Kis-My-Ft2、7人がかけ合わさることで生まれる無限の魅力 「キスマイ WEB FES」ユニット編から考察

 本来であればコンサートツアー『Kis-My-Ft2 LIVE TOUR 2020 To-y2』オーラスを迎える予定であった6月7日。4週にわたりファンを楽しませてきた「キスマイ WEB FES」もこれにてファイナルかと思われたが、「Kis-My-Ft2 WEB FES FINAL EXTRA-エモい曲編」が6月14日19時より公開されることが決定した。

 第4回にあたる6月6日には、個性が光る「ユニット編」を開催。Kis-My-Ft2はデビュー前からソロ曲を持つメンバーもおり、ユニット曲も数多い。2人、3人、4人、5人と、あらゆる組み合わせとコンセプチュアルな楽曲で、ファンを楽しませている。

 盤石のシンメから、思いがけない化学反応を見せるコンビ・ユニットまで、その内訳はさまざま。趣向を凝らしたライブパフォーマンスも楽しみのひとつだ。

 7人いるからこそ、何通りも生まれる多彩な組み合わせは、キスマイの大きな魅力といえる。

 今回は、ユニット編で披露された楽曲のなかから数曲をピックアップし、キスマイメンバーの高いパフォーマンス力と、楽曲の幅広さに触れてみたい。

「星に願いを」(玉森裕太&宮田俊哉)

 玉森&宮田によるユニット3部作の、2作目にあたるバラード。1番では、愛する人(玉森)を失った宮田が、心情を歌とダンスに乗せて演じる。魂のこもったパフォーマンスには、愛する人を失った悲しみ、自暴自棄になりそうなほどの強い想いが溢れている。

 続く2番では、玉森が宮田の声に応えるかのように、置いていかねばならなかった者の想いを歌う。グループきっての演技派である玉森。震えるその指先までも美しく儚く演出する。その姿は、いまにも消えてしまいそうな、幻のようにも思える。

 クライマックスから終盤にかけ、ふたりはともに歌い、そばで踊る。しかし、触れるようで触れず、視線は合うようで合わない。はっきりと「別の世界に存在する者」として、世界線が分かれている。

 最後にようやく、ほんのひととき玉森は宮田の腕の中へ。しかし、暗転した次の瞬間にはもう、玉森の姿はどこにもない。ひとり、空(くう)を抱きしめる宮田の姿だけがそこにあった。最後に玉森が見せた微笑みだけが、たったひとつの救いのように思えるラストシーン。

 照明や小道具で徹底的に世界観を作り込み、観る者すべてが奇跡を願いたくなるような、秀逸な演出とパフォーマンスを魅せた。

「証」「REAL ME」(北山宏光&藤ヶ谷太輔)

 「証」では、ふたりがギターを奏で、ライブ限定のアコースティックバージョンを披露。藤ヶ谷が抱えているギターは、この曲のために北山が贈ったものだ。

 藤ヶ谷は練習に練習を重ね、北山とともに美しい音色とハーモニーを聴かせた。そうした影の努力を決して顔に出さない堂々としたパフォーマンスに、アイドルとしての誇り、そして北山宏光・藤ヶ谷太輔であり続けることの強さを感じさせる。

 歌詞にはどこか、彼ら自身の関係性や、これまでともに歩んできた道のりが重なる。曲をしめる最後の一瞬だけ目を合わせるのが、実にこのふたりらしい。

 背中を合わせ、肩を並べる姿が似合う。付かず離れず、多くを語らず。彼らは、シンメの定義のような存在だ。

 その立ち位置や関係性を楽しむかのように、真正面から向かい合った曲が「REAL ME」だ。片方の袖を切り落とした、色・デザインともにシンメトリーの衣装を身にまとったふたり。後半には、手で掬い上げたペンキを互いの衣装の空白、すなわち素肌に塗りたくり「自分の色」に染め合うという、セクシーなパフォーマンスを魅せた。

 指を絡ませたまま、高く腕を掲げるラストのキメでは、彼らがこれ以上なく「藤北」を誇っていることを感じさせる。

 キスマイを引っ張り続けてきた彼らは、1+1が2ではないこと、無限大にもなり得ることを、ファンにもメンバーにも示し続けている。

「70億分の2」(二階堂高嗣&千賀健永)

 ピアノの旋律から始まる美しいバラード。

 派手な衣装も、演出もない。千賀健永と二階堂高嗣という、素材のみで勝負した1曲だ。

 ふたりは、互いのメンバーカラーで照らされた花道を進んでゆく。その温かく真摯な歌声に、思わず聴き入ってしまう。

 滑るように、踊るように、足並みを揃えたローラーパフォーマンスが印象的だ。とことん「2」であること、対であることにこだわっている。

 北山・藤ヶ谷や、宮田・玉森が魅せたユニットとしての「イズム」は受けながらも、ひと味違う。千賀・二階堂にしかありえない「2」は、手を取り合うような優しい“コンビ感”に溢れていた。

 まさに70億分の2が、必然的に出会ったふたりがそこにいること、これからも並んで歩んでいくだろう未来を可視化した演出。歌い終わりには、会場から自然と拍手が沸き起こっていた。

 グループの最年少である2人が、キスマイの武器であるローラースケートを履き、歌とシンプルな演出だけでこれほどまでのパフォーマンスを魅せつける。キスマイの底力は、やはり計り知れない。

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