Far East Dizain、JILUKA、DEVILOOF……独自の進化遂げるV系シーン新進気鋭のバンドたち
「激しいサウンドのロックが聴きたければ、まずヴィジュアル系バンドをチェックすべきだ」ーーいま、耳の早いロックリスナーの中でそう囁かれていると音に聞く。
念のために言っておくが、“ヴィジュアル系”とは音楽ジャンルを指す言葉ではない。表現するスタイルであり、ムーヴメントであり、文化である。煌びやかでポップなバンドもいれば、ダークでヘヴィなバンドもいる。型があるようで、実際は何でもあり。そこがヴィジュアル系シーンの面白いところだ。
かつてDIR EN GREYの海外進出は、世界における日本のバンドの評価を大きく変えたと同時に、国内においても多大な影響力を及ぼした。メタル色を濃く打ち出しながらもカテゴライズ不能な音楽性を持つ異形で圧倒的な存在感は、どこか偏見の目で見られがちだったヴィジュアル系が他ジャンルからの注目を浴びるきっかけになり、“V系ラウドロック”ともいうべき多くのフォロワーを生んだ。MUCCは日本古来の歌謡曲やアングラ芸術をベースとしながらも海外の最先端サウンドを貪欲に取り入れ、唯一無二のオルタナティブロックをかき鳴らしている。メタルシーンにいたNOCTURNAL BLOODLUSTがあえてこのシーンに乗り込んできたのも、自由闊達な様相を呈すヴィジュアル系に可能性を見い出したからこそだろう。
メインストリームから離れたマニアライクな音楽嗜好を、キャッチー性で咀嚼しながら独自の解釈を以って表現するオリジナリティは日本ならではであり、それが顕著に現れているバンドが多いのがヴィジュアル系シーンの特色である。
聴きやすいが、マニアックでもある。その逆もまた然り。そんな、ロックファンをも唸らせるV-ROCK、気鋭のヴィジュアル系バンドをいくつか紹介したい。
Djent×ヴィジュアル系、Far East Dizain
高い演奏力と音楽性でメタルファンからの支持も熱かったヴィジュアル系バンド、DELUHIの元メンバー、Leda(Gt)とSujk(Dr)を中心に結成されたFar East Dizain(ファー・イースト・ディザイン)。
ジェント(Djent)と呼ばれるプログレッシブ・メタルより派生したヘヴィメタルのジャンルを、疾走感溢れるビートとメロディアスでキャッチーなボーカルで昇華させていく様は、まさにV-ROCKの真骨頂ともいうべきものだ。
Ledaは、BABYMETALのツアーギタリストとしても名を馳せており、人間工学に基づいた革新的な設計で注目されているスウェーデンのギターブランド、Strandberg Guitarsから、日本人初のシグネイチャーモデルが制作されたことも先頃話題になったばかり。まさに次世代ギターヒーローが率いる新世代のヴィジュアル系ロックバンドといえるだろう。
ヴィジュアル系モダンメタル、JILUKA
同じく、V-Djentの潮流にいるバンドであるが、スクリーモ要素が強く、よりラウドな印象を受けるのがJILUKA(ジルカ)である。
Ricko(Vo)の獰猛なシャウトといい、Sena(Gt)のシュレッドでテクニカルなフレージングといい、複雑な楽曲展開とともにどこか変態的な香りを匂わせているのは、確かな演奏技術による遊び心、余裕といったところだろう。
オーセンティックなHR/HMからニューメタル、V-ROCKのメタルバンドであるのに、ヒップホップやブレイクビーツを積極的に取り入れ、本格的な縦ノリまでこなす振り幅も圧巻である。メロディアスというほどでもなく、ポップとはほど遠いはずなのに、なぜか耳馴染みが良いキャッチー性を感じてしまうほどの説得力を持ち合わせる、奥深いバンドだ。