コーネリアス、さらに完成度高めたパフォーマンスで新たなステップへ 東京国際フォーラム公演レポ

 映像と照明と演奏の奇跡的なシンクロニシティがコーネリアスの醍醐味だが、時にこれらは暴力的なパーティーを繰り広げる。「Count Five Or Six」では、ビートに合わせて次々と変化する映像と照明に荒々しいバンドサウンドが入り乱れる。そこから、「I Hate Hate」「Surfing On Mind Wave (Pt. 2)」 とインストナンバーが3曲続くが、圧巻は「Surfing On Mind Wave (Pt. 2)」だ。4人の緻密なアンサンブルが、大きなうねりを生みだして観客に迫ってくる。その迫力は、メロウウェイヴどころかビッグウェイヴだ。そこから、仕切り直しのようにポップな「夢の中で」。歩くテンポとリズムがシンクロし、サビで空を飛ぶ開放感も「Count Five Or Six」の前に演奏された「未来の人へ」に通じるものがある。そして昨年のツアー同様、「Star Fruits Surf Rider」から「あなたがいるなら」という流れ。2つの曲の間には20年の月日があり、青春の輝きを放つ前者とメロウな後者の並びには感慨深いものがあった。

 今回の選曲は昨年のツアーとほぼ同じで、『Mellow Waves』を中心に、ほとんどが『POINT』以降の楽曲。新作『Ripple Waves』からは2曲(「Audio Architecture」「Sonorama 1」)演奏された。昨年のツアーで磨きをかけたバンドの演奏は素晴らしく、難易度の高い曲を息が合ったアンサンブルで次々とこなしていく。いつも通りMCは一切なしで、アート作品としてライブを作り上げていくようなスマートさにコーネリアスの美学を感じさせた。

 アンコールでは、少しリラックスした雰囲気の小山田が、この日、初めてのMC。来年、50歳になること。そして、コーネリアスが結成25周年、デビューから活動30年を迎えることを伝えると会場から拍手が起こった。様々な節目を迎えるなか、昨年よりさらに完成度を高めたパフォーマンスで、新しいステップに進む小山田圭吾と仲間達の姿が頼もしい一夜だった。

■村尾泰郎
ロック/映画ライター。『ミュージック・マガジン』『CDジャーナル』『CULÉL』『OCEANS』などで音楽や映画について執筆中。『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』『はじまりのうた』『アメリカン・ハッスル』など映画パンフレットにも寄稿。監修を手掛けた書籍に『USオルタナティヴ・ロック 1978-1999』(シンコーミュージック)などがある。

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