2ndフルアルバム『瞬間的シックスセンス』インタビュー

あいみょんが語る、作品に懸ける一瞬の閃き 「世の中には見逃したくないものがいっぱいある」

生活感のあるアーティストが好き

ーーなるほど。その瞬間を大切にした結果なのか、1曲1曲が際立っているアルバムに感じました。

あいみょん:書き下ろしが多かったこともあったと思いますけど、どの曲もやっぱりリード曲を意識して作ったので、パキッとしたものになったのかなと思いますね。

ーーこれまでに発表されていない曲だと、収録曲の「ひかりもの」が特に惹かれました。

あいみょん:この曲はトオミヨウさんにプロデュースしていただいたんですけど、「マリーゴールド」のカップリング「あなたのために」から二度目ですね。石崎ひゅーいさんをずっとプロデュースされてて、私がそもそもトオミさんのファンなんですよ。それで今回は「ひかりもの」と「夢追いベンガル」と「ら、のはなし」の3曲をお願いしました。

ーー「ひかりもの」の曲調は、フォークだったりニューミュージックだったり、あいみょんさんのルーツを感じさせる曲で、インディーズの時にリリースした『憎まれっ子世に憚る』の……。

あいみょん:おっ!

ーー……「ほろ酔い」を思い出しました。

あいみょん:「ほろ酔い」か〜。

ーー外した感じですね……。

あいみょん:でも私もスタッフもこの曲を作った時に、インディーズの頃の曲に近いっていう話をずっとしてたんですよ。そこで出てきたのは、『憎まれっ子世に憚る』の「19歳になりたくない」ですね。インディーズの頃に出してても全然おかしくないような曲なのに書いたのは2018年の頭。22歳の時に書いたのに、10代感がすごい曲です。

ーー今、そういう印象の曲をアルバムに収録したのはどういう思いがあったのでしょう。

あいみょん:アルバムに入れる曲は、その時自分の手元にある楽曲、デモ曲もそうですけど、その中でこいつらが1番だなって思える曲を収録するのが私は正義かなって思ってて。出し惜しみせずに1番いいと思えるものを今出すっていう。「ひかりもの」は、2018年に1発目に書いた曲なんです。珍しくすごく感情的になって書いた曲。それこそ感情的になって書くことは10代の頃に多かったんですよ。悲しくてとか、ムカついてとか感情的に書くことって最近あまりないんですけど。この時はすごく悲しくてムカつく衝動で書いた曲でもあって。

ーー他の曲とは温度感が違うんですね。

あいみょん:「ひかりもの」で書いていることは2018年の自分自身のことなんですよ。割と前向きな言葉に思うかもしれないんですけど、私にとってはすごいマイナス。マイナスというか自分自身、2018年はひかりものであるっていうのがあって……。例えで言うと、やっぱり1番光ってる星をみんな見つけやすいから見るだけで、すぐ別の星に目移りするじゃないですか。1番星見つけたって言ってもずっとその星を見てるわけじゃなくて。すぐその横にあるオリオン座やら色んな星を探しにいく。だからそういうものに今自分自身は近いと思ってて。今たくさんの方に曲を通して注目されてるかもしれないんですけど、それは今だけであってみたいな。

ーーそれが2018年のはじめの頃の気持ち。

あいみょん:割とずっとそう思ってましたね、2018年は。ただ安心できないとか、危機感があるとかそういうわけじゃなくて。今の状況がいつまで続くかわからないからこそやっぱり周りの人を大事にしないといけないとも思いましたし。当たり前のことをやらせてもらってるわけじゃないので、今に感謝しなきゃなと思いながらやってました。

ーーそんな裏側があった曲だったんですね。

あいみょん:はい。大人になると、それまでに傷ついてきたこともいっぱいあって、ちょっとのことでは泣いたりしないかなと思ったんですけど、本当に小さい石ころみたいなものにつまずいて泣いたりすることもある。それがすごく人間的でいいなって思うんですけど、その時はただショックだったりもする。そういうことを色々考えてた時期ですね。

ーーあいみょんさんがブレイクした2018年はそこから始まった。

あいみょん:そうです。だから「2018年は、あいみょんさんにとってすごい飛躍の1年でしたね」とか「順風満帆ですね」とか言われることもあって有難かったですけど、私にとっての2018年は最悪から始まってるので。全然トントン拍子でもないですし、色々感じてたこともありました。「ひかりもの」を聴くと思い出しますね。まだムカついたりとかする。このやろーみたいな。

ーー世間での見られ方と実際の部分はやっぱり違うところがあるんですね。

あいみょん:みんなに「あいみょんが遠い人になっちゃった」ってよく言われるんですけど、私としては近くなってるつもりで。だから私は遠くなったって言われるとすごく悲しくなる。異次元の人になりたくないなって。だから生活感を大事にしたくて、アーティストとしての自分ももちろんありながらも、普通に生活したい。個人的にもそういう生活感のあるアーティストさんが好きなんです。

ーー生活感のあるアーティストって例えばどういうものですか?

