『第7回アイドル楽曲大賞2018』アフタートーク(メジャー編)
オサカナ躍進、けやき坂46への期待、ベビレ解散…『アイドル楽曲大賞』激動の2018年を振り返る
2019年はBNK48、IZ*ONEら海外勢にも注目
ーー1位、3位のオサカナに挟まれての2位がベイビーレイズJAPANの「夜明けBrand New Days (farewell and beginning)」でした。
ガリバー:解散ライブの最後に流された映像が、そのままYouTubeにMVとして公開になっているそうで。この曲は2015年のアイドル楽曲大賞で9位に入っていて、それ以来のランクインです。
ーーアウトロ前には〈僕が目指す明日へ 君が目指す明日へ〉から始まる前向きな歌詞が追加されています。
ガリバー:リリース自体は2015年ですけど、アンセム化したのは翌年の2016年です。エビ中がコールの「イエッタイガー」を公式に禁止にしたのが話題になった時、「世界一気持ちいいイエッタイガー」というので、ベビレの動画がすごい拡散されて。それをメンバーも知り、そこからなんですよね。最初は虎ガー(ファンの呼称)の間でしか話題になっていなかったけど、『TIF』(『TOKYO IDOL FESTIVAL』)のサイリウムの一件で、良くも悪くも火が点いた。
岡島:僕が見た動画は、移動中のヲタが「夜明け」のイントロが聞こえてきた段階でフェンスによじ登って、暴徒化し始める映像で。アイドルオタはもうこのイントロに対して条件反射で体が動き出すのかもしれないですね。藤本美貴の「ロマンティック 浮かれモード」のイントロを聴いたら土下座し始める、みたいな。
宗像:『TIF』で言うと、BiSの「nerve」イントロが鳴った瞬間に走っていく感じ。
ガリバー:結果、「夜明け」は新時代のアンセムになったし、荒れる曲で終わったのではなく、最終的にラストライブで美しい形で着地させたのは本当に素晴らしい。こうやって話題になる曲がベビレに出来たというのは、すごい幸せなことだと思うし、誇りだと思います。
宗像:同じく、去年解散したPASSPO☆は1曲も上がってこなかったわけですよ。そう考えると、ベビレは運営の締め方が美しかったですね。解散ライブの夜に動画を上げて、2日後に配信が始まるという。
岡島:ここまで上位に来るのは、解散ご祝儀票ではないですもんね。
宗像:曲のバージョン違いに関しては、ノミネートしていても上位に上がってこないことが山ほどあるんですよね。それと比べると、「夜明け」は上がるべくして上がったというのがみんなの実感なんじゃないかと。
ガリバー:去年解散したグループでは、アイドルネッサンスやバニラビーンズ、PASSPO☆、Cheeky Parade、GEM……は、最後の活動に関して言うと爪痕を残せていないんです。だからこそ、ベビレの終わり方は意味があったんじゃないかなと思いますね。
宗像:ベビレは最後までクリエイティブを諦めずに、アウトプットを出していった。あの流れはほかのグループはやっていないことなんで。
ーー5位はSTU48の「暗闇」です。去年はNGT48の「青春時計」が7位に入っていました。AKB48グループはデビュー曲が上位に入る印象です。
宗像:坂道シリーズも含めて、デビュー曲はインパクトのあるものを出してくる。
ガリバー:そういった意味では、「暗闇」は公開時、坂道系等と言われ少しインパクトが弱いと感じましたけどね。STU48は『TIF』を始め、『@JAM EXPO』など、めちゃくちゃ夏フェスに出て行ったんです。実際にライブで観るのと、MVで観るのとでは、振り付けも変わってるので、印象が違う。それが多くのアイドルヲタに「暗闇」が届いたんじゃないかと。
宗像:ファンはこういう「暗闇」みたいなモードを求めているのかな。アコースティックな曲で、サウンドアイコン的な方面が馴染んでいるのがある。
ーー2月にリリースされる2ndシングル「風を待つ」はどうですか? AKB48「11月のアンクレット」のようなドゥーワップのナイアガラサウンドで。
ガリバー:僕は2ndの表題としては少し弱い気がしましたね……。今年は新たな姉妹グループがいない状態で、海外への進出が進んでいます。海外の姉妹グループは来年ノミネートします?
宗像:タイではBNK48の「恋するフォーチュンクッキー」が社会現象になったり、2018年のBNK48の盛り上がりはヤバかった。サブスクリプションにもBNK48はあるし、例えば「RIVER」がランキングに上がってくる可能性もあったわけですよ。
ガリバー:2019年はBNK48のニューシングルが出る一方で、今のところ新しい国内グループの動きがないんですよ。来年はAKB48本体がいい曲を出さない限り、海外勢が来る可能性はありますよね。海外ファンの投票がもし“群”でやってきたら、全部ランキング制覇されますよ。海外の人たちのアクティビティはすごいから。
岡島:特に、K-POPはすごいという印象がありますね。
ーーそれこそ、IZ*ONEは熱狂的なファンが多いので、群で来たら一気にランキング制覇も。
宗像:IZ*ONEは27位に「La Vie en Rose」が入ってますけど、PRODUCE 48の「NEKKOYA (PICK ME)」が上位に入ってきてもおかしくなかった。
ガリバー:日本デビュー曲「好きと言わせたい」も披露されました。日本向けの活動も活発になっていくはずだろうから、間違いなく上位に来るでしょうね。
宗像:韓国ではファンミーティングも熱心なので、ファンも熱狂的な状態になると思います。特に女性中心ですよね。
ガリバー:日本と海外に向けのアプローチをどうバランスを取っていくのか気になります。
ーー6位は夢みるアドレセンスの「メロンソーダ」で、新メンバーの山下彩耶さんがセンターに抜擢された曲です。
宗像:メンバーの卒業といろいろなことがあった夢アドがメンバーを増員して、またこれだけ評価されたのはすごいな。
ガリバー:センターが新メンバーというのは、ありがちなパターンではあるんですけど、この起用には絶対的な自信があったはずなんですよ。彩耶ちゃんにも実力があるとしても、新体制の夢アドは空気が変わった。楽曲にしてもそうだし、運営の姿勢的なところでも。票数的にも夢アド以降は、グッと票数が空くので、本当の上位争いと言えるのはここまでとも言えます。
ーー7位の東京女子流の「kissはあげない」はどうでしょうか。
宗像:作曲は、フィロソフィーのダンスの楽曲を多く手がける宮野弦士です。16位のMELLOW MELLOW「マジックランデブー」を書いていたりもする。女子流も元々ファンクミュージックをやってるグループで、一昨年の『@JAM EXPO』で女子流を観ているフィロのスのメンバーが、女子流のダンスに圧倒されていたんですね。先行してブラックミュージックにアプローチしていったのが女子流で、そこにフィロのスの楽曲を手がける宮野弦士が参加したと。
ガリバー:女子流は一昨年にアイドルシーンに復帰したけれど、それからヒット曲を出せたかというとパッと思いつかないじゃないですか。そういった意味で言うと、勢いづいたフィロのスのクリエイターから楽曲をもらってくるというのは、今の空気を取り入れつつ運営した結果とも言えますよね。
宗像:僕はフィロのスの方が女子流よりボーカル面においては上なんじゃないかと思っているんですよね。刺激し合う関係になったらいいなと思っています。
ガリバー:2019年の『TIF』でクロスコラボが観られたら最高ですね。