俊龍×hisakuniが語る、悠木碧と竹達彩奈だからこそ生まれるpetit miladyの縦横無尽な音楽性

「『Howling!!』は色んな表情が詰まった作品」(hisakuni)

【全曲試聴動画】petit milady - 5th Album『Howling!!』 #petitmilady #petitmiradio

――petit miladyの楽曲だからこそ工夫を加えてしまった曲はありますか?

俊龍:僕の場合、総じてスピードが速い曲になっていると思います。生き急いでいるわけではないんですが、前のめって気持ちが走ってしまうというか。急発進、急ブレーキ、急ハンドルという雰囲気の曲が多い気がします。

hisakuni:俊龍さんが今回手掛けられた「Howling」は、聴かせていただいて本当にびっくりしました。「いきなり(ギアが)5速に入ってる!」という雰囲気で。

俊龍:はい、アクセルべた踏みです(笑)。キーもとても高いものになっているんですが、いい意味で勢いに任せて歌っていただきました。「ちょっとしたうっぷんが溜まっていて、でもすべてに失望しているわけではない――」という雰囲気の歌詞なので、急発進/急ブレーキな雰囲気のサウンドで行こうかな、と。こういう気持ちって、男の子でも女の子でも感じる時期があると思うんですよ。そういうヒリヒリした歌詞にしてほしいというオーダーでした。ただ、軽率な感じにしたくはなかったので、ポップさと、おふたりのビジュアルから連想するイメージは大事にしたいと思って制作していきました。

――俊龍さんが作詞作曲を担当された「Howling」と、hisakuniさんが原曲の作詞作曲を担当された「360°星のオーケストラ (feat. リアジュボーン)」、アレンジを担当された「A or A!? (feat. リアジュボーン)」が収録された今回の最新アルバム『Howling!!』は、“バンド”をテーマにしたアルバムですが、全編を聴いてみて、いかがでしたか?

hisakuni:『petit milady オーケストラコンサート~Happy Halloween!観に来てくれたらイタズラするぞ~』に伺った頃にその情報を知ったので、「毎回新しいことをしていくんだな」と感じました。今回の『Howling!!』で新たに制作された曲は特に、リアジュボーンさんの演奏によるクオンタイズされていない生のバンドサウンドならではのグルーヴと、歌の魅力が上手くフィットしているように感じました。

 2曲目の「She CAN DROPS☆」も、ゴリゴリのギターサウンドに可愛い歌詞が乗っていて、すごく面白かったです。原曲で僕がかかわらせていただいた2曲については、アレンジはリアジュボーンさんにお任せだったので、「こういう表現もあるのか」と仕上がりもすごく面白く聴かせていただきました。原曲をコピーしてくれているところもありますし、今回ならではのアレンジになっているところもありますし。発見がたくさんありましたね。「A or A!?」でも、原曲で僕がシンセでアレンジしていたところをギターで弾いてくださったりしていて、「ごめんなさい」と思ったりもしました(笑)。シングルバージョンとアルバムバージョンの違いによって歌詞の聴こえ方も変わってくるかもしれないですし。バンドコンテストがあっても面白いですよね。(工藤さん曰く、アルバムにバンドスコアをつけるという案もあったという)

――俊龍さんはアルバム全編を聴いてみて、いかがでしたか?

俊龍:今回のアルバムはバンドならではの武骨さも感じられますが、すべての曲が集まってみると、おふたりの声によって「やっぱりpetit miladyのアルバムだな」と感じました。

hisakuni:最近のアルバムには“バンドサウンド”、“エレクトロ”、“アコースティック”など様々な切り口の楽曲が収められていることも多いと思うんですが、今回の『Howling!!』は“バンド”というキーワードに制限しているのに、バラエティが豊かですよね。バンドアレンジで統一されつつも、色んな表情が詰まった作品になっているように感じました。

俊龍:おそらく、最初からこういう作品を作ることはできないタイプの作品ですよね。悠木さんと竹達さんのこれまでの積み重ねがあって、petit miladyでの活動やソロ活動で色々な歌を歌われてきて。それが5周年のこのタイミングで満を持してこのアルバムになったのかな、と感じました。ただ単に「生音いいよね/バンドいいよね」ということで作られたアルバムではなくて、過去の積み重ねの中で、しかるべきタイミングで完成した作品なのかな、と思います。

「プチミレは、良いスリルが感じられる、楽しい場所」(俊龍)

petit milady - 4th LIVE 『ラ・プチミレッタ~小さな淑女の童話歌劇』Blu-ray ダイジェスト映像 #petitmilady #petitmiretta

――俊龍さんは、2010年頃から竹達さんと悠木さんの楽曲を担当されています。当時と今とで、petit miladyのおふたりに変化を感じる部分はあるでしょうか?

