KOHH、ANARCHY、SALU……異彩を放つ“ネームドロップ”がもたらす効果を解説
SALUの多様なネームドロップが炸裂「Shell Shocked(Remix) feat. Aico」
2015年に公開され大ヒットした映画『ミュータント・タートルズ』。ジューシー・J、ウィズ・カリファ、タイ・ダラー・サインによる本作の英語版テーマソング「Shell Shocked feat. Kill The Noise & Madsonik」をビートジャックしたSALUの「Shell Shocked(Remix) feat. Aico」もネームドロップが多用されている。
この楽曲はKOHHやAKLO、リアーナといったヒップホップリスナーにはおなじみの名前も登場するが、きゃりーぱみゅぱみゅや渡辺直美、水原希子、ローラ、ONE OK ROCK、サカナクションといった芸能界やロックシーンのビッグネームもドロップされていることが特徴だ。
〈まず不可能を可能に/世界に飛び出すまるで渡辺直美/リアーナか希子水原/ワンオクかサカナ〉
このように一般的なリスナーにも知名度のある有名人やアーティストをネームドロップすることで、リリックのイメージが広がり楽曲の展開がオープンになる。これはステレオタイプのラッパーではないSALUだからこそ表現できるネームドロップであると言えるかもしれない。
ちなみに『ミュータント・タートルズ』の日本語版テーマソングはRIP SLYMEが手掛けた「ナイショデオネガイシマス」。「ミュータント・タートルズ」を彷彿とさせるワードが散りばめられたユニークな楽曲なので、そちらも合わせて聴いてみると面白い。
このように、ラップにおけるネームドロップは、ラッパーのキャラクターを表したり、リリックの表現の幅を広げるための重要なテクニックのひとつである。他にもネームドロップが出てくる楽曲は数多くあるので、ぜひチェックしてみてほしい。
■橋本洋平
1981年横浜生まれ。広告制作の傍ら、ヒップホップやR&Bを中心に執筆する音楽ライター。ファンキーなサウンドが好きで、ロックやEDMも好む。
Twitter