ジャニーズライター対談

TOKIO、タッキー&翼、関ジャニ∞、King & Prince…ジャニーズ激動の2018年を振り返る

 タッキー&翼の解散、TOKIO山口達也、関ジャニ∞・渋谷すばるの脱退など、ジャニーズにとって激動の一年となった2018年。振り返ると、King & Princeのデビュー後すぐの大ブレイクといった若手と呼ばれるグループたちの飛躍と、KAT-TUNの充電期間終了など中堅どころの新しいキャリアが充実していた一年でもあった。今回リアルサウンドでは、ジャニーズグループに関連したコラムを数多く担当している芸能ライターの佐藤結衣氏と高橋梓氏による振り返り対談を行い、ジャニーズ全体の傾向と来年への期待について語り合ってもらった。(編集部)

華々しいKing & Princeデビュー、ジャニーズJr.チャンネル開設

佐藤結衣(以下、佐藤):今年は1月にCDデビューが発表されたKing & Princeをはじめ、全体的に若手の盛り上がりが印象的でした。

高橋梓(以下、高橋):King & Princeはジャニーズだけに限らず、芸能界全体として見ても話題性ナンバー1と言って良いくらいの勢いでしたよね。ジャニーズJr.時代から完成されていたイメージがあったので、私は当初「デビューしてもあまり変わらないのかな」と思っていたのですが、デビューしたらより輝きが増して驚きました。

佐藤:デビューが発表されてすぐにメンバーの平野紫耀さんがドラマ『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(TBS系)のメインキャストに抜擢されて、主題歌も「シンデレラガール」で担当。このメインキャスト×主題歌はジャニーズの王道パターンではありますが、その中でも最も成功した一つだと思います。

高橋:楽曲がすごくよかったですもんね。幅広い世代に響く、“ザ・ジャニーズ”みたいな感じで。新規ホイホイだなと思いました(笑)。私の周りでも、あまりジャニーズに興味がなかったのに、いきなりKing & Princeにハマる人が続出して。それは女性に限らず男性もだし、年齢も本当に様々で。友人の30代の男性がデビューシングル『シンデレラガール』を買って、「マジでいい曲だよね」って言ってたのが印象的でした。主題歌がお茶の間に広く愛されたのは、ドラマとの親和性が高かったのが要因の一つなのかなと。

佐藤:確かに。あと平野紫耀さんの演技が上手かったのも功を奏しましたよね。Jr.時代から舞台などで場数を踏んでしっかりとキャリアを積み上げてきたからこそ、新規の方や原作ファンの方が観ても違和感なく受け入れられるし、古くから応援してたファンにとっては「やっと来た!」という感じで、どちらの期待も外さなかったのが良かったんじゃないかなと。また平野紫耀さんは、素の天然さが面白いとバラエティにも引っ張りだこですよね。

高橋:そんな順風満帆に来ていたところ、ドキュメンタリー番組『RIDE ON TIME ~時が奏でるリアルストーリー』(フジテレビ系)で、岩橋玄樹さんが「パニック障害なんです」と告白。その後、治療に専念するために活動休止を発表しました。

佐藤:あのドキュメンタリー番組からの流れだったので、ファンの皆さんの理解もすごく深まっていたタイミングでの発表だったのではないかなと。「元気になって帰ってきてね」と温かく受け入れられたのではないでしょうか。岩橋玄樹さんはもともと、いじめられていた過去なども赤裸々に語っていた印象なので、偶像化したアイドルというよりは、“身近な男の子が努力して表舞台に立つ”みたいなサクセスストーリーを、みんなで応援していた感じがありました。デビューしたから成功です! というわけではないことをファンの方々は覚悟していた気がします。そういうのも含めてKing & Princeは、多様性が認められつつある今にマッチしたアイドルなのかなと。自分の苦手なものを隠さず、それも個性にして、無理なく自分の夢と両立させていく方法を探すという意味では、新しい時代のアイドル像と言ってもいいのではないでしょうか。

高橋:確かに。そんな中で、『第69回NHK紅白歌合戦』(NHK総合/以下、『紅白』)への出場も決まりましたよね。ただただ、勢いが止まらなくてすごいなと圧倒されます。

佐藤:『紅白』に出場したら、今よりもっとお茶の間に認知されるため、また来年はさらに活躍の場を広げていくのではないでしょうか。メンバー全員が、演技ができて、バラエティでも映える。歌もダンスも申し分ない。デビュー会見を見たときに、アイドルとして求められている自分たちをしっかりと理解しているなという印象を受けました。最終的に岸優太さんをオチに持っていくという綺麗な流れも、かねてから6人で舞台の数を重ねてきたからこそだなと。ファンからしたら「やっとデビューか」という気持ちだったかもしれませんが、「ジャニーズってやっぱりすごいじゃん!」と世間に思わせるタイミングで言うと、ちょうど良かったのかもしれません。また、コンセプトショップ『King & Prince SWEET GARDEN』を開催したのも、新しいなと感じました。

 新しいで言うと、やはり3月にジャニーズJr.のYouTubeチャンネルが開設されたことが印象的でした。滝沢秀明さんが初プロデュースを務めたSixTONESの「JAPONICA STYLE」MVを観て、「これだ!」って思ったんですよ。以前、滝沢さんは公式動画サイト『滝CHANnel』をプロデュースしていました。ドッキリやクイズなど、様々な企画を通じて、ジャニーズJr.たちのキャラクターや、先輩アイドルとの関係性が見えるものだったんですが、ジャニーズ×動画サイトの活かし方は、『滝CHANnel』にあったんだ、と。

高橋:そうそうそう!

