『RED ROCK』リリースインタビュー

結成20年のオリジネイター、山嵐が考えるミクスチャーロックの現在「実は日本の中にあふれてる」

「“山嵐的”というのはみんな徹底的に意識した」(SATOSHI)

──今年7月にはニューアルバム『RED ROCK』をリリース。気づけば5年ぶりのオリジナルアルバムとなりましたが、前作からこれだけ間隔が空いたのには何か理由があったんですか?

SATOSHI:ちょっと企画色が強いんですけど、一応その間にTomYumSamuraiっていうタイのミュージシャンと一緒にコラボレーションアルバム(2013年発売の、TYA(TomYumSamurai&山嵐)名義による『TYA(TomYumArashi)』)を出しているので、5年空いた気はしてなくて。それも含めると、大体2年から2年半に1枚出してる感じなんですよね。だからメンバーにとっては5年ぶりという感覚はあんまりないんです。

──活動サイクル的には、2年に1枚くらいのペースが合ってるんでしょうか?

KOJIMA:ちょうどいいぐらいだよね。

SATOSHI:うん。それも「そろそろ2年経ったから作ろう」というわけではなく、「じゃあ作ろうか」ってみんなのベクトルが同じ方向に向くのがだいたいそれくらいのスパンだっただけで。まぁ20周年というのはさすがに狙いましたけど。

──なるほど。では内容的なところで20周年は意識しましたか?

KAI_SHiNE:僕が見てる限り、想像以上になかったですね。

SATOSHI・KOJIMA:(笑)。

KAI_SHiNE:なかったというよりも、むしろ色とペースを乱さないように周年を意識をしないっていう意思のほうが強かったのかな、レコーディングでは。なので、新参の僕からすると「あ、意識しないんだ。わかりました」ぐらいの温度でしたね。あくまで今の山嵐を詰め込んだ作品を生み出すというか、そこに終始してたと思います。

KOJIMA:KAIの言うとおりで、20年をまとめるという意識はほぼなかったです。

──とはいえ、このアルバムで聴けるサウンドって「自分が知ってる山嵐」というか、山嵐というバンド名を耳にしてイメージできる音そのものだと思うんです。

SATOSHI:ありがとうございます。その「山嵐的」というのはみんな徹底的に意識してましたね。

KAI_SHiNE:うん、むしろそっちでしたよね。新しいメンバーが入ることでバンドとして原点回帰するというか。だって、企画段階ではアルバムタイトルが『セブンメン』になりそうなくらいだったんで(笑)。(注釈:6人目のメンバーYUYA OGAWA加入後、最初のアルバムタイトルが『シックスメン』だった)

「常に独特なセッション感を求めてる」(KAI_SHiNE)

──そういえば今作のタイトル『RED ROCK』ってすごく強い言葉ですよね。赤は怒りを表す色でもあるし、そこにロックという象徴的なワードが加わることで何を表現したかったのかがストレートに伝わると思います。

SATOSHI:タイトルは武史(Ba.)が俺に言ったのかな。今おっしゃったような意味に加えて、響きとかニュアンスとか、その感じが音とかひっくるめてスコーンとハマったんですよ。で、後から「日本で7番目に高い山」が赤岳で、今回から7人編成だし、と次から次へとひっついてきたんですけど(笑)。

KOJIMA:タイトルはだいたい最後に決まるんですけど、今回はまさにそういう感じですよね。

SATOSHI:俺らの中には共通する「山嵐っぽいワード」みたいなのがあるんですよ、うまく言葉では表現できないんですけど。その中からのチョイスで、これがぴったりだったんだと思います。

──名は体を表すじゃないですけど、有無を言わさず聴く者を惹きつけるパワーが本当に強い作品だと思います。

KOJIMA:まぁやるならやりきるっていうことですかね。僕の歌に関して言えば、高い声で歌ったほうがいいとみんなが言ってくれてるので、それに応える気持ちも強くて。そういう、自分がやろうとしてることに関して、みんなは何を求めているのかというのはすごく意識しました。

──特に今作ではKAIさんの役割が非常に重要な役目を果たしていると、アルバムを聴いて感じました。この「Machine」という役割は……どう表現すればいいんでしょうね?

KAI_SHiNE:バンドマンのほうでもオーディエンスのほうでも、絵的には「何やってんの?」っていう感じだと思うんですけど(笑)。

SATOSHI:「DJさん」ってよく言われるもんね。

KAI_SHiNE:まずそう言われますけど、それで大丈夫です(笑)。まぁ正確には上からかぶせているような、下から押し上げているような、そのどっちかなのかなと自分では思ってます。

──ただ電子音を足すだけではないですよね。

KAI_SHiNE:そうですね。それを無理にバンドサウンドと混ぜようともしてないし、引くことも僕の役目だと思って試行錯誤しながらやってます。そもそも山嵐という確立された音楽の中で電子音というものがどういうふうに入るべきか、山嵐が目指してきたミクスチャーってどうあるべきかとか、そういうことを考えながら。まだこれは初期段階だと思ってますけどね。

──すべてはこの『RED ROCK』から始まると。20周年にして新しいことを始めるという攻めのスタンスも、また山嵐らしいというか。

SATOSHI:基本、飽きっぽいんですよ。

KOJIMA:そこなんですよね、同じことができなくて(笑)。

KAI_SHiNE:常に独特なセッション感を求めてますものね。みんなの想像を超えるものを突然ぶっこみたくなる感じというか。何せ僕が加入する前も、大きいイベントのトリを山嵐がやっていたら、その日の最後の曲でラップ部分を「今日、お前歌えよ」って、出番3分前ぐらいに言ったりする先輩たちですから(笑)。そういうバンドなんですよ、山嵐って。

──そこが山嵐たる個性を作っている要素のひとつなんでしょうね。

KAI_SHiNE:今やそうなってるところもあると思いますよ。でも、それがスタンダードになってしまうとみんな面白くなくなっちゃうんで、あんまりそういうふうには推したくはないんですけどね。

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