Awich×唾奇、沖縄が生んだ才能と音楽に酔いしれた夜ーー渡辺志保が見たカップリングツアー
ステージの転換を経て、全身白い衣装に身を包んだAwichのバンドメンバーが登壇する。なんと今回、AwichのステージをサポートするのはSOIL&"PIMP"SESSIONSの面々に、小林うてなが奏でるスティールパン&マリンバ、そしてMeg&綿引京子による重厚なコーラスを加えた超豪華編成。それぞれの音色が奏でる艶やかなイントロダクションを経て「Remember」でいよいよミューズ・Awichが登場する。ステージとオーディエンスの高揚感が果てしない。1曲目を終えると、自身のゴールドのネイルにマッチした金色のティーカップでお茶を啜り、お香を焚き始めるAwich。会場を完全に自身の色に染め上げてから衣装の一部を脱ぎ、「BoSS RuN DeM」、「Come Again」、「Move Way」と暴力的なまでに盛り上げていく。EGO-WRAPPIN’の「色彩のブルース」から自身の「紙飛行機」へのトランジションも見事だった。
途中、SOIL&"PIMP"SESSIONSのタブゾンビ(Tp)が参加し、Awichが自らの数奇なバックグラウンドを語りながら「Heaven on Earth」、「Ashes」を歌い上げる。観客席もまた、彼女とともにエモーショナルな空気を分かち合い、Awichが放つ神秘的なオーラとあいまって何とも言えない一体感が生まれていく。
Awichからスティールパンの説明があった後、その音色が印象的な「WHORU?」のイントロへ。2バース目ではANARCHYが登場し、オーディエンスもさらにヒートアップする。〈マジでお前誰?〉の大合唱の後は、そのまま「NEBUTA」へ。フィーチャリングゲストのkZmも加わり、ステージはいよいよクライマックスを迎える。本編の最後は「Love Me Up」で締めくくられた。途中で挟まれたバンドメンバーも、最後、オーディエンス全体を巻き込んだ大合唱も全てがピースなバイブスに包まれていた。また、終始、バンドサウンドを楽しみながら歌うAwichの姿が非常に印象的だった。それぞれの音色を楽しむ余裕も見受けられ、Awichはまるでステージ上を泳ぐしなやかなマーメイドのようだった。
アンコールでは豪華バンドバージョンの「Cho Wavy De Gomenne」のカバーを経て、再び唾奇を呼び込み新曲「Deigo」をパフォーマンス。沖縄が生んだ次世代の奇才アーティスト2名によって、たっぷりと音楽に酔いしれた贅沢な一夜となった。
■渡辺 志保
1984年広島市生まれ。おもにヒップホップやR&Bなどにまつわる文筆のほか、歌詞対訳、ラジオMCや司会業も行う。
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