俊龍:おふたりとも、今でもフレッシュな存在だと思うんですが、その魅力に磨きがかかったというか、よりいいエンジンが搭載されたようなイメージがあります。ライブやイベントでも、MCも含めてあんなに思い切った演出ができるのは、すごいことだと思うので。これは聞いていただかないと、実際のところは僕には分からないですが、今は「petit miladyだからこそこんなこともできるんじゃない?」というアイディアが出てきたり、そういう関係性になってきているのかな、ということを色々な活動を見させていただいていて感じるところです。

hisakuni:初期の「ドキ♡ドキド」などを聴いていると「ものすごく丁寧に歌われているな」という印象を受けるんです。それが今は、ユーモアもふんだんに交えたエンターテイナーになられていて。「ここまでやれる」という遊び心のバランスをとても上手に取って活動されているような気がします。最近はかっこいいアーティスト路線の曲もありながら、同時にユーモアも決して忘れることなく、新たな“面白いこと”に次々にチャレンジしていかれる姿がすごくいいなと思います。

――petit milady特有のユーモアや遊び心のようなものは、ずっと変わっていない、と。

俊龍:もしかしたら、最初の頃は、作家陣が用意した楽曲をきっちりと表現することを一番に考えていたのかもしれないですね。でも、今はそこからさらに「こんな風にしたら面白くなるだろう」とか、「MVを観て、みんなが笑ってくれたらいいな」とか、そういうエンターテインメントに磨きがかかっている、視野が広がっているのかな、と。

hisakuni:ライブの演出も本当に面白くて。僕も初めて観させていただいたとき、今まで行っていなかったことを後悔しました。それぐらいエンターテインメントとしての魅力に溢れたライブだったので。

petit milady (プチミレディ) - キラリキラリ [Music Video] #プチミレ

――petit miladyさんの楽曲制作は、みなさんにとってどんな場所になっていますか?

俊龍:自分が提供した楽曲が、「ライブやイベントでどんな風に披露されるのかが分からない」というのが、とても魅力的でドキドキする部分だと思っているんです。僕が作曲させていただいた「キラリキラリ」は、ライブ会場でMVが撮影されましたが、実は僕もあの中にいたりもしましたし。

――俊龍さんもあの中にいらっしゃったんですか?!

俊龍:はい。あのときいただいたうちわは、夏が来るたびに、まだ使わせていただいています(笑)。そうやって自分の作った楽曲をpetit miladyのおふたりが遊んでいただくことで、思いもしなかった場所に楽曲を連れて行ってくれることに、「どういう披露の仕方をしてくださるんだろう?」とドキドキワクワクします。ファンのみなさんの楽曲への反応も、とても嬉しく感じています。

――ファンの方々に届くゴールの部分までに予想がつかないものにもなりえるグループだからこそ、とても楽しい作業になるのですね。

俊龍:そうなんです。最終的に素晴らしい大暴投になったとしても、それはそれですごく面白いんですよね。それすらエンターテインメントにしてくれるような魅力があるように感じます。そういう意味でも、良いスリルが感じられる、楽しい場所ですね。

hisakuni:そういう方々だからこそ、僕らもアレンジについていつも新しいことに挑戦することができるんです。僕の場合も、「らぶれたーふろむかぐや」で琴や二胡を使ったり、「チョコレイト・ブギウギ」でフレンチポップを取り入れたりと、色々なことをやらせていただいていて。クリエイターにも、そうやって色んなことにチャレンジさせてくれる、チャレンジしたいと思わせてくれる方々なんじゃないかと思います。

(取材・文=杉山 仁)

■プロフィール
俊龍(作曲家)
2007年に作曲家デビュー。これまでにAKB48、SKE48、水樹奈々、茅原実里、内田彩、三森すずこ、ゆいかおり、Pyxis等に楽曲を提供。petit miladyの作品では、「Rainbow Jump!!」(作詞・作曲・編曲)、「キラリキラリ」(作曲)、「ハコネハコイリムスメ」(作曲)、「Unknown Love Bakery」(作詞・作曲)、「Ear or Love??」(作詞・作曲)などを担当。

hisakuni(作曲家)
2012年に作曲家活動をスタート。これまでに内田彩、悠木碧、村川梨衣、i☆Ris、東京クリエイターズ・ファイル、ふなっしー、アルスマグナなどに楽曲を提供。petit milady作品では、「チョコレイト・ブギウギ」(作曲・編曲)、「SNOW // SLASH」(作曲・編曲)、「らぶれたーふろむかぐや」(作曲・編曲)、「A or A!?」(編曲)、「360°星のオーケストラ」(作詞・作曲・編曲)などを担当。

