「XYZ VS XYZ」が見出す、“歌い手文化”の新たな楽しみ方 luzら10組によるコラボの想像以上の味わい深さ
アルファベットの最後の3文字「XYZ」から、これ以上のものはないという意味が込められた究極の「XYZカクテル」をヒントに、2015年2月1日、歌い手界隈でもセクシュアルな魅力を放つことで名高いluzがオーガナイザーを務め、始動した“至高の夜”を提供するアーティスト集団、XYZ(エックス・ワイ・ズィー)。luzに芽生えた「ETA(2011年12月よりスタートしたEXIT TUNES主催のライブイベント『EXIT TUNES ACADEMY』通称:イー・ティー・エーは、今年で8周年の節目を迎え長い歴史に終止符を打つことになる)より、良いライブイベントを作りたい」「歌い手文化をバカにされたくない」という思いがきっかけで、恒例のイベントとしてスタートした『XYZツアー』が、XYZの主な活動拠点。公演ごとにluzから指名された複数の歌い手出身アーティストが、XYZメンバーとして一堂に会し、ステージ上でボカロ曲やオリジナル曲などをパフォーマンスする。通常の『XYZ TOUR-SUMMER-』に、DJを招く『XYZ TOUR -DJ Style-』、女性リスナー限定の『XYZ TOUR -Valentine’s Night Ladies Only-』、男性リスナー限定の『XYZ TOUR -Whiteday Night Mens Only-』を加えたいま、XYZツアーは、全国ツアーに約2万人を動員する屈指の人気ライブイベントへと発展した。すでに、台湾、香港、上海、韓国など海外進出も果たしている。
さて、そのluz率いるXYZが、昨年12月10日にTwitterアカウントを保有するリスナーへと呼びかけたプロジェクト「XYZ VS XYZ」が、いま、リスナーの心を掴んでいる。同プロジェクトは、XYZから指定された好きなリキュール(アーティスト)よりリスナーが2杯、あるいは、3杯ブレンド(オーダー)したもののなかから、XYZが、デュオコラボ(2人組)、トリオコラボ(3人組)としてのオリジナル楽曲を、YouTubeのXYZオフィシャルチャンネル上に随時公開していくというもの。参加アーティストは、un:c、あらき、しゅーず、kradness、センラ、そらる、nqrse、まふまふ、めいちゃん、luzの10人。現在は、全10曲のうち、6曲を公開している。ここでは、完成した6曲をカクテルに例えつつ、レビューしたい。
あらき×un:c×kradness「Va-ka!!!」
今年3月1日に到着した第1弾「Va-ka!!!」は、XYZメンバーのなかでも、パワフルで高音が映える、あらき、un:c、kradnessの3人が見事に集結したアッパーチューン。リズミカルでキャッチーなメロディと調和した3人のストレートな歌声が、アニメーション通りのやんちゃな姿を描き出す。表すなら、炭酸が弾けるカクテルだ。
あらき×luz「Hell is mine」
二層のカクテルを連想させるのは、ラウドロックサウンドが疾走する「Hell is mine」。ふたりの歌声に共通した内なる強さが顕在する一方で、それぞれのイメージカラーを主張するフレーズ〈赤く染める 生殺与奪で(あらき)〉〈白く染める 洗脳で(luz)〉から、ふたりの個性を強調。間違いなく、ライブ映えする1曲といえる。
un:c×しゅーず「ストロウ」
見た目からは判断できないサプライズな味が用意されているカクテルとでもいおうか。随所に施されたトランペットの音色が煌めく「ストロウ」を、色気のある歌声から人気を博すしゅーずとアクティブなun:cが届ける。その意外な組み合わせが起こした化学反応には心酔。
しゅーず×めいちゃん「点睛を駆る」
変幻自在な声色を持つめいちゃんとしゅーずの組み合わせが絶妙なのが「点睛を駆る」。浮遊するギターロックサウンドにふたりがメロウで気怠さの残る歌声を奏でれば、静かながら、花が咲く。あまりにも美麗なハーモニーには、セクシーなカクテルがお似合い。