「PPAP」「恋のマイアヒ」…ネット発世界行きの音楽文化 新たな可能性は“LINEスタンプ”にあり?
こちらは先のイスケルダがジョンとザ・チキンを迎えて作ったヘブライ語の楽曲「Boing La Ski」。ここでは人間が登場せず、ひたすら空耳パロディに合わせてけたぺんが様々なアクションを見せる映像が流れ、突然EDM的なドロップが入ってきたりしながら、サビ(とおもわしき箇所)で<ひーひー ふーふー ボインが好き>という小学生から中高年までさらりと口ずさめそうなキラーフレーズが強く耳に残る。
筆者が考えるに、「PPAP」と「恋のマイアヒ」のブレイクには、いずれも核になるフレーズ(<ペンパイナッポーアッポーペン>と<飲ま飲まイェイ!>)が覚えやすくわかりやすかったことが影響しているだろうし、若者が集まるクラブにおいて、ダンスミュージックとして機能しつつ、コミュニケーションに使えそうな言葉であるかどうか、というのも重要な要素の一つだろう。先のけたぺんにブレイクの予兆を感じたのは、そのいずれもが備わっており、さらに下ネタという武器まで加わっているからである。このタイミングでRAB(リアルアキバボーイズ)がいち早く食いつき「踊ってみた」動画をアップしているのも、ブレイク前夜の予兆を思わせる。
さらに、この曲には「世界規模のバズまで狙えるのではないか?」というポテンシャルを感じさせられる要素がある。楽曲自体が様々な言語で作られているが、すでに本国において逆輸入的な盛り上がりを起こしている地域があるのだ。けたぺんのfacebookページを見てみると、台湾語楽曲「WO AI NI/KE SHI ~けたたましく動くぺんぎんのテーマたち~」をアップしたあたりから再生回数が数万単位になり、以降は他の楽曲にも台湾語でコメントを寄せている人の姿も目立つし、現在はけたぺんのYouTubeアカウントにも、様々な言語によるコメントが増えている。この現象がさらに各国単位で起こっていくと……そこには「PPAP」を上回る結果が待っているのかもしれない。
(文=向原康太)