『バーレスク東京』の舞台からソロデビュー! Mii×RYOTAが語る、新しい夢の叶え方
東京・六本木にある『バーレスク東京』をご存知だろうか。連日50名以上のダンサーが登場し、繰り広げられる1日3回のショーは平日の夜もほぼ満席だ。店内全体に広がるLEDビジョン、セクシーなポールダンス、女性らしいプロポーションを生かした美しい衣装、そしてミラーボールが煌めく中ダンサーがランウェイを練り歩く。ときにはお客さんをステージに呼び込み一緒に盛り上がる参加型エンターテインメント。ごまかしのきかないライブを日々こなし、メインボーカルとして君臨しているのがリーダーのMiiだ。7月14日、そのMiiがavex traxよりシングル『Pinky Swear』をリリースし、ソロデビューを果たす。〈指と指をかわした約束 切なくて 泣きそうで だからこそ上向いて強気で走り続ける〉Miiと彼女を応援する人たちとの“Pinky Swear(ゆびきり)“を歌った本作は、Mii本人が作詞にも挑戦したという。今回、リアルサウンドの取材にMiiと、『バーレスク東京』の仕掛人でありボーカルダンサーを150人以上プロデュースするデジタルディレクターのRYOTAが応じた。RYOTAが模索する新たなショービジネスの形、そしてMiiが体現する新たな歌姫誕生に迫る。(佐藤結衣)
歌が好き、でもスターになれるのは一握りの一握り
ーーMiiさんはもともとアクターズスクール出身で、アイドル経験もあるとお聞きしましたが。
Mii:はい。もともと歌が好きで、安室奈美恵さん、MAXさん、SPEEDさんみたいに、歌って踊れるシンガーになりたかったんです。今、30歳なんですけど、そういう世代だったんですよね(笑)。モーニング娘。も流行って、もしかしたら私もなれるんじゃないか、って。青森県出身だったので、仙台にアクターズスクールがあるって新聞で知って、親にも言わずに応募しました。
ーーすごい行動力でしたね。
Mii:受かるかどうかわからないっていうのもあったんですよ。そしたら、まさかの合格で(笑)。そうなって初めて親に「行きたいんだけど」って事後報告したんです。親は「えー! なんでそんなことになってるの?」って慌ててましたけど、最終的には「行きなさい」って言ってくれました。中1〜3まで青森から新幹線で通って、高校入学のタイミングで仙台に引っ越して通い続けました。
ーースクールを卒業後、アイドルグループ・ガシアとして仙台の七夕テーマソングを歌い、CDデビューも経験しましたが、そのときの気持ちは?
Mii:んー。そうですね。歌って踊ることができるのは嬉しかったですが、私の中では地方のアイドルをやるというより、女の子に憧れられるアーティストになりたい気持ちが強かったですね。もっとできることがあるんじゃないかな、と。だから、「東京に行きます」って言って上京したんです。
ーーまた決断後の事後報告だったわけですね(笑)。
Mii:決めたら即行動するタイプです(笑)。上京後は、レッスン生として事務所に入ることになりました。すぐにチャンスをつかめたのはラッキーだと思ったんですけど、やっぱり東京の厳しさを感じましたね。なかなか芽が出なくて、自分には実力はないんだなって思いました。“もう歌手なんて目指すのはやめよう”って思っていたときに、スクール時代の友だちから「手伝ってくれない?」という連絡がきたんです。それが、『バーレスク東京』の前身のお店でした。
スターになれなかったダンサーたちが立てるステージを
ーーRYOTAさんが手がけたお店ですよね?
RYOTA:そうです。もともと僕は深夜0時からオープンするようなアンダーグラウンドなお店を手がけてきたんです。テレビや雑誌では楽しめないような刺激的な空間をプロデュースしていました(笑)。そんな中で、たくさんのダンサーの方に会ったのが『バーレスク東京』を作ろうと思ったきっかけですね。言い方は悪いですけど、夢を追いながら搾取されてしまって「やーめた!」ってなるのがほとんどなんです。Miiちゃんみたいに、スターに憧れてたけどなれなかった子が立てるステージを作って、表のフィールドでも戦える空間にしようというのが『バーレスク東京』のコンセプトです。
Mii:正直、最初は本当にバイト感覚だったんです。でも、毎日のように人前に立ったのは初めての感覚で。当初は、私の歌を聞いてくれる! 楽しい! っていう気持ちが強かったですけど、いつの間にかお客さんを楽しませたいと思うようになって。それからですかね、本気でここで頑張りたいって気持ちが切り替わったのは。
ーー今ではリーダーとしてメインボーカルを務めていますが、RYOTAさんから見てMiiさんの成長は感じますか?
RYOTA:もちろんです。ショーではいろんなジャンルの歌を歌います。旬のアイドルソングから、30〜40代の方にはたまらない名曲たち、男性バンドの曲もありますし、洋楽もあります。最近では映画『グレイテスト・ショーマン』の「This Is Me」のカバーもしてもらいました。あれは、僕が大好きな映画で声がきれいなMiiちゃんに歌ってもらおうと思ったんです。映画本編のことを考えたら、Miiちゃんは外見も恵まれているし、そこは“違う”って言われるかもな、とは感じました。でも、それ以上に素晴らしいあの曲を、Miiちゃんの歌声で聞いてみたいなと思ったんです。それをきっかけに「いい曲だね、これ何の曲?」って映画に興味を持つ人が増えてくれたらいいじゃないですか。
Mii:オリジナル曲じゃない限り、比較されてしまうものは仕方がないとは思いました。それが抜群の歌唱力で歌われたストーリーのある曲なら、なおさら。でも、だからこそ私が歌うからには自分なりに意味を見出したいなと思いました。私が今いる世界と一致しているところもある。いろんな気持ちを持ってスポットライトに当たっているんだっていう気持ちを届けたいと思って歌っています。
RYOTA:その歌への思いは、同じショーに出るダンサーたちにも伝わっていると感じますね。実際、Miiちゃんに憧れてダンサーになったっていう女の子もいますし、彼女はファッションリーダー的な役割も担っているので、みんなどんどん可愛くなってくる。キラキラしてくるのを見るのは、僕自身も嬉しくなりますよ。
Mii:女の子って、憧れている人じゃないと言うことなんて聞かないじゃないですか(笑)。こういう風にしてほしいって伝えられる人間にならないと、とは常に思っているんです。最近は、女性のお客様も増えてきて、ますます意識が高まりますね。
ーー美を保つ秘訣はあるんですか?
Mii:見られるということを意識しているかどうかが大きいと思います。たぶん毎日全身に美容クリームを塗って、マッサージして……みたいなケアをしている子はいないんじゃないかな? でも、毎日お客様に見られると思うと、自分自身でもチェックするようにはなりますよね。おしりにニキビができてないか、とか。あとは、好きなものを食べて、ダンスを踊って……。
RYOTA:余裕みたいなものは、やっぱりできますよね。やっぱり昼にアルバイトをしながらダンスレッスンに通ってると、忙しくて美に意識がいくほど余裕がない。でも、ここで働きながらステージに立つと、自分磨きに投資できるお金もできる。そんな好循環が生まれているなって思うんですよ。
Mii:周りの子がかわいくなっていくと、やっぱり負けられないってなりますからね。もっと! もっと! って、頑張る女の子ばかりなので。私も入ったころの写真とか「やめてー」って思いますもん(笑)。