King Gnuはポップミュージックの価値基準をひっくり返す 「白日」から楽曲のユニークさを解説
このバンドは時代をひっくり返すーー。
いかにも往年のロック雑誌みたいな大仰な言い回しだけれど、King Gnuの曲を聴いて、ライブを観て、実際にそう感じてしまったのだからしょうがない。
時代というのは、すなわちポップミュージックにおける価値基準のこと。それは「何がヒットするか」とか「誰が売れるか」みたいに数字で読み切れる単純なものじゃない。何がインで何がアウトか。「格好いい」とはどういうことか、「センスがいい」とはどういうことか。そういう一人ひとりの直感的な判断が積み重なり、うねりのような潮流となって、最終的に“時代性”というものを形作る。King Gnuというバンドには、その基準をアップデートするようなパワーを感じる。
たぶん、筆者と同じく去年くらいからその予感を抱いていた人は少なくないだろう。だから彼らのライブの動員は右肩上がりで増していったし、同業者であるミュージシャンたちの評価も高まっていたし、今年初頭に放送された音楽番組『バズリズム02』(日本テレビ系)をはじめ様々な場所で「2019年ブレイク候補の筆頭」に挙げられていた。1月にリリースされたメジャーデビューアルバム『Sympa』は、そのタイトルどおり瞬く間に彼らの“シンパ”を増やしていった。
つまり、すでに導火線に火はついていた。そして、2月22日に配信リリースされた新曲「白日」が、決定打となったのだ。この曲が巻き起こしている状況はそういうことだろう。「白日」はリリース当日からストリーミングサービスでかなりの再生数を叩き出し、各種チャートでも上位にランクインしている。
King Gnu「白日」MV
この原稿を書いている2月27日時点でApple Musicの「リアルタイム(総合)」ランキングでは、あいみょん「マリーゴールド」、ONE OK ROCK「Stand Out Fit In」に続いて3位。Spotifyの「急上昇チャート」では1位。LINE MUSICの「リアルタイム(総合)」でも1位。ダウンロードも含め、その他各種チャートでも軒並み上位にランクインしている。
では、なぜ「白日」はここまでのセンセーションを巻き起こしつつあるのだろうか?
もちろんメディア露出の力は大きい。
この曲は彼らが土曜ドラマ『イノセンス 冤罪弁護士』(日本テレビ系)に初のドラマ主題歌として書き下ろした一曲。坂口健太郎主演の同ドラマは、多少波はあるものの回を重ねるごとに視聴率を増し、緊迫感とカタルシスを持つ筋書きも注目を集めている。