嵐 相葉雅紀、重ねた努力と素直さがもたらした確かな“演技力” 俳優としての魅力を主演作などから考察
2015年の『ようこそ、わが家へ』(フジテレビ系)は初の月9ドラマの主演作として話題に。池井戸潤の小説を原作にしたサスペンスタッチのホームドラマで、相葉は家族への嫌がらせに立ち向かう青年役を熱演した。そして俳優・相葉雅紀の大きなターニングポイントとなったのが、2017年の『貴族探偵』(フジテレビ系)である。コアなファンの多い麻耶雄嵩の同名人気ミステリーが原作の謎解きエンターティメントドラマで、相葉は謎の貴族“御前”を演じた。
ドラマがスタートすると相葉の演じる主人公の世界観が素晴らしいと、原作ファンからも好評で、SNS上では原作ファンと嵐ファンの交流も生まれた。これまで演じていた実直で天真爛漫な本人のキャラクターと重なる役柄とは異なり、「推理などという雑事は、使用人に任せておけばいいんですよ」という名セリフに代表されるクールでドSな主人公を見事に演じてみせた。2018年の『僕とシッポと神楽坂』(テレビ朝日系)では再び動物好きで優しい相葉のキャラそのままの高円寺達也、通称コオ先生役を好演。コミカルな芝居と切なさや悲しみを、セリフはもちろん表情や視線などで巧みに表現する演じ分けが絶妙で、俳優・相葉の成長を感じた作品として印象深い。
昨年の『24時間テレビ42』内で放送されたドラマスペシャル『絆のペダル』では、過酷なロードレースの世界で挑戦し続ける主人公を演じた相葉。今回は公私ともに尊敬する志村の特集の中でのドラマ出演となる。相葉は2020年4月4日放送の『天才!志村どうぶつ園』で急逝した志村への想いを「グループの中で僕だけお芝居の仕事をもらえなかった時に、志村さんが僕に『焦るんじゃないよ。相葉くんには『志村どうぶつ園』があるでしょ。ドラマは3カ月で終わるけど、『志村どうぶつ園』はずっと続くからね。俺がずっと続かせるからね』って。すごく救われたことがありました」と語っている(参照:嵐 相葉雅紀、志村けんの言葉に救われたことを語る「ドラマは3カ月で終わるけど『志村どうぶつ園』はずっと続くからねって」)。バラエティで活躍の場を与えてくれた恩師・志村けんのドラマで、相葉がどのような役柄を演じるのか期待が高まる。
■北村由起
ライター・エディター。出版社勤務、情報誌編集長を経てフリーに。情報誌、webマガジン、ムック等を中心に執筆。ジャニーズウオッチャー。@yukkisetouchi