『いつか世界が変わるまで』インタビュー

飯田里穂、“リスタート”の作品に込めた決意「帰ってくる場所があるから失敗できる」

「『あ、いま見定められてる』というのをひしひしと感じた」

ーーしばらくはこの90年代のJ-POPサウンド路線で行くのでしょうか? アーティスト像を決めることはあるけど、サウンドのテイストを明確に決めてしまうというのは、なかなか勇気がいることだと思うので。

飯田:次、急にテクノになったらどうします?(笑)。でも、こっちが迷ってたらついてきてくれる方も迷わせてしまうと思うので、みんなが、「これぞ“りっぴーサウンド”だな」って感じるようになるまでは、この方向性で行きたいです。そういうことが今までできてなかったなと思うので、しっかりとやっていって、その後にいろんなことができたらいいなと。

ーーアニメ『寄宿学校のジュリエット』のEDテーマに起用されたことに関しては、どんな感想を持ってますか?

飯田:アニメのタイアップも久々で嬉しかったです。「ああ、エンディングが歌えるんだ!」という喜びしかなかったですね。

ーー佐高さんの書いた歌詞については、歌う上でどのように捉えましたか?

飯田:佐高さんが原作を読んで書いてくださったんですけど、どちらかというと、アニメに出てくるペルシアちゃん目線の歌詞で。芯があってまっすぐな女の子なんですけど、お嬢様なので柔らかい雰囲気も持ってる。「芯は強いけど、柔らかくて明るい感じも出して歌って欲しい」という打ち合わせのもとで歌いました。

ーーペルシアのロミオに対する気持ちですよね。

飯田:そうですね。今、アフレコ現場に入ってるんですけど、二人が本当に恋愛するのが難しそうなんですよ。障害物がいっぱいあって。そんな中でも、お互いに信念をしっかりと持って、信頼関係を築き上げようとしていく姿は本当に美しくて。二人の恋愛が本当にピュアなので、そういうピュアな気持ちや清らかさを大事にしながらまっすぐに歌いました。

ーーこの曲でリスタートしたということは、レコーディングも。

飯田:そう、移籍後初レコーディングがこれだったので、緊張してたのを覚えてますね。「あ、いま見定められてる」というのをひしひしと感じながら(笑)、飯田里穂のまっすぐさや等身大をコンセプトに置いた上でのまっすぐな歌だったので、難しいことは本当になくて。そのまっすぐさがみんなにも届いたらいいなと思ってますし、アニメのタイアップにもなっているので、私のことを知らなかった人も含め、多くの人に聞いてもらいたいです。

ーーアラフォー以上の人は懐かしさも感じると思います。シンセやエレキギターの効いたバンドサウンドになってるので。

飯田:私もWANDSさんが歌っていたアニメ『スラムダンク』のEDテーマ「世界が終るまでは…」を思い出しました。タイトルも似てますし(笑)。

ーーあはははは。「いつか世界が変わるまで」と確かに似てますね。

飯田:タイトルは歌詞にも入ってるフレーズで、アニメの1話からペルシアとロミオが言ってるセリフなんですよ。この言葉を持って、二人とも真の愛を貫いていく。「自由な恋愛ができない。こんな世界なんて変えてやるんだ」という思いで物語が始まっていくので。この曲のレコーディングを先にしてるんですけど、アフレコ現場で実際に二人のこのセリフを聞いたときは、一人で鳥肌が立ってました。アフレコで二人のそのワードを聞いてから、この言葉がより好きになった感じがあります。

ーー ミュージックビデオの方は一転して、全く異なる世界観になってます。

飯田:どうしてそうなったのかは私もわからないですけど(笑)、別物と考えてもらって。探偵をやってます、はい。あはははは。

ーー(笑)。聖子ちゃんカットで歌う、80年代アイドルのシーンもありました。

飯田:「可愛いりっぴーが見たい」っていう依頼が来た上で、実はこのアイドルはりっぴーでしたっていう物語になってて。あれも探偵の任務のひとつですね。探偵をやるのは初めてだったので、楽しかったですよ。しかも、ずぼらな抜けてる探偵の感じは、普段の私生活に近いなって思ってます。

ーー銭湯でお風呂掃除をするシーンもありました。

飯田:そうそう、MV撮影の日が、ミニアルバムの発売日の翌日だったんですよ。あの銭湯は長澤まさみさんがやってたアンダーアーマーのCMのロケ地でもあって。そのCMを見てたので、うわーってテンション上がってたんですよ。そしたら、さらににテンション上がってる方がいて。銭湯の息子さんがニコニコしながらこっちを見てて、発売されたばかりの『Special days』を持ってたんですよ。私のことを知ってくれてて、しかも、3人兄弟のうち、下の二人が好きでいてくれて。ありがとうって言いつつも、「君が今、一番最初に情報を見てるからね。絶対に言っちゃダメだよ」と口止めしたのが面白かったです。

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