Brian the Sunが語る“遅れてきたルーキー”の戦い方「結果的に目的地が一緒、というのが理想形」

Brian the Sun、“遅れてきたルーキーの戦い方”

20160813-bts4.jpg

 

「感情や情念には賞味期限がある」(森)

――表題曲「Maybe」は、森さんの弾き語り用音源から膨らませていったということですが、各メンバーはどのようにしてこのバンドサウンドに仕立て上げていったのでしょう。

白山:メロディと歌が前面に出ているような楽曲はある程度良太が作っていて、ギターリフがグッと前に来る曲はスタジオセッションで仕上げていくことが多いんです。「HEROES」と「Maybe」は、今のところ2回連続で良太の完成形に近いデモから作っていったものですね。だからプレーヤーとしてはより「どう音を出すか」という真価が問われるんですけど(笑)。

田中:ドラムに関しては「メロディが立つ楽曲や」と思ったので、音の長さをかなり意識しました。

白山:ベースは休符が結構多いので、その部分をどう鳴らすかを意識しました。この曲はBrian the Sunの中でもとくに繊細なので、一つ一つの音のタッチやニュアンスを、できるだけ良太の表現したい雰囲気や情景に近づけるようにレコーディングしました。

小川:ギターに関しては、楽曲自体が結構短いので「ギターソロとCメロを入れるかどうか」というところで話し合いになったんです。でも、結局「50m走みたいに駆け抜けていこう」って意見で一致したので、構成は増やさずにシンプルな形になりました。

――先ほど話してもらったように、『Brian the Sun』以降は森さんの弾き語りデモも取り入れたことによって、バンドの曲が幅広くなったわけですが、メジャーでのシングルを2枚作り上げるなかで、さらに音楽を作る工程における変化はあったのでしょうか?

森:実は、6月のメジャーデビュー以降、そこまでデモを量産していないんです。やっぱりこういうタイミングってすごく考えることも多いし、客観的に見たときに「メジャーデビューをしたBrian the Sunが何をするか」ということにワクワクしたいし、何も考えず感性に任せて書くにしても、「どういうベクトルで何も考えずに書くのか」を考えたり過ごしたりするのかが大事やなと思っていて。

――いかに意識して無意識の状態に入れるか、ということですね。ほかのみなさんはどうですか?

小川:楽器隊としては、いかに良太の歌を聴かせるかが大事やと考えていて、アレンジや演奏を心がけてきたので、そこはメジャーデビュー以降も変えずにより大切にしたいと思う部分ですね。

田中:僕は送られてきたデモを聴いて、ドラム的な視点から見て「フィルインはこうしよう」とか「キメの前に合図を出すために、ひとつだけ何かフレーズを入れよう」といったように、バンドサウンドの土台としてできることが何かを考えるようになりました。個人的には、メジャーデビューが決まって以降、音楽と触れ合える時間が結構できたので、そのぶんしっかりと音楽ができるようになっていると思います。

森:僕から見て、メジャーデビュー以降にバンド内で一番変わったのは駿汰だと思っていて。彼、そんな器用じゃないんですけど、メジャーが決まってからは楽曲から何を汲み取れるかという部分を、必死に勉強しているのかなと感じます。その証拠に、今まで通じなかった話が通じるようになってきていて。例えば「歌に寄り添う」という言葉一つを取っても、リズムに寄り添うのかメロディに寄り添うのかがわからないと思うんですよ。最近は駿汰ともそういう話ができるようになってきて嬉しいですね。

白山:僕はそこまで変わってないと思うんですけど……でも、メジャー独特のタイム感には慣れてきましたね。いろんなことが数カ月前から動き出して、MVも5月に撮影したのに、新曲をリリースが近づいてから作ったばかりのようなテンションで届けなければいけないとか。もちろんそれは関わってくれる方が多くなればなるほど発生することなので、僕たちが慣れなきゃいけないと思うんです。

森:感情や情念って沸いた瞬間から劣化し始めるもので、賞味期限も絶対にあると思うんです。だから思いついてからすぐに作ってあげないと、自分の中で曲が死んじゃうんですよ。パッケージとしてリリースするものについて、スピード感をもってできればその心配はないんですけど、レコーディングまで時間があくと難しくなってくるし、どんどん自分の気持ちに忠実になっているつもりでも、どこかコピーみたいに薄れてくるので、そこには難しさを感じていますね。

――いま白山さんから話がありましたが、MVも先日公開されたんですよね。みなさんの、特に森さんがしっかり演技をしているところに驚きつつ(笑)、AIと人間の恋愛を描いたものに仕上がっていて。楽曲の世界観そのままではないですが、よりその枠組みを広げた映像作品のように感じました。

Brian the Sun「Maybe」MV(前編)

森:普段から感じてることなんですけど、絵や映画や映像だったり、こうしてインタビューを記事にする方もそうだと思うんですけど、やっぱりわかってくれる人はわかってくれるんやなと