あいみょん:うーん、カップラーメンを食べてる姿が目に浮かぶ人。でもそれってどうやって見せられればいいのか、模索中です。

ーー『瞬間的シックスセンス』に話を戻すと、今作ではいろんなアプローチがあって、いろんなあいみょんさんの魅力を感じることができます。そのアプローチのひとつに曲で使われる楽器が増えていて、あいみょんさんの楽曲として新しい印象を受けました。

あいみょん:今回4人のアレンジャーさんと一緒に作ったんですけど、初めてご一緒させていただいたのは1番最後の曲の「from 四階の角部屋」でプロデュースしてくださったアイゴン(會田茂一)さん。今回、いろんな曲が入ってるんですけど、アイゴンさんのおかげでアルバムを締めるような曲になりました。あとは、トオミさん、関口(シンゴ)さん、田中(ユウスケ)さん。この3人とは、これまで一緒に曲を作ったこともあって割と私の好きな音や癖をわかってくださっているんですけど、やっぱり楽器に関しては私は全然素人で。だから「恋をしたから」でクラリネットの音を入れていただいた時は感動しました。クラリネットの音が入るとこんなにいいんやと。アレンジャーさんと一緒にやらせていただくことで、いつもすごく勉強させてもらっています。

ーーそういう新しい発見のある曲もありつつ、「マリーゴールド」や「GOOD NIGHT BABY」、今作には収録されていないですけど、映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』に楽曲提供した「体の芯からまだ燃えているんだ」も含めてこれらの曲は、あいみょん節といえるものが確立されているようでもありました。

あいみょん:でも基本的に作品を作る上では意図的なものは一切なくて。偶然の産物じゃないですけど、偶然生まれるものがすごくよかったりするっていうのがほとんどですね。

ーーその感覚がここまで支持されているのはすごいですね。

あいみょん:本当に私自身も何の確証もないですし根拠もないけど、「この曲はいける」って思ったものに関しては自分で言うようにしてます。「絶対にいけます」みたいな。

ーーそれが「マリーゴールド」。

あいみょん:そうですね。「君はロックを聴かない」もそうでした。「君はロックを聴かない」を作った時も、一瞬背中がゾクゾクする感じがあったというか、「この曲は絶対私の夏を変えます!」と思って。「マリーゴールド」ができた時も、メールで懸命にいろんな人にいい曲できましたって言って。この曲が聞かれない音楽の世の中はおかしいって思えるぐらい、いい曲できたって思えたので。だからこれはまた夏が動くぞみたいな。ああいう瞬間っていかに自信家になれるかというか、いかにナルシストになれるかが曲の行く末を左右する気もしますね。

ーーアーティストのスタンスとして大事なことかもしれないですね。そして2月18日には初の武道館公演が控えています。

あいみょん:弾き語りでのライブなんですけど、最近テレビで歌を披露する時はバンドでやっていて。でも私の原曲ってギターと声。私のCDをみんな原曲って思ってるかもしれないけど、原曲はこれですっていうのを武道館では聴かせたいなと思います。

ーー楽しみに取っておきたいので、あえてここではどういう演出かは聞かないでおこうと思います。音楽活動以外で今年の目標はありますか。

あいみょん:スポーツをやりたいですね。ボルダリングとか、体を鍛えたいな。あとは映画とか本とかもっと読みたいし観たいですね。去年読めなかったわけじゃないんですけど、もっと読みたいなと思います。

ーー生活感を出しながらですよね。

あいみょん:はい。カップラーメン食べながら(笑)。

(取材・文=高木智史/写真=伊藤惇)

■リリース情報
『瞬間的シックスセンス』
発売:2月13日(水)
価格:¥3,024(税込)
※スリーブケース仕様
<収録内容>
01. 満月の夜なら
02. マリーゴールド (Google アプリ CMソング)
03. ら、のはなし (映画『あした世界が終わるとしても』挿入歌)
04. 二人だけの国
05. プレゼント (フジテレビ系『めざましどようび』テーマソング )
06. ひかりもの
07. 恋をしたから
08. 夢追いベンガル
09. 今夜このまま (日本テレビ系水曜ドラマ『獣になれない私たち』主題歌)
10. あした世界が終わるとしても (映画『あした世界が終わるとしても』主題歌)
11. GOOD NIGHT BABY
12. from 四階の角部屋

■ライブ情報
『AIMYON BUDOKAN -1995-』
2月18日(月) 日本武道館 

『AIMYON vs TOUR 2019 “ラブ・コール”』※全公演対バンあり、対バン相手は後日解禁
5月17日(金)Zepp Sapporo 
5月24日(金)Zepp Nagoya
5月25日(土)Zepp Nagoya
5月31日(金)Zepp Osaka BaySide
6月1日(土)Zepp Osaka BaySide 
6月9日(日)Zepp Fukuoka
6月14日(金)Zepp Tokyo
6月15日(土)Zepp Tokyo
6月22日(土)Sendai PIT
6月23日(日)Sendai PIT

『AIMYON TOUR 2019 -SIXTH SENSE STORY-』
10月11日(金)埼玉 三郷市文化会館
10月13日(日)北海道 札幌文化芸術劇場hitaru
10月17日(木)新潟 新潟テルサ
10月18日(金)新潟 新潟テルサ
10月23日(水)大阪 オリックス劇場
10月24日(木)大阪 オリックス劇場
10月26日(土)愛知 愛知芸術劇場
10月27日(日)愛知 愛知芸術劇場
11月2日(土)熊本 熊本市民会館シアーズホーム夢ホール
11月3日(日)鹿児島 鹿児島市民文化ホール第一
11月7日(木)宮城 仙台サンプラザホール
11月8日(金)宮城 仙台サンプラザホール
11月14日(木)広島 上野学園ホール
11月15日(金)広島 上野学園ホール
11月17日(日)福岡 サンパレス
11月23日(土)愛媛 松山市民会館
11月24日(日)香川 サンポートホール高松
11月30日(土)石川 本多の森ホール
12月14日(土)兵庫 神戸ワールド記念ホール
12月15日(日)兵庫 神戸ワールド記念ホール
12月17日(火)神奈川 横浜アリーナ
12月18日(水)神奈川 横浜アリーナ

あいみょん オフィシャルサイト

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