1stアルバム『ERA』インタビュー
RAISE A SUILENに聞く、バラバラな個性がバンドの“強さ”になるまで THE THIRD(仮)からの挑戦の日々を振り返る
「舞台では声だけではなく仕草も演じることになる」
ーーでは、アルバムまでの活動の中で、特に印象的だった思い出は?
Raychell:初めてキャラクターを背負って立たせていただいた日本武道館でのTOKYO MX presents「BanG Dream! 7th☆LIVE」DAY2:RAISE A SUILEN「Genesis」は、私がミュージシャンとしても目標としていたステージのひとつでもあって、すごく感慨深かったです。
ーーRaychellさん自身にとっても、レイヤにとっても大切なステージだったんですね。
Raychell:そうですね。あのときは、10日ほど前から緊張して、全然寝られなかったです……。考えるだけで涙が出てくるくらい、本当に緊張していたので。
ーーステージを観させていただいていると、まさかそんなに緊張していたとは想像できないくらい、とても堂々としたパフォーマンスのように見えていました。
倉知:私も、Raychellさんが緊張していたなんて全然分からなかったです!(笑)。
Raychell :(笑)。あのときは、「BanG Dream! 7th☆LIVE」日本武道館3DAYSの2日目をRASが担当する形で、私たちの日だけ、ギリギリまで客席が埋まらなかったりもしたんです。でも、私たちのことを知らない方々がたくさん観てくれると思っていたので、全力で自分たちらしいライブをして、私たちらしさを見せよう、と思っていたのを覚えています。
紡木:私の場合は……本当に全部が大切な思い出ですけど、『Animelo Summer Live 2019 -STORY-』に出られたことは、特に印象的でした。もともと地元の沖縄では、大きなライブがたくさんあるわけではなかったので、『アニサマ』の放送を観ながら「素敵だなぁ」と憧れていて。そうやってTVの画面越しに、一高校生として観ていたステージに、自分がメンバーと一緒に立って演奏しているというのは、一生忘れられない思い出になりました。
倉知:私は最近の話になるんですけど、舞台(『We are RAISE A SUILEN~BanG Dream! The Stage~』)の準備期間中に、1カ月間、毎日一緒に過ごしたことですね。その中で、メンバーの距離がまたぎゅっと近づいたように感じたんです。ひとつの家族みたいというか、今思い出しても、ほっこりと心が温まるような時間でした。
ーーメンバーの関係性が、そこでさらに変わっていった感覚があったんですか?
Raychell:まぁ、関係性自体はあまり変わっていないと思うんですけどーー。
倉知:Raychellさんは、お母さんみたいでした(笑)。ジャーキーおにぎりをつくってくれたりして。
紡木:そうそう。チュチュちゃんがジャーキーおにぎりが好きなので、私が舞台で実際に食べるシーンがあるんですけど、「それなら、実際にジャーキーおにぎりを食べてみた方が、演じるときにもイメージしやすいんじゃない?」って、作ってくださったんです。
Raychell:だって、ジャーキーおにぎりってなかなか食べる機会がないじゃないですか?
紡木:(笑)。その優しさがすごく嬉しかったですね。
小原:私も、舞台のことが思い出ですね。『BanG Dream!』プロジェクト全体でも、舞台は初めての試みでしたし、舞台では声だけではなく仕草も演じることになるので、「あっ、ロックってこういう仕草をするよね」と色んなことに気づきましたし、演じているみなさんが、どんなふうにキャラクターに向き合っているのかも知れて、すごく勉強になりました。
夏芽:私は、『THE THIRD(仮) 1stライブ』ですね。私はもともとバンドも経験していて、その当時は下北沢GARDENの会場をいっぱいにすることはできなかったんです。でも、あのとき、お客さんがぎゅうぎゅうに集まってくれて。ステージに出た瞬間に、白色のライトが一面に広がっている景色は、本当に印象的でした。それに、あの日は大塚紗英ちゃんがサポートで参加してくれていて、莉子ちゃんがバンドに加わった日でもありますけど、その出来事は、後にアニメでも描かれましたよね。そういう意味でも、すごく大きいライブだったんだな、と。そこから、『THE THIRD(仮)2ndライブ』では、紡木吏佐ちゃんが加わって、「THE THIRD(仮)、終わります」からの「RAISE A SUILENはじめます」という発表をして。会場のみなさんの「えーっ?!」「おおー!!」という声が聴けて、それもすごく嬉しかったです。そんなふうに、RASになっていく過程のことが思い出深いですね。
「なんちゅう治安の悪い曲だ……!」と思いました(笑)
ーーそして今回、みなさんのこれまでの楽曲が詰まった1st アルバム『ERA』がリリースされました。まずはアルバムで初音源化となる楽曲について、色々と聞かせてください。3曲目の「SOUL SOLDIER」は、昨年末のライブ『THE CREATION~We are RAISE A SUILEN~』で一足先に披露されていた楽曲ですね。
Raychell:この曲は、ベースが5弦で、ギターが7弦で、重厚感がある曲で。RASにとって、ライブに欠かせない1曲になっていく気がします。歌としても、ローからハイまで気を遣っているんですけど、すごくかっこよくて大好きです。
紡木:最初に聴いたときは、「なんちゅう治安の悪い曲だ……!」と思いました(笑)。RASの中でも過去一で治安が悪い曲と言いますか(笑)。
Raychell:あと、この曲はラップも印象的ですね。
紡木:この曲のラップは、すごく難しかったです。それまでのラップは、気合で乗り切るような、リズミカルなものが多かったと思うんですけど、この曲はもっと語るような雰囲気で。
倉知:それに、RASの曲って、これまではド派手なシンセを使う曲が多かったと思うんですけど、この曲の場合は、メロを弾くのではなくて、曲を支えるようなピアノが鳴っていて。特に2番のAメロは、よく聴いていただくと、後ろでちょっとジャジーなピアノが鳴っているんです。そういう意味でも、また新しい雰囲気の曲になっていると思いました。
ーー初期の頃のRASの楽曲は、EDM風のド派手なシンセが印象的な楽曲が多かったと思いますが、今のRASにはそうではない曲も生まれてきている、ということですね。
倉知:そう思うんです。たとえば、(デビュー曲の)「R・I・O・T」もそうですけど、初期の曲って今よりもっとシンプルで、分かりやすく派手な曲が多かったですよね。
Raychell:この変化はきっと、スタッフさんがライブや色々な活動を楽曲を観てくださる中で、「RASならこんなこともできるんじゃないか?」と、新しい挑戦をくださってきたからこそだと思います。サウンドも初期から比べると随分変わっていますし、1曲の中に色々なサウンドが入っているのも、その影響が大きいんじゃないかな、と思います。Elements Gardenの上松(範康)さんも、ライブに来てくださったときに「次はこういうこともできるかもしれない」「さらに速いテンポの曲を作ってるよ」と言ってくれたりするんですよ。