MISIAが一つの時代を締めくくるのは必然だった 平成最後の武道館公演を振り返る

 21年前、この国の音楽シーンの新しい扉を開けたボーカリストが、一つの時代を締めくくるのは必然だったのだろう。4月26日から3日間に渡って行われた『MISIA 平成武道館 LIFE IS GOING ON AND ON』。日本人アーティストとして平成最後の武道館公演となった28日のファイナルは、まさに時代の変わり目に刻まれる歴史的な日。360度をぐるりと囲む満員の観客と共に、平成を見送り令和を迎える希望のセレモニーだ。

(写真=Santin Aki)

 午後6時半、オープニングアクトのLittle Black Dressが、いきなり強烈なパフォーマンスで会場を沸かせる。MISIAの後輩の名に恥じないパワフルボイス、宝塚のトップスターを思わせる凛とした立ち姿、紛れもなく大器だ。ぐっと高まる期待感の中で場内暗転、巨大な三面スクリーンがステージに舞い降りて、1964年の東京オリンピックに始まる武道館の歴史を映し出す。まばゆい光と共に力強いリズムがはじけ、上昇するスクリーンの下からMISIAとダンサーたちが勢いよく飛び出す。大歓声が武道館をつつみ込む、なんとドラマチックな胸躍る幕開けだろう。

「今日は平成最後の武道館、盛り上がっていくよ!」

(写真=Junichi Itabashi)

 曲は「Sparks!!」。最新アルバム『Life is going on and on』の中でもとりわけ強力なダンスロックチューンで、高貴な白とゴールドの衣装で激しく歌い踊るMISIAは、まるで音楽のミューズに仕える巫女のよう。間髪入れず「Escape~Rhythm Reflection~LOVE BEBOP~Royal Chocolate Flush~THIS IS ME」というファンキーでロッキンな豪華メドレーが後に続き、大量のスモークが吹き出す派手な演出の中、10名を超えるダンサーたちがステージ狭しと群舞を繰り広げる。打楽器が3人いる上に管弦楽器隊も加えた大編成が奏でる分厚いサウンドに負けず、武道館を揺るがすMISIAのウルトラハイパワーな歌声。ただ一言、圧巻だ。

(写真=Santin Aki)

 再びスクリーンが舞い降りて、今度は日本武道館の歴史に残るアーティストたちの紹介が始まる。武道館を初めてライブに使った1966年のThe Beatlesに始まり、エリック・クラプトン、ジャネット・ジャクソン、Oasis、QUEENなど、錚々たるスターの肖像は、そのまま日本のロック/ポップスに重大な影響を与えた紳士録だ。懐かしく見とれているうちにシーンは変わり、鮮やかなショッキングピンクと黒の衣装に身を包んだMISIAが再登場。曲はなんとQUEENのカバー「We Will Rock You」と「We Are The Champions」の二連発だった。フレディ・マーキュリーばりのスティックマイクを手に、背後の北スタンドや東西の客席のすぐ近くまで駆け寄り拳を振り上げ歌う、ロックスターさながらの雄姿に惚れ惚れする。「ここはミュージシャンにとっても特別な場所。平成の締めくくりに、心を込めて歌っていきます」と決意も新たに、アッパーなラテンダンスチューン「来るぞスリリング」のリズムに乗ってステージを駆け抜けるMISIA。以前に見たライブよりもさらにパワーアップして、キャリアを重ねるほどにステージの運動量が増えていくのは、一体どういうことなのだろう。

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