佐藤:現在のジャニーズJr.チャンネルは、すでにファンの方が見る分にはとても楽しめるものではありますが、“より多くの方たちに見てもらうためには、一歩引いた視点で企画を組む”という課題があったように感じます。そこを網羅するためには、プロデューサーという立場で企画・編集を担当する人がいた方がいいのかなと。もうすぐチャンネルを開設して2年目に突入しますが、より企画性が問われるようになると思うので、勝負の時期でもあります。そんなタイミングで滝沢秀明さんがテコ入れをしたのは、流石の一言に尽きます。「JAPONICA STYLE」のMVだけでなく、ダンスリハーサル動画など、裏側も丁寧に追っているので、そういったひとつのネタを様々な角度から見せられるっていうのは、まさに企画力が優れている証拠ですよね。またそうやって裏の裏までしっかりと見せられるのがYouTubeの強みでもあるのかなと。でも、こういったことが浸透してくると今度は「CDデビューとは?」という感じにもなっていきそうですね。

高橋:ほかにもジャニーズJr.で言うと、Love-tuneの退所というショッキングなニュースもありましたよね。またジャニーズJr.チャンネルには、関西ジャニーズJr.が含まれていないため、彼らもまた努力しているのに、なかなか恵まれない感が否めません。

佐藤:関西ジャニーズJr.もYouTubeチャンネル持たせてあげて欲しいですよね。曜日固定は視聴者にとってもわかりやすいといったメリットがありますが、自主的にアップしてくれるのもまた嬉しいじゃないですか。頑張っている方たちがもっと自発的に発信できたらいいのになと思います。

高橋:デジタル配信などがどんどん進んでいくと、ジャニーズJr.がコンサートで歌っている音源化されていないオリジナル楽曲も、ファン以外の方たちに広がって行くチャンスが増えるのかなと。ネットを通じて人気が出る子たちが出たら嬉しいですよね。そういう意味では、発信できる場が設けられて、ジャニーズJr.の扱いがいい方向に変わってきているように感じます。

充電完了のKAT-TUN、渋谷すばるの関ジャニ∞脱退

高橋:そう言えば、KAT-TUNも『私立スマホ中学』でYouTubeデビューしていましたよね。

佐藤:してましたね。KAT-TUNの場合は、いい充電期間だったなと感じます。上田竜也さんが来年1月スタートの主演ドラマ『節約ロック』(日本テレビ系)で初コメディに挑むなど、これだけキャリアを積んできて新しいことに挑戦していく姿勢が魅力的だなと。KAT-TUNの場合はもともと正統派ではないやんちゃ感があったから、自由な発言がむしろ“彼ららしい”と喜ばれる強みがある。『私立スマホ中学』では、メンバーが3人になったことをネタに昇華していましたよね。そういうところもすごいなと。抜けてしまったメンバーもまた個性が強かったので、穴は大きいはずなのに、その穴を埋めるように3人それぞれがより太くなっていくと言いますか。あと、男ウケがいいのも強みなんじゃないかなと。男も認める男気と言いますか(笑)。そこら辺は関ジャニ∞にも通じると思います。関ジャニ∞に関しては『METROCK 2017』への出演も大きかったのではないでしょうか。そんな中で、渋谷すばるさんの脱退という……。

高橋:私はその発表を聞いた当初は、ショックすぎて受け入れられませんでした。

佐藤:悲しさ、寂しさがありますが、それでもジャニーズアイドル渋谷すばるの幕引きは、とても潔かったと思いました。7月から行われた5大ドームツア『KANJANI'S EIGHTERTAINMENT GR8EST』からもう出ないっていうのが。だって、さよならツアーになっちゃうじゃないですか。それでも、ファンにとっては最後のお別れが言えないのは寂しいという気持ちもありますよね。

高橋:最初はいやだ~って思ってましたが、渋谷すばるさん自身も残された関ジャニ∞のメンバーも、前に進んで行こうとしているんだから、私も悲しんでばかりじゃいられないなと。

佐藤:今年4月に会見で脱退を発表してから事務所を退所する年末まで、メンバーにとってもファンにとっても一度整理する期間があったのは、よかったのではないでしょうか。あんなに大々的に花道を作って脱退した方は、これまでにいなかったと思うので、一つの成功パターンを見た気がします。歴史を変えた感じがありましたよね。様々な番組で“渋谷すばる特集”みたいなものが組まれて、「とても愛されてる方だな」と改めて思いました。

高橋:『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)の“渋谷すばるラスト回”とかもう……今観ても泣けます。

佐藤:関ジャニ∞がスタッフの方たちと良好な関係を築いてきたからこそというのが伝わってきます。いつかソロの渋谷すばるさんが、関ジャニ∞の番組にゲストとして出演することを期待したいですね。どうしても脱退したり解散したりすると、そのメンバーやグループ自体に触れにくい雰囲気が慣習としてあるように感じるので、そこが変わっていくとといいなと。脱退した元メンバーとも共演できるようになったら素敵ですよね。

高橋:脱退というより本当の“卒業”でしたよね。新曲「ここに」からには、勝負はこれからといった前向きな勢いを感じます。そして最近は関ジャニ∞、アプリ系も充実しているじゃないですか。そういったところからも、後ろを振り返らず前に前にという印象を受けます。

佐藤:便利ですよね。初めて使った時は「え、動画も歌詞カードも全部持ち歩けるの!?」とすごく驚きました。アプリは、全アーティストにぜひやっていただきたいです(笑)。

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