1stアルバム『Σ』インタビュー

REOLが語る、“異質”のクリエイター3人がタッグ組んだ理由「精神的な部分で共鳴できる」

「顔を出すことで驚かせたかった」(お菊)

――今回のリリースの経緯についても聞かせてください。『極彩色』の制作時点から、本作を見据えていたそうですね。

れをる:そうですね。もう次のステップに移ろうと考えていて、『極彩色』は歌い手、二次創作というものへの区切りみたいな感じで作っていました。これまで、メジャーの契約のお話をいただいても断っていたんですよね。もし“やらされている”感が出てしまったら、作品が意図するものと相反するものになってしまう可能性もありますよね。そんななかで、さっき言っていた部活、本気の遊びみたいなことが私達の魅力だと思ってくれるところと奇跡的にも巡り会えたから、新たな出発地点になるこのアルバムを作ることができたんです。

――なるほど。それと同時に、ユニット名を決めることになりましたね。あらためて、アルファベットで「REOL」になったのは、どんな流れで?

れをる:やっぱり「れをる」というアイコンを追っていくと、必然的に3人の姿が見えてくる、というのが大きかったですね。私はボーカルだから、もちろん一番前に出ることになるのですが、実はフタを開けてみたらいつも2人がいる。実際、いろいろユニット名を考えてみたんですけど、全然しっくり来なかったんです。

――例えば、3人の名前の頭文字を取ってみたり……?

お菊:やめてー、恥ずかしいです!(笑)

ギガ:恥ずかしくて言えないです(笑)。

れをる:アナグラムとかも考えたんですけど、「れをる」がひらがなで、「ギガ」はカタカナで、「お菊」は漢字で、全然混ざらないんです(笑)。全然関係ない英語のユニット名をつけてみても、なじまないな、と思いました。結局、全員をREOLの一部と思ってもらうことが一番だと思ったんです。なるべくしてなった感はありますね。あと、ロゴのデザインのときに気づいたんですけど、RとEとLに縦線が3本、横線が3本入っていて、これも3人でひとつ、という感じがしていいなと思っています。

――おお! 暗号のようですね。そして本作『Σ』ですが、ギガさんの持ち味である派手なエレクトロを軸に、ロックやHIPHOPの要素も取り入れた濃い一枚になりました。どんな作品にしようと考えましたか?

れをる:驚きのある作品にしよう、というのが一番でしたね。タイトルの『Σ』も、ネットスラングというか、びっくりした顔文字によく使われる記号で(編集部注: Σ( ̄Д ̄;)のようなもの)。『No title-』のころから、顔を出すとしたら「あ、出てた」みたいな感じじゃなく、ドーン! と出したいと思っていましたし、映像も自分たちで作れる強みを活かして、ちゃんとやりたかったんです。「Σ」には数学で「和」という意味もあるし、ドンピシャだなって思いました。

ギガ:全作の『極彩色』は少し淡い感じだったので、今回は音でもバーン! と驚かせようと思いました。

お菊:アートワークについてもそうですね。リード曲の「ギミアブレスタッナウ」のMVやジャケットで顔を出すというのも驚かせたかったので、3人の中でかなり前から決めていました。

お菊

――「初の顔出し」という要素を抜きにしても、かなりインパクトのあるMVに仕上がっています。まさにれをるさんの七変化でカット数も多く、大変な撮影になったそうですが、制作はどんなふうに進んだんですか?

お菊:まずは私が絵コンテを描きました。

れをる:それを共同制作で入っていただいた監督の方に渡して、舞台装置や衣装を練っていきました。当日はスタジオに入ってから、40時間くらい寝ずにぶっ通しで撮影したんですよ。おかげで、自慢のMVになりました!

お菊:仕上がった映像を観て、ただただ「すごーい」って思いました(笑)。

ギガ:良い意味で狂っていて最高にクールだと思いました。他にはなかなかない作品だと思っています。

――楽曲自体は、どのように作っていったんですか?

れをる:私とギガで並行して曲を書いて、いいとこ取りをしていきました。「これはこっちのほうがいいね」とか相談しあって制作していきました。「DetaramE KiddinG」なんかは面白くて、けっこう早い段階から原型はあって、でも2人とも全然手を付けないまま放置していたんですよね。それで、私が夜中になんとなく触ってみたら、「これはヤバい曲ができる!」という感覚になって、一気に録音してギガに送ったんです。そうしたら、3秒後くらいにギガがスカイプで、「これ、ちょっとヤバいからこっちも録ります」と。その日、たまたまお菊がうちに泊まりに来ていたこともあって、本当に3人でガーッと作った感じなんです。これがグループで作ることの面白さだと思います。「RE:」もそんな感じで制作しました。

――化学反応で爆発的なものができる瞬間ですね。タイトル曲にもなっている「- FINAL SIGMA -」も、パワーを感じるインスト曲に仕上がっています。

ギガ:記号の形から音を想像して作りました。タイトルのまま、驚きのあるビビッドな曲になったと思っています。

――さて、心地よく転がりながら、突き刺すような鋭さのあるれをるさんの歌詞も、さらに磨きがかかっています。「ギミアブレスタッナウ」は、HIPHOPを昇華しつつ、“いい加減にしろ!”という本音感のあるリリックが魅力的です。これは、音と一緒に歌詞ができていく、という感じでしょうか?

れをる:この曲はメロディがギガ考案のものだったので歌詞は後付で、どうしても表現を譲れない部分だけわたしがメロディをつけて…という感じで進みました。「ギガンティックO.T.N」だとか、ギガとの共作の初期の作品からずっと、メロディと歌詞を同時出しするのがクセになっていて、決められたメロディに言葉を乗せていく作業の方が難しいんですけど、作曲が二人いる分いいとこ取りできるのが得手だなと思っています。

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