シングル『Blast!』インタビュー

TRUEが語る、『響け!ユーフォニアム』への特別な思い「ずっと一緒に生きていくんだろうな」

 TRUEが、ニューシングル『Blast!』を4月17日にリリースした。

 今作の表題曲は4月19日から全国で公開される『劇場版 響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜』の主題歌。TRUEはこれまで2015年のテレビアニメ『響け!ユーフォニアム』のオープニングテーマ「DREAM SOLISTER」や、2016年の『響け!ユーフォニアム2』のオープニング曲「サウンドスケープ」を制作しており、『ユーフォニアム』シリーズとタッグを組むのは今回が3回目となる。

 もはやTRUE×『響け!ユーフォニアム』はアニソンシーンで名の知れたブランドのひとつ。果たして今回はどんな音を聴かせてくれたのか? 彼女に話を聞いた。(成松哲)

TRUEと加藤裕介と『響け!ユーフォニアム』の4年間

——2月の東京・TSUTAYA O-EASTでのデビュー5周年ワンマンライブ企画第1弾『TRUE 5th Anniversary Live Sound! vol.1 〜SINGLE COLLECTION〜』ですけど、お客さんがあそこまで入ったO-EASTは久しぶりに見ました(参考:TRUEのライブに溢れるアニメ&アニソン&音楽への愛 デビュー5周年記念ライブ第1弾を見て)。フロアはもちろんだし、関係者席のあったバルコニーにまでファンの方が集まって。

TRUE:私自身、ステージに上がって、人の波を見た瞬間、すごくテンションがあがっちゃいました。フロアだけじゃなくてドアの向こうにも人がいて。そのお客さんたちからエネルギーをもらったこともあって、我がことながらいいパフォーマンスができたな、と思っています。

——そのO-EAST公演で、今回リリースするシングル曲「Blast!」を初披露なさったじゃないですか。バルコニーから見ている分には誰もが初めて聴く曲なのにちゃんとノっていた。TRUEさんの書く『響け! ユーフォニアム』(以下、『ユーフォ』)楽曲へのリスナーの信頼の高さを感じました。

【TRUE】「Blast!」MV Short Ver.(『劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』主題歌)

TRUE:確かにちゃんと迎え入れてもらえるだろうなという予感はあったし、元気な曲なので「みんな体を動かして盛り上がってくれるといいな」とは思ってたんですけど、それと同時に噛みしめるように聴いてくれていたのがすごく印象的でした。曲の途中ですぐに言葉が立つように歌うことを意識させられたくらい、ちゃんと届いていること、ちゃんと聴いてくれていることを実感できました。

——実際「Blast!」はこれまでTRUEさんが手がけてきた『ユーフォ』楽曲……「DREAM SOLISTER」や「サウンドスケープ」と比べても明らかに元気がいいですよね。

TRUE:はい。ただ、今回作曲家の加藤(裕介)さんには元気がいいだけではなく、苦悩や迷いを乗り越えた末の強さを表現できる楽曲にしてほしいというオーダーは出させていただきました。

——それはなぜ?

TRUE:今回私が手がける『ユーフォ』関連の楽曲は3作目だし、私自身デビューしてからもう5年のキャリアがあるので、ただただ元気ではいられないし、実際にそれだけではなかったよな、と思ったので。

——そういえば今回の作曲家・アレンジャーはなぜ加藤さんだったんでしょう。『ユーフォ』関連の楽曲としては1曲目となる「DREAM SOLISTER」は加藤さんの手によるものだったけど、2曲目の「サウンドスケープ」は渡辺拓也さんが作曲とアレンジを手がけていますよね?

TRUE:もともと『ユーフォ』第2期のテーマソングを作ることになったとき、最初に加藤さんに声をかけていて。お互い意見を出し合って「DREAM SOLISTER」を超える曲を作ろうって苦戦したんですけど、結局うまく着地できなかったんです。それでコンペを開いてみたんですけど、そこでもいろんな作家さんが提案してくださるものと、私たちが思い描いている音の世界がうまく合致しなかった。で、最後の最後にナベタクさん(渡辺)にこちらの思いを全部伝えて作っていただいたのが「サウンドスケープ」なんです。今回劇場版の『ユーフォ』のテーマソングを、というお話をいただいたときに加藤さんとの紆余曲折を思い出して「あらためて一緒に作ってみませんか」とお話ししたところ、食い気味に「ぜひ!」とお返事をいただいて(笑)。そこからディスカッションを重ねてデモを作り、そのあと、レコーディングにも立ち会っていただいて、メロディを少しずつ変化させながら作ったのが今回の「Blast!」なんです。

——「サウンドスケープ」制作時には不調に終わったTRUE×加藤裕介タッグが今回は素晴らしく機能した理由ってなんだと思います?

TRUE:加藤さん自身、一旦『ユーフォ』楽曲と距離を置いたからっていうのもあるでしょうし、私が5年間プロのアーティスト、作詞家としての道を歩んできて、いろんなものを見て、いろんなことを感じられたことがすごく大きな理由になってるんじゃないかなあ。「Blast!」にあって「DREAM SOLISTER」にないものって「光があるところには影がある」ということを表現しているところだと思っていて。その苦悩や葛藤を表現できたのは「DREAM SOLISTER」を作ったときから4〜5年を経た加藤さんと私の関係があったからこそなんですよね。

——そしてTRUEさんの歌詞は確かに音楽を作る苦悩や葛藤を歌いつつ、それでも「音楽は素晴らしい」と宣言するものになっている。なぜ今あらためて、このテーマで歌うことに?

TRUE:なんでなんだろう?(笑)。最初は(『響け! ユーフォニアム』シリーズのヒロイン・黄前)久美子とユーフォニアムの関係を歌った曲を作ろうと思ったんですね。これまでの『響け! ユーフォニアム』シリーズってブラスバンドの演奏にまつわる汗と涙といった熱い要素を語ってきた物語だったんですけど、今回の劇場版ではちょっと恋の要素が物語の中に含まれていたので。ただ『ユーフォ』に対してストレートなラブソングを書くのはなんかしっくりこないから、であるならば、久美子と楽器の関係を男女の関係になぞらえてみようかな、って思ったんです。久美子はなりゆきとはいえ、ユーフォニアムに惹かれて担当楽器を選んだわけだし、それをラブソングとも捉えられるように書けたら面白いのかな、と視点を変えてみた結果できたのがこの歌詞なんです。だから、あえて自分の苦悩や音楽に対する愛を歌いたかったわけではないんですけど、書き上げてみたら、この曲のヒロインの音楽や楽器との距離感が、私がこの5年間、どう音楽と向き合ってきたかっていうことと自然と一致していたんです。だから私が「音楽は素晴らしい」ってあらためて宣言しているように聞こえるのかもしれないですね。

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