UNINE、Rocket Girls 101、R1SEら中国でも“プデュ”シリーズがブームに アイドル像や楽曲にも変化
オーディション番組ブーム以前は、女性アイドルグループだとSNH48が、男性アイドルグループだとTFBOYSやEXOの元メンバーであるルハンなどが中国で大きく注目されていた。SNH48はAKB48の姉妹グループ、TFBOYSはジャニーズJr.に該当するTF家族というアイドル練習生があったり、といずれも日本のアイドル像に近かった。そこに、韓国発祥で日本の“アイドルの成長を見守る”文化を踏襲したサバイバル番組が登場したことで、一気に韓流文化が中国でヒットするという形になった。これまでも韓国の芸能事務所は中国でのK-POPアイドルのヒットを狙ってきたが、いずれも中国国内での大ヒットまで結びつかなかった。比較的J-POP寄りなサウンドのC-POPが人気である中国では、K-POPは馴染みのない音楽性だというのも理由の一つだろうが、最近はK-POPや洋楽を彷彿とさせる楽曲が増えてきた。また、JYPエンターテインメントがBOY STORY、SMエンターテインメントがWayV(威神V)、と中国での活動をメインとしたボーイズグループを活動させるなど、“アイドル戦国時代”を予期させる大きなムーブメントが起こっている。
同じ“プデュ”シリーズ出身グループでも、国によってデビュー後の活動に相違点がある。日本ではK-POPファンが一定層いることもあり、JO1はドメスティックなアイドルというより、K-POPグループのようなグローバルな活動を期待するファンが多いようだ。それに対し、中国では中国のアイドル像が根底から変化しているように感じる。“中国版プデュ”からデビューしたグループがメディアに多数出演するのは、『PRODUCE 101』の著作権を大手Webサイトの腾讯视频(テンセント・ビデオ)が正式に購入したからだ。その影響で急増しているK-POPを意識したアイドルが、今後の中国の王道のアイドル像として定着する可能性は十分に考えられる。両者の共通点はサバイバル番組から視聴者投票でメンバーが決まるので、K-POP特有の“実力主義”が大きく反映されていることだ。“容姿端麗さ”のみでアイドルとしてデビュー、ブレイクする機会が減り、ファンがどのポイントに“アイドル性”を見出すかが変わったのだ。昨今ではオーディション番組出身アイドルが定番になりつつあるが、実質的には番組内でしか成長を見届け、楽しむことができなくなったという見方もある。このようなスターの輩出システムの変化が、今後のエンターテインメントにどのような影響を与えるかは未知数だ。
■momotoxic
ブロガー。自称”楽曲派”。Twitter:@momotoxic1006