King & Princeは“王子様”のまま“王”になる 「君を待ってる」を軸に1年の成長を振り返る

 一方、共演したビートたけしも思わず吹き出すほどの天然キャラで、すっかりバラエティでも人気を獲得した平野紫耀だが、神宮寺勇太から「抜けてそうに見えてちゃんと頑張ってる。仕事に対しての熱がすごい」と素顔を明かされる。平野も高橋と同様、どこか放っておけない母性をくすぐるタイプに見えるが、練習を重ねるのは「見に来てくれる人のためでもあるけど、自分のためでもあるからね」とクールな返しが印象的だった。言われたことをただこなすのではなく、自分のパフォーマンスとして恥ずかしいものは見せられない、というプライド。そのために気になることがあれば、自分から意見を出すことも惜しまないという、芯の強さがにじみ出ていた。

 そんな平野の本質を見極めた神宮寺は、メンバーから「今一番メンバーで落ち着いている」と評される。これまではKing & Princeの中でも、躊躇なく甘いセリフと共に投げキスやウインクを振りまき、ちょっぴりチャラいキャラクターで親しまれてきた神宮寺。しかし、不安定な時期の岩橋を、黙ってそばで支えてきた器の大きさが“見つかってしまった”ようだ。本人は「感情を出すのがヘタ」だと分析し、弱音も小声だからクールに見えるのかもしれないと言うが、それも含めて大人になったように感じる。その上で、メンバーから相談されたら「自分ができることなら助けてあげたい」と情に厚い性格はずっとブレない。

 そして、落ち着いた神宮寺から見て「中身がグイグイ系で変わってない」と言われたのは永瀬廉。関西ジャニーズJr.出身の彼は、近況に関ジャニ∞の大倉忠義とご飯に行った話を出す。自分から先輩に相談しにいく人懐っこさは、成長に欠かせない。高橋曰く「最近の廉は大人になりすぎちゃった」そうで、子どもらしい小競り合いをしなくなったという。グループ内の関係性、信頼感があるからこそ、外に目が向くもの。きっと永瀬が大倉に相談して得たものは、グループに還元されていくに違いない。もしかしたら、今週『ZIP!』(日本テレビ系)の「DESHIIRI」で永瀬が見せた“喜怒哀楽”の即興演技が爆笑ものだったのは、そのときのアドバイスから何か得たからかも? 感情を解放し、一気にボルテージを上げて“怒り”を表すのに、永瀬がドスの利いた関西弁でまくしたてるのだ。そして、一緒に挑んだ岸がタジタジになる微笑ましいオチもさすがだ。

 そう、岸はいつもメンバーがイジる隙がある。うまくいった喜びも、ミスをした落ち込みも、常に全力な岸。そんな何事も手を抜かない岸を知っているからこそ、他のメンバーがさらに輪をかけて全力を見せるし、逆に思いきりスルーすれば、自然と岸の必死さが浮いて見え、イジられてしまうという、おいしい展開になる。その絶妙な掛け合いは、デビュー披露会見のころにはすでに仕上がっていたが、この1年でメンバーが大人になってきたことにより、さらにメリハリができたように思う。この団体芸はきっとこの先も熟成されていくはずだ。

 王子様として愛される魅力はそのままに、王にふさわしい品格と大きな懐を身につけていくKing & Prince。明日がどうなるかは誰にもわからないけれど、きっと彼らが見据える未来には、ファンの夢が目標となって掲げられているはずだ。だから、今夜の放送ではKing & Princeのエールソングに耳を傾けながら、彼ら自身にエールを送りたい。

(文=佐藤結衣)

※高橋海人の「高」はハシゴダカが正式表記。

関連記事