あいみょん楽曲のイメージ広げる二つの映像世界　very short movieとMVを比較

　先日最終回を迎えたドラマ『Heaven?～ご苦楽レストラン～』（TBS系）の主題歌である「真夏の夜の匂いがする」もまた、あいみょんがドラマのために書き下ろしたものだ。石原さとみ演じる主人公の自由奔放で魅力的な性格から着想を受け、“クセになる”をテーマに描かれているのだという。同楽曲のvery short movieで映し出されるのは、夜のベンチでイチャイチャし合う複数のカップル。その中に紛れ、あいみょんもマネキンの男性に身を委ねる。幸せそうなカップルではあるが〈真夏の夜の匂いがする 私には分かる危険な香り〉というフレーズがあるように、同作にも、どこか危うい雰囲気が漂っている。そして、それはMVも同様だ。

　MVが撮影されたのは、埼玉県入間市にある旧石川組製糸西洋館。映像には怪しげな古い洋館の中に閉じ込められた人々が登場する。上から宙吊りにされた女性、室内で踊る男性たち。時に彼らは眠気を抑えながら、畳の上に寝かされたあいみょんを囲む。この狂気に満ちた洋館は、私たち人間の世界をそのまま表しているのだろう。人間は何かに縛られたり甘い蜜に踊らされる生き物であるということを物語っているかのようだ。そしてvery short movieもまた甘い蜜に引き寄せられるかのように身を寄せ合う男女が様子が描かれている。

　2人のクリエイターによる映像作品。very short movieとMV、両方が合わさることでより楽曲の世界観が深く表現されている。

　冒頭で触れた新曲「空の青さを知る人よ」は、同名アニメ映画の主題歌。同映画は、過去と現在をつなぐ、不思議で切ない“二度目の初恋”を描く物語だという（参照）。very short movieは、晴れた空の下で白い衣装に身を包んだあいみょんが顔をのぞかせる爽やかな作品。MVはまだ公開されていないが、きっとvery short movieとは異なる方法で同曲を解釈した映像になることだろう。今後公開されるであろうMVにも注目したい。

■清水 莉子
1994年生まれ。
エンタメ系の記事を主に執筆するフリーライター。
「エンタメも人生も、考察してはじめて面白い」がモットーです。
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