アーティストが語る“ミュージックヒストリー” 第四回:MACO

MACOの音楽に影響を与えたポップス・日本語ラップの作品は? 本人が語る“意外な”ルーツ

 隔週木曜日の20時~21時にInterFM897でオンエアされているラジオ番組『KKBOX presents 897 Selectors』(以下、『897 Selectors』)。一夜限りのゲストが登場し、その人の音楽のバックボーンや、100年後にも受け継いでいきたい音楽を紹介する同番組では、ゲストがセレクションし、放送した楽曲をプレイリスト化。定額制音楽サービスKKBOXでも試聴できるという、ラジオと音楽ストリーミングサービスの新たな関係を提示していく。5月18日の放送には、シングル『恋するヒトミ』を5月17日にリリースしたMACOが登場し、“自身が影響を受けた音楽”と“100年後に残したい音楽”を紹介する。今回はそのプレイリストから彼女の音楽性を掘り下げるべく、同回の収録現場に立ち会った模様の一部をレポートしたい。

 

AI「Story」AI「Sunshine」

 まずMACOが自身のルーツとして挙げたのは、AIのアルバム『MIC-A-HOLIC A.I.』より代表曲の「Story」。MACOはAIの楽曲に12歳で出会い、以降ずっとAIのファンだと話している。ソウルフルに歌い上げるAIの声と、透明感のあるMACOの声は正反対ではあるが、「だからこそAIの声やパフォーマンスに憧れている」のだという。自身のルーツとなる様々なアーティストの楽曲を紹介する同番組において異例となるセレクトだが、MACOは同アルバムより「Sunshine」もルーツの一曲として挙げた。MACOによれば、このアルバムを一日何十回も聴いて歌っていたことで、歌手としての基礎が作られたそうなのだ。MACOが透明感を持ちながらライブや音源でパワフルな歌声を響かせるのは、AIからの影響をパフォーマンスに昇華している部分が大きいのかもしれない。なお、MACOの最新シングル『恋するヒトミ』には「Story」のカバーも収録されており、AIとMACO、それぞれの歌声を聴き比べることができる。

 

SKY-HI「アイリスライト」般若「サイン」

 次に“10代20代の節目となった曲”として挙げたのは、意外にも自身と交流もあるSKY-HIの「アイリスライト」。MACOはこの曲について「彼の歌とラップの良いところが全部詰まっている。<君がただ「幸せ」って言う一秒が作れたら それだけでいつも僕は僕になれる>という歌詞にも全部持って行かれた」と話している。また、同じテーマの延長線上にある“音楽を始めてから影響を受けた楽曲”として、般若の「サイン」を紹介。この曲については「高校生のときに『やっちゃった』という曲を聴いて興味を持って、それが日本語ラップが好きになる入り口だった」と話した。この2曲がMACOの曲を形作るものとは想像もつかないが、前者はリリックの説得力や歌としての強度、後者は表現者として矢面に立つ上での度胸や力強さをMACOに与えているのだと思うと、どこか納得できる節もある。

 番組中盤で再びルーツの楽曲として挙げたaikoの「KissHug」について、MACOはSKY-HIの「アイリスライト」と同じく、「曲が始まってすぐ、<友達だなんて一度も思った事はなかった>という歌詞がすごいと思った」とコメントしている。MACOはシンガーとしての評価も高いが、その歌詞についてのファンも多く存在する。ここで語っていた曲頭の歌詞についても、彼女の代表曲のひとつ「love letter」の冒頭<恋しいよりも愛おしいの>や、最新曲「恋するヒトミ」の<おはよう今日もあなたに恋してます>といった一文に影響を与えていると思うと、さらに深く味わうことができるのではないだろうか。

(文=中村拓海)

■番組情報
KKBOX presents『897 Selectors』
DJ:野村雅夫 
放送日:毎月第一・第三週木曜20:00からInterFM897でオンエア
次回ゲスト:MACO(5月18日放送)
番組ホームページ

■連載「アーティストが語る“ミュージックヒストリー”」バックナンバー
第一回:イトヲカシの「ルーツ」となっている楽曲は? 伊東歌詞太郎&宮田“レフティ”リョウが大いに語る
第二回:大塚 愛が明かす、デビュー以降の“声の変化”と転機になった洋楽ソング
第三回:藤原さくらが“アレンジの重要性”に気付いた作品とは? 「クレジットをかじりつくように見た」

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