THIS IS JAPANが明かす、新曲「new world」に昇華した“バンドの楽しさ”「自分らしさを思い切って出せた気持ちよさがある」

ディスジャパ「new world」に昇華した楽しさ

「バンドやってる時が一番生きてる」

一一どういうところがいつもと変わりました?

かわむら:普段だとさすがに杉森も言わないような言葉もサラッと言えるんです。たとえば〈引き金引いて〉とか、ほんと直接的な言葉。そんな命のやり取りは普段我々はしてないんで(笑)、他の曲で書くと嘘くさいじゃないですか、銃がどうのって。でもアニメの登場人物たちは実際そういう世界の中で生きてて、そういう言葉を使うのが当たり前だし、むしろこの言葉でも足りないくらいだなって。そういうことは考えましたね。

小山:アレンジもそう。かわむらさんの話と同じですけど、ギターソロの手前にモロに銃声を入れてて。普通だったら絶対入れないと思うけど、でもこの曲だったらもっと遊んでもいいかなと思えたし。

杉森:リハーサルの時「鉄パイプを拾ってきてくれませんか?」って言われたもんね。

小山:実現しなかったんですけどね。

杉森:そんなに落ちてねぇわ、って(笑)。でもかわむらと小山がそうやって遊び心を持って進めてくれたこともあって、僕も普段あんまりやらないラップパートとかで自分らしさをバツーン! って出せたり。攻撃性っていうとアレだけど、突破力とか推進力、サッカーでいうとフォワードみたいな、そういう自分らしさを思い切って出せた気持ちよさはありますね。

かわむら:サビで全員歌うとかも、普段はやらないんですけど。「これもやっていいでしょ」「いいじゃん、いいじゃん」みたいな、プラスのエネルギーが大きかった気がしますね。

一一掛け合いで〈純情〉って叫んでる箇所は笑っちゃいましたね。

かわむら:あれめっちゃオモロくないですか? 僕はあれ一番に持ってきたかったんですけど、みんなに止められて二番になった(笑)。

杉森:小山1対メンバー3人の掛け合いって初だけど、そこで出てくるのが〈純情〉って。

かわむら:あれがいいんだよ。気に入ってますね。『ノー・ガンズ・ライフ』って、戦闘中にも軽口叩いたり、けっこうコミカルなシーンがあるんですよね。生き死にの話、ハードボイルドな話ではあるけど、ちゃんと茶目っ気はあって。それは我々のバンドにも共通する部分だなって勝手に思ってて、それを強調した結果が〈純情〉になった(笑)。

杉森:ライブでやっても新しかったですね。今までにない筋肉の使い方っていうか、ジェットコースター乗ってるみたいなドキドキ感があって。バンドの一体感も含めて、新しい楽しみ方ができるなと。

一一いろいろトライを繰り返しながらも、まずは「バンドを楽しむぞ」みたいな空気がちゃんとあるのがいいと思います。

杉森:結果的にそういう曲になりましたね。THIS IS JAPANはもう9年くらいやってるし、いろいろ考えて「こうしたい、ああしたい」って悩みながらやってきて。でもコロナ禍でなおさら思いましたけど、結局「バンドやってる時が一番生きてる感があるな」っていうことで。メンバー全員思ってたんじゃないかな。それを純粋に曲に変換できるようになった時期なのかなって思います。

小山:うん。杉森さんだけじゃなくて、僕は僕でいろいろ考えすぎてたところがあったと思うし。でも……なーんか疲れちゃったのかもしれない。けっこう今、考えてる人のほうが多い気がするんですよ、世の中見てもバンドの人たち見ても。それを見ることで僕もたぶん疲れてきて。逆に何も考えないでやったほうが新しいんじゃないかって、そういう次元に達してる気がする。

一一小山さんは、何に対して悩んでたんですか。

小山:なんか……「僕らを誰が見て、どう思うのか?」っていうのをしばらく考えてたんですよね。でも結局それって予想できない。誰が見てくれるのか、っていうのは狙ってやるものじゃないですよね。精一杯自分の好きなことやって、ここに誰が来てくれるのか、あとは待ってる側でいいんだろうなって。

小山祐樹

一一ディスジャパは人によって見え方が違いますから。たとえば私は「ナンバーガールが好きそうなオルタナバンドだな」と思ったけど、友達に勧めたら一言「ロックンロールだね!」って。あと年配の知人は「The Clashみたいだ」って感想だったり。全然違うイメージが4人の音から引き出されていく。

杉森:そうっすね。それはそうだと思う。

小山:結局自分たちでもわかんないんですよね、何やってるのか、って。

一一それを無理に定義しなくてもいい?

小山:うん。「The Clashが好きです」ってやるのも何か違うし、「ロックンロールです」って言い切るのも違うし。それはこっちで限定しなくていいのかな。

杉森:もろちんジャンルとかルーツに沿って、それを発展させていく美学もすごく憧れるし好きだけど。でもこういう4人を集めたからには「もうTHIS IS JAPANをやるしかないな」っていう、ある種の吹っ切れ方はありますね。

一一良いことじゃないですか? そう言って今楽しめるんだったら。

杉森:そうっすね。うん。もちろん聴いてくれる人のこと考えて曲を作っていくんですけど、入り口にあるのは「誰かのために」じゃなくて「俺たちがやりたいからやってんだろ」。それがスタートなので。

水元太郎

一一次の展開も楽しみです。今、新曲はどれくらいあるんですか?

小山:レコーディングしてないものも含めてたら……50曲?

水元:もっとある。60曲近くある。死ぬほどある。

杉森:死ぬほどあるけど、まだ、もっと作ろうって感じですね。

一一すごい。とにかくいろいろやりたいってこと?

杉森:『WEEKENDER』を経て、っていう話がさっきから何度か出てたと思うんですけど、バンドとして新しいフィールドに立って、これから何やるかを見極めるためにも、それこそ結成当初みたいにどんどん曲出していこうって。その中から、今のTHIS IS JAPANの実像が見えてきたらいいなっていうのはありますね。

一一答えとかテーマありきで曲を出すんじゃなくて。

杉森:そうです。最初から完璧を狙って作れるほど器用じゃないし、ガムシャラにやってみれば何か出てくるんじゃないかって、その体力はあるんで。あとメジャーって、自分たちのクリエイティビティをより発揮できる場所として用意されたものだと思うんですよ。こういう環境にいるからには言い訳はやめようと。もう自分たちの自力を信じきって、やれることを完遂して、THIS IS JAPANをたくさんの人に知ってもらいたいし。あとは何よりバンドに対しての夢とか、「やっぱバンドが生きてて一番楽しいわ!」みたいなパワー。俺たちが「バンドってつまんねぇな」って思っちゃうことが一番格好悪いと思うんで。こういうバンドでここまで来たんだから、最後までTHIS IS JAPANとして飄々と楽しんでいこうと思ってます。

※ライブ写真はすべて、無観客配信ライブ『NOT FORMAL vol.12 〜THIS IS JAPAN ONLINE ONEMAN GIG 2020〜』の模様。

■リリース情報
New Single『new world』
2020年7月29日 Release

通常盤(CD)
価格:909円+税
※初回仕様:初回生産三方背TVアニメ『ノー・ガンズ・ライフ』描き下ろしスリーブ仕様
<収録曲>
new world
RRRIOT

IGITAL SINGLE「HEARTBEAT」
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