アジカン×テナー×エルレによる“対バン”ならではのドラマが再び 15年ぶりツアー開催の意義

 2019年10月、ASIAN KUNG-FU GENERATION、ストレイテナー、ELLEGARDENによる『NANA-IRO ELECTRIC TOUR』が開催される。このツアータイトルにピンと来た人は、おそらく30代以上ではないだろうか。これは2003年~2004年に、ASIAN KUNG-FU GENERATIONが中心となり、ストレイテナーと共に開催していた対バンツアーである。参加バンドはELLEGARDENだけではなく、PENPALSやART-SCHOOL、椿屋四重奏といった、ライブハウスをアツくする面々が名を連ねていた。そう、今回のツアーは大阪、愛知、横浜のアリーナクラスの3カ所をまわるものだが、かつての『NANA-IRO ELECTRIC TOUR』は全国のライブハウスをまわっていたのだ。これだけのバンドが揃って、ライブハウスツアー!? と驚かれるかもしれないので、この頃が彼らにとってどんな時期だったかを振り返ってみよう。

 まずASIAN KUNG-FU GENERATION。2002年に<UNDER FLOWER RECORDS>からリリースされていたミニアルバム『崩壊アンプリファー』が、2003年にキューンレコードから再リリースされ、そこから階段を駆けのぼっていった印象がある。同年1stフルアルバム『君繋ファイブエム』をリリースし、2004年には『NANO-MUGEN FES.』を日本武道館で開催。また、「君という花」「ループ&ループ」「リライト」といった今なお愛されている楽曲を続々と発表し、その名と音が一気に広まっていった時期である。

 そしてストレイテナー。ホリエアツシとナカヤマシンペイの二人編成だった時期を経て、2003年に日向秀和が参加(正式加入は2004年)。そしてメジャー1stシングル『TRAVELING GARGOYLE』のリリースと、活動のスタイルやフィールドに関して、大きく振り切って歩を進めた時期といえよう。

 さらにELLEGARDEN。2003年は2ndアルバム『BRING YOUR BOARD!!』、2004年は3rdアルバム『Pepperoni Quattro』をリリースし、その才能に多くの人が気付きはじめ、人気の導火線に火が点いた時期である。

 こうして並べてみると、先にひとつ頭が抜きん出たアジカンが、テナーやエルレを含めていろんなバンドを引っ張っていったように見えなくもないが、当時の記憶としては、アジカンも交えて全てのバンドが切磋琢磨していたように思う。音楽性も、エモ、ギターロック、メロディックパンクと、大雑把に言えばバラバラな3バンドだったが、世代感や時代感、さらには友情といった精神的なところで結び付いているように見えて、リスナーも「ジャンルなんか関係ないんだ、いいものはいい」と思えるきっかけとなった。

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