一つでもあるのだ。

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 花江の様々な活動を通して見えてくるのは、圧倒的なセルフプロデュースのうまさだ。声優という職業の活動の幅が広くなっている昨今、合わせて自由度も高くなっているが、それは同時に、次にどんな手を打っていくか、自分をどう見せていくかの戦略が求められるようになったということでもある。そんな中で花江は、声優としても、それ以外の側面でも申し分のない結果を出し続けている。

 9月に双子が生まれたことも話題になった花江。来年には30歳という節目を迎えるにあたり、声優業に集中するため、また家族との時間を大切にするためとして、10月に約5年MCを担当した『おはスタ』の卒業を決めた。セルフプロデュースのうまさというのは、「自分のことをよく知っている」ということに他ならない。自分の中での優先順位を決め、それを実行に移し、より活躍できる場を自分で獲得していくことのできる花江夏樹は、これからますます羽ばたいていくことだろう。

■満島エリオ
ライター。 音楽を中心に漫画、アニメ、小説等のエンタメ系記事を執筆。rockinon.comなどに寄稿。満島エリオ Twitter(@erio0129

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