シングル『リフレイン』リリースインタビュー

ラックライフ PONが語るアニメ『最遊記』楽曲に込めた思い「伝えたいものがある、だからこれからも続けていく」

「『歌の力で世界は変わる』、そんなん俺らがやるのはおこがましい!」

――さて、もう一つの表題ともいうべき「存在証明」。これは聞きたいことがたくさんありすぎます。

PON:“重い”歌ですよね。

――“死”に対するメッセージがこめられた内容です。PONさんの歌詞作りは実体験を元にされている。ということは、PONさんの下にSOSが飛んできたと。

PON:はい。深読みも何もない、そのまま。だからツッコミにくい曲で、掘り下げていくとズシーンとなる(笑)。これは、ものすごく追い込まれ、落ち込んだ友だちがいて、そいつからLINEで短いSOSメッセージ……言っちゃうと、自殺直前やという言葉が届いたんです。俺はそいつとは長い付き合いなんですけど、こんなショッキングな言葉を投げかけられるのは初めての経験で。最初は素直に、悩みの全てをわかってやりたいと思ったんです。でも、しんどくて逃げ出したいことはたくさんあるけれど、自分の人生を自分で終わらせようと思ったことが一度もない俺には、淵に立たされた人の気持ちを理解することはわかってあげられへかった。どうしたらええんやと、そいつ含め周りと相談して散々悩んで。……まぁ、そいつは今も生きているんですけどね(笑)。

――ホッとしました(笑)。

PON:とにかく「頑張っていこう」と親身になって励ましていて、その時に1番の歌詞が生まれました。この時の歌詞は「大丈夫かい?」と優しい目線ですよね。でも、書き終えてから一日ずつ、色々と理由を聞いたり深く考えていくにつれて、だんだんそいつに対する怒りが湧いてきて!(笑)。

――確かに、2番から空気がガラリと変わり、言葉にトゲが増していきますよね。

PON:色々と聞くと、そいつはすごく些細なことで、自分を終わらせようとしてたんですよ。しかも、俺らに送ったたった1、2行のLINEで、長年の関係を終わらせようとしていて。「それってなんなん!? まるでバイト辞める感覚やん。ムカつく! 腹立つ!」ってなって。なので、2番の以降は怒りが込められていって、最終的には「ふざけんな!」というところまでいくんですよね。

――言葉が荒々しくなると同時に、歌も繊細な歌唱から、終わりに向けて熱が増していくのが面白い。

PON:お前も辛くて大変やっただろうけれど、その周りにいる人間たちも共に苦しんでいたんやぞと叫んでますからね(笑)。

――(笑)。「sweet my life」もタイトルとは裏腹に、全く“sweet”ではないですよね。

PON:甘さ控えめどころか、ゼロですよ。

――日々と戦うための大切さを説いていますが、これはどういう意図で生まれたのですか?

PON:人の人生って、人と関わり合うことで生まれる小さなことの積み重ねやなと。生きることって毎日しんどくて、心がささくれ立って行くじゃないですか。でも、気持ちいい挨拶一つで、心って晴れるもので。その気持ち良さを伝えあっていくことで、世の中って変わっていくんじゃないか? とずっと思っていて。俺一人だけ幸せであればいい! じゃなく、みんなが優しくしたらええんちゃう? と。みんな一人で生きてるんじゃなくて、周りにいる人全員で世界を回してるんやから。なので、そのイキイキとなるような気持ちの発端に、俺らの音楽があればいいなぁと。

――<僕らの血と汗涙 誰かの今を支えてますか>というフレーズに詰め込まれていますね。

PON:そうなんですよ。それこそコンビニのバイトの子に「ありがとうございます」と言ってもらえるだけで、喜びに変わる。自分の行動が、どこでどうつながっているかなんて、把握できない。でも、自分の行動一つで人の元気につながればいいなぁと。

――幸せ、喜びのバタフライエフェクトですね。

PON:そうです。この歌詞を一見すると「辛い戦いも頑張って乗り越えないと」みたいに見えると思うんです。でも、それだけで乗り越えられるほど世の中、そんなに甘くないですから。しんどいことは、山ほどある。それを理解しながらも、人には優しくせぇやと(笑)。

――今回は全曲“世界”という言葉がキーワードになりました。

PON:全然意図してなかったんですけどね。

――PONさんにとっての“世界”とは?

PON:僕が今見て聞いて感じている、今この瞬間。“世界”というのはその個人の世界の塊やと思ってて。そのデッカイ“世界”を変えるのは俺にはムリ。よく「歌の力で世界は変わる」なんて言うけど、そんなん俺らがやろうなんておこがましい(笑)。でも僕は、ライブハウスという限られた空間の中に集まってくれた目の前の人の世界なら、ちょっとずつは変えていけるのかなと。実際に俺もライブハウスで音楽を聴いて「バンドやりたい!」と思ったところから、全てが始まって今があるので。そうした一人の小さな世界を、人生を変えて幸せにできる音楽こそ素晴らしく、俺らがやるべきことやと思ってます。

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