THE BACK HORN、完全復活の狼煙上げた圧巻のステージ 想いを伝え、ライブハウスでの再会誓った配信ワンマンレポート

 THE BACK HORNが9月6日、配信ワンマンライブ『THE BACK HORN「KYO-MEI MOVIE TOUR SPECIAL」-2020-(ライブハウス編)』を開催した。

 昨年、アルバム『カルペ・ディエム』を携えた全国ツアー『THE BACK HORN「KYO-MEIワンマンツアー」カルペ・ディエム~今を掴め~』は、山田将司(Vo)の喉の不調により延期。ポリープの手術、療養を経たものの、今年4月の『ARABAKI ROCK FEST.20』、5月に予定されていたツアーもコロナ禍により延期になるなど、ライブができない状況が続いていた彼ら。そんななか、8月2日に行われた生配信ライブ『「KYO-MEI MOVIE TOUR SPECIAL」-2020-(スタジオ編)』に続く今回の“ライブハウス編”で、THE BACK HORNは凄まじい熱量に貫かれた演奏、真摯なメッセージを響かせる山田のボーカルを含め、完全復活を強く印象づけるステージを見せてくれた。

山田将司

 ライブは「その先へ」からスタート。THE BACK HORNが結成されたときの初期衝動、そして“その先へ”進み続ける決意を刻んだ記念碑的なナンバーだ。グランジを想起させる菅波栄純(Gt)のリフ、岡峰光舟(Ba)、松田晋二(Dr)による強靭なグルーブ、そして山田が叫ぶ〈闇を突き抜けて「何処までも 何処までも」〉という歌詞が響き渡り、一気にTHE BACK HORNの世界に引きずり込まれる。赤、黒、青のライトに照らされるメンバー4人の姿も文句なくカッコいい。やはりこのバンドには、ライブハウスが良く似合う。

 EDM的なアレンジを取り入れた「Running Away」で高揚感を生み出し、和の雰囲気をたたえたメロディと鋭利なバンドサウンドを軸にした「シンフォニア」では、山田が〈帰る場所ならライブハウスにあるから 何処へでも飛んでけよ〉と歌詞を変え、画面の向こうのオーディエンスに直接ぶつける。ライブ前半からグッと来るシーンが続く。

 「2回目の配信ライブ、皆さん、盛り上がってくれてますか? 会場にお客さんはいないけど、みなさんのもとに届けていきます。たっぷり楽しんでください」(松田)というMCの後は、THE BACK HORNの奥深い音楽性を体感できるシーンが続いた。ロカビリー的なリズムとともに緊張感と解放感を併せ持ったメロディが広がる「白夜」、ヘビーなベースラインに〈がんじがらめがらめがらめ....〉という歌詞が絡み合ってハードコアな世界観を生み出す「がんじがらめ」、そしてハードロック直系のギターリフと居場所を見つけられず彷徨う姿を描いた歌が突き刺さる「ジョーカー」では、山田が床に転がりながらパフォーマンスする。言うまでもなく、すべてこのバンドにしか体現できない曲ばかりだ。THE BACK HORNの独創性を改めて実感できたことは、今回の配信ライブの大きな意義。「配信ライブとなると、普段ライブに来られない人もいっぱい見てくれてると思います。改めましてTHE BACK HORNです」と語る、ちょっと照れたような山田の表情も印象的だった。

松田晋二

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