ヒットの新法則 ~拡大するデジタルマーケットを読む~
ONE OK ROCK、コロナ禍に30万人YouTubeチャンネル登録者数増加 コンテンツを通して作り出した“ファンとの繋がり”
アーティストのライブ活動に制限がある中にも関わらず、SNSのフォロワー、そしてYouTubeのチャンネル登録者数を以前の数倍のペースで伸ばしているONE OK ROCK。
YouTubeに関しては数字がより顕著で、これまでは平均で月に5万人ペースで増やしていたチャンネルが、新型コロナウイルスの影響が広がった4月に入ってから6月1日の朝まで、つまりこの2カ月間に30万人ものYouTubeチャンネル登録者を増やしました。
これまでのペースの3倍の勢いで、一気にチャンネル登録者数を増やした彼ら。
「ONE OK ROCKが人気だから?」
「ライブ映像を公開していたから!?」
そう思ったかもしれません。でも彼らにはそれだけでは終わらない明確な目的と手段があります。なぜ増え、なぜそうしたのか。見えてくる彼らの向かう未来を探りましょう。
まずは概要としてInstagram、Facebook、Twitter、YouTubeチャンネル登録者、Spotifyアーティストページフォロワーの相関関係を見ていきましょう(Instagramは各メンバーのアカウントは集計に入れずアーティストオフィシャルのみ)。
YouTubeのチャンネル登録者数とSpotifyのフォロワーが同一バランスに保たれるストリーミングに強いアーティストの特徴が出ています。Official髭男dismもKing GnuもMrs. GREEN APPLEもこのバランスです(松島調べ)。
では今年に入ってからのInstagram、Twitter、YouTubeの増減です。
こうやって見ていくと、明らかに伸び率が今年のある時期を境に変わり始めます。緊急事態宣言が発令された4月16日前後ですね。
ここまで変わった大きな理由はワンオクファンの皆さんはご察しの通り、4月17日を皮切りに過去のライブ映像6作品をYouTubeでプレミア公開した結果が大きいでしょう。
それでは、もう少し細かくYouTubeの登録者数を見ていきましょう。
それぞれライブ映像6作品公開のタイミングを重ねるとこのようになります。公開の前後で確実に伸ばしていることが明確です(#04 5月14日の公開以降の伸びが中でも顕著なのは、16日の「完全在宅Dreamer」の公開もあると思われます)。
ではここまで一気に登録者数を増やすことに成功したのは何故でしょう。理由は下記2点と推測します。
・2カ月間に渡ってコンスタントに6作品を公開するという手段をとった
・アーカイブしないという方法をとりチャンネル内部&外部に誘導させた
一気に「ライブ映像を全解禁!」という手段をとらなかったのが最大の勝因です。一過性の盛り上げ施策が継続的なデジタルプラットフォームでのプロモーションに向いていないことは明確です。ONE OK ROCKはストリーミングでの成功体験からエンゲージメントがいかに大切かを学び、2カ月間コンスタントに動画を公開し、視聴者を外部サイトに誘導し、ストリーミング向けにプレイリストを公開し、前後で盛り上げ、ファンやメディアで話題が継続することを選びました。