2020.10.07 12:00

PEDRO、“表現者”としてのアユニ・Dが開花した最新作『浪漫』　武道館へ向け広がり続ける“バンドのクリエイティブ”に迫る

文＝柴那典

　先んじて8月12日にシングルリリースされた1曲目の「来ないでワールドエンド」は、アルバム収録曲の中では最も古く、4月にリリースされたEPの『衝動人間倶楽部』の制作時に作られた曲。ガレージロック直系の疾走感あふれるサウンドだ。ミュージックビデオは結成当初から深くPEDROに関わる映像作家の山田健人が担当。シングルのカップリングでアルバムリリースがサプライズ解禁、そこから収録曲を演奏したスタジオライブを1日1曲ずつ配信していくという手法でアルバム全曲を公開していったのだが、そのスタジオライブ映像も山田健人が手掛け『浪漫』というアルバムのイメージを共有していった。

PEDRO / 来ないでワールドエンド [OFFICIAL VIDEO]

PEDRO / 浪漫 [浪漫 STUDIO LIVE]

　また、先日公開された「空っぽ人間」のミュージックビデオは、やはり結成当初からPEDROに深く関わり、過去のドキュメンタリー作品をすべて手がけているエリザベス宮地が監督を担当。モデルのTSUGUMIが出演し、全国ツアー『LIFE IS HARD TOUR』の映像も使用した、リアルとフィクションが混ざり合ったような仕上がりになっている。

PEDRO / 空っぽ人間 [OFFICIAL VIDEO]

　アルバムの内容や、こうした映像作品から伝わってくるのは、PEDROがとても重層的なクリエイティブの場所になっているということ。

　まず、PEDROというバンドは、アユニ・Dという一人の人間のリアルタイムのドキュメントである。「音楽に居場所を見つけた」ことで、その人自身がどれだけ輝きを持つようになったのかを、ありありと感じ取れる“現実”のストーリーラインが走っている。

　その上で、アユニ・Dの表現が開花したことで、楽曲に描かれる情景も変わってきている。当初は刹那的な言葉を書き連ねていたが、アルバム『浪漫』の楽曲では、より情景描写としての深みを増した“虚構”としてのロマンティシズムを持つものになっている。

　そして、来年2月13日には初の単独武道館公演『生活と記憶』が行われることも発表された。バンドの向かう先がさらに楽しみだ。

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■柴那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」／Twitter

■リリース情報
PEDRO 2nd Full Album『浪漫』
2020年8月26日（水）リリース
配信中　ダウンロードはこちら

◉初回生産限定盤（3CD+Blu-ray+Photobook）¥10,000+tax
豪華BOX仕様
CD1：『浪漫』
CD2、3：『LIVE CD : 2020.06.14 STUDIO COAST GO TO BED TOUR IN YOUR HOUSE』
Blu-ray：
・2020.06.14 STUDIO COAST GO TO BED TOUR IN YOUR HOUSE
・Document of GO TO BED TOUR IN YOUR HOUSE
・Making of 浪漫

◉映像付通常盤（CD+DVD）¥5,980+tax
CD：『浪漫』
DVD：『2020.06.14 STUDIO COAST GO TO BED TOUR IN YOUR HOUSE』

◉通常盤（CD Only）¥3,000+tax
CD：『浪漫』

＜CD収録曲＞
01 来ないでワールドエンド
02 pistol in my hand
03 浪漫
04 後ろ指さす奴に中指立てる
05 空っぽ人間
06 さよならだけが人生だ
07 乾杯
08 愛してるベイベー
09 WORLD IS PAIN
10 感傷謳歌
11 へなちょこ

＜2020.06.14 STUDIO COAST GO TO BED TOUR IN YOUR HOUSE＞
01 WORLD IS PAIN
02 猫背矯正中
03 玄関物語
04 STUPID HERO
05 アナタワールド
06 GALILEO
07 ボケナス青春
08 ハッピーに生きてくれ
09 SKYFISH GIRL
10 MAD DANCE
11 うた
12 ラブというソング
13 NOSTALGIC NOSTRADAMUS
14 生活革命
15 おちこぼれブルース
16 無問題
17 自律神経出張中
18 ironic baby
19 ゴミ屑ロンリネス
20 甘くないトーキョー
21 感傷謳歌
22 EDGE OF NINETEEN
-ENCORE-
23 Dickins
24 NIGHT NIGHT