MIYAVIによるバーチャルプロジェクト、新たな音楽表現の意義 未来への希望つなぐプラットフォームとなるか

 MIYAVIは『Holy Nights』リリース時のインタビューで新型コロナ禍以降に起こる”争い”を踏まえて、「人と人が争わないようにするためにはどうしていけばいいのか? こういった状況で僕たちは何を歌うべきなのか? 音楽を通じて何を発信するべきなのか? それが問われている時代だと感じています」と語っているが(参考:音楽ナタリー)、今回のMIYAVI Virtualではまさにその答えをファンに示そうとするMIYAVIの姿勢が感じ取れるものになっている。

 たとえばMVを見てみよう。後半に見られるMIYAVIが敵のボスキャラのサイボーグと戦うシーンでは、途中から彼の持つ武器が拳銃から刀に変わり、敵を打ち負かすのだが、刀はMIYAVIのサムライギタリストのイメージを踏襲したものであり、その刀=音楽が現在の閉塞した世界を乗り越える武器となることが示されている。またMVの最後には、復興後に訪れる平和な世界が描かれているが、それは歌詞にある〈廻りめぐる 時代 日は昇り また笑う〉を彷彿とさせるものであり、困難な状況でも現実に向き合ってそれを乗り越えようとする限り、必ず解決する時が来ることが示されている。

 またMIYAVI Virtual始動時、MIYAVIは、「バーチャル(思考)がリアル(現実)になる」と前置きし、「コロナ以後の世界。全く変わってしまうかもしれない中で、僕たちはどう変わらず自分たちらしくいられるのか、どう変わらずにつながることができるのか」というコメントを発表している。

 この「バーチャル(思考)がリアル(現実)になる」という言葉は、映画やゲームのような“架空の世界”で描かれてきた終末的世界観が現実になりつつあるのがコロナ禍の現在であることを示す一方、MIYAVI Virtualのようなバーチャルコンテンツを通して“音楽でつながる”ことで、様々な不安やストレスを抱える中でも変わらず自分たちらしくいられるという希望を胸に抱かせてくれるものとしても捉えることができるだろう。その意味でMIYAVI Virtualとは非日常となってしまった現実世界に身を置く人々にとって、やがて戻ってくるはずの日常や、その先にあるポジティブな未来への希望をつなぐためのプラットフォームとして機能するものだと言えるのではないだろうか? 詳細の発表を控えている今後の展開にも引き続き注目していきたい。

■Jun Fukunaga
音楽、映画を中心にフードや生活雑貨まで幅広く執筆する雑食性フリーランスライター。DJと音楽制作も少々。
Twitter:@LadyCitizen69

MIYAVI Official HP

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