■リリース情報
petit milady(プチミレディ)
5thアルバム『Howling!!』
2018年12月19日(水)リリース

初回限定盤A(CD+DVD+グッズ)
¥8,333+税
デジパック仕様 缶バッヂ4個セット&ミニステッカー封入

初回限定盤B(CD+Blu-ray)
¥5,370+税 デジパック仕様

通常盤(CD)
¥3,000+税 POCE-1438 紙ジャケット仕様

<収録楽曲(CD)※全仕様共通>
1. Howling
[作詞・作曲:俊龍 編曲:佐藤清喜]
2. She CAN DROPS☆
[作詞:宮嶋淳子 作曲:金崎真士 編曲:清水武仁]
3. be myself
[作詞:大西洋平 作曲・編曲:坂部剛]
4. A or A!? (feat. リアジュボーン)
[作詞・作曲:宮崎まゆ 編曲:hisakuni]
(TVアニメ 『ありすorありす』 オープニングテーマ)
5. 世界中が恋をする夜 (feat. リアジュボーン)
[作詞:中村彼方 作曲:伊藤賢 編曲:佐藤清喜]
(TVアニメ 『百錬の覇王と聖約の戦乙女』 エンディングテーマ)
6. Color voice
[作詞・作曲・編曲:横関公太]
7. blue cores
[作詞:只野菜摘 作曲:伊藤賢 編曲:佐藤清喜]
8. キミとソラのむこう
[作詞・作曲・編曲:鈴木裕明]
9. 途中までのメロディー
[作詞:大西洋平 作曲・編曲:佐藤清喜]
10. はじまりのうた
[作詞:大西洋平 作曲:松坂康司 編曲:佐藤清喜]
11. Lost my melody (feat. リアジュボーン)
[作詞:RUCCA 作曲・編曲:松坂康司]
12. 360°星のオーケストラ (feat. リアジュボーン)
[作詞・作曲・編曲:hisakuni]
(TVアニメ 『七星のスバル』 オープニングテーマ)

<収録楽曲(DVD) ※初回限定盤Aのみ>
・「Howling」Music Video
・Special Movie「モシモトラベル ~ふたりで函館慰安旅行に行ってみた~」

<収録楽曲(Blu-ray) ※初回限定盤Bのみ>
・「A or A!?」Music Video
・「世界中が恋をする夜」Music Video
・「360°星のオーケストラ」Music Video
・「Howling」Music Video

Blu-ray『弾けろ!プチパリ・ミュージックアワード!』
2019年2月27日(水)発売
Blu-ray(2枚組)¥10,500+税
DISC-1 昼の部収録(全14曲)
DISC-2 夜の部(全15曲)+メイキング映像

<Blu-ray Disc 1 収録内容>
1.ハジマリズム/2. 100%サイダーガール/3. 恋はみるくてぃ/4. 緋ノ糸輪廻ノGEMINI/ 5. Fantastique♥Phantom/6. #彼氏いません/7. Eat or Love??/8. キラリキラリ/9. 世界中が恋をする夜/ 10.360°星のオーケストラ/11.キミと/12.azurite/13.Ma Chérie/14.A or A!?
<Blu-ray Disc 2 収録内容>
1. ハジマリズム/2.A or A!?/3.Ma Chérie/ 4.メドレー [azurite~アップデートの坂道~人魚姫(BPM of the 21st century)]/ 5.鏡のデュアル・イズム/6.キミと/7.100%サイダーガール/8.スキ キライ キライ 大スキ♡/ 9.世界中が恋する夜/10.360°星のオーケストラ/11.#彼氏いません/12.Eat or Love??/ 13.キラリキラリ/14.Fantastique♥Phantom/EN.azurite/メイキング映像

■イベント情報
『5thアルバム「Howling!!」発売記念フリーイベント』
2018年12月22日(土)14:00開演 東京ドームシティ ラクーアガーデンステージ
2019年1月13日(日)13:00開演 あまがさきキューズモール 2F 緑遊広場

『5thアルバム「Howling!!」リリース記念トークイベント』
2018年12月22日(土)アニメイト池袋本店アニメイトホール
2019年1月12日(土)アニメイト横浜店イベントスペース
2019年1月13日(日)アニメイト大阪日本橋店 animate O.N.SQUARE

『Blu-ray「弾けろ!プチパリ・ミュージックアワード!」先行試写&トークイベント』
2019年1月12日(土)13:00開演 イオンシネマみなとみらい
※イベントの参加応募方法はpetit milady公式HPより

■ライブ情報
『petit milady 5th LIVE』
2019年3月3日(日)17:00開場/18:00開演
豊洲PIT スタンディング 7,500円(税込)(ドリンク代別)
※CD『Howling!!』内にチケット最速先行抽選申込シリアル封入

■関連リンク
petit milady OFFICIAL WEBSITE
petit milady OFFICIAL Twitter

関連記事