JKT48はインドネシアでなぜ成功した? 現地アイドル文化の特徴を読み解く

 2016年7月8日より、ドキュメンタリー映画『存在する理由 DOCUMENTARY of AKB48』が公開されている。同作はAKB48を扱ったドキュメンタリー映画の5作目で、監督の石原真氏がカメラを持ち、10周年を迎えたグループ内部に迫った作品だった。

 その中では、日本のAKB48から海を渡ってインドネシアのジャカルタに拠点を置く姉妹グループJKT48を紹介するシーンもある。日本のAKB48からもJKT48に移籍して現地で活躍しているメンバーとして仲川遥香、近野莉菜の2人が登場し、現在のJKT48での活躍ぶりを多くの日本人に伝えていた。

インドネシアで大人気のJKT48

 JKT48は2011年11月に1期生がお披露目され、2012年9月にジャカルタのショッピングモール「FX」に専用劇場をオープン。現在「FX」の4階にあるJKT48劇場は、公演前になると現地ファンでいっぱいとなる。彼らはインドネシアにいながら、YouTubeや多くのサイトでAKB48グループの情報を入手しており、AKB48についてもよく知っている。英語の訳が字幕でついている動画もあるが、それがたとえ日本語であってもGoogle翻訳などを活用してチェックしているようだ(インドネシア語の字幕のついた動画はまだ少ない)。また、AKB48がジャカルタで行なうライブやコンサートがあった際には、多くの現地ファンが空港や会場に集まり、現地のメディアも「日本からのAKB48がやってきた」と大きく取り上げている。

さらにJKT48のライブではスマートフォンでの撮影を許可していることが多く、彼らは撮影した動画をYouTubeなどにアップし拡散しており、現地でのJKT48の認知度向上に貢献している。ジャカルタのような大都会では若者のほとんどがスマホを所有しており、常にFacebookやTwitter、Instagramなどで情報収集や発信を行なっている。特にインドネシアではTwitterとInstagramが大人気で、JKT48のメンバーもTwitterやInstagramで多くの情報を発信しており、現地ファンのフォロワーも多い。

 JKT48は、基本的に日本のAKB48グループの歌をインドネシア語に訳して歌っている。日本のファンにとっては聞き覚えのあるメロディだが、歌詞は全てインドネシア語。公演やライブの時にインドネシア人のファンも日本のファンと同じお馴染みの「ファイバー、サイバー……」のミックスを打ち、日本語で「超絶かわいい」などとメンバーに向かって叫んでいる。意味をどこまで理解しているかは不明だが、JKT48ファンのインドネシア人はAKB48グループの歌詞に出てくる日本語の単語を多く知っている。また、JKT48独特の言い回しも出てくるのが特徴的だ。例えば「恋するフォーチュンクッキー」という曲中で日本のAKB48は「おにぎり、おにぎり」と言って踊るシーンがあるのだが、JKT48では「かめはめ波、かめはめ波」と言ってファンが大きな声で叫んでいる。もちろん「かめはめ波」はインドネシアでも大人気のマンガ「ドラゴンボール」からきている。そしてJKT48のインドネシア人のファンも日本のファンと同じように握手会やリクアワ、総選挙に一喜一憂しているのが興味深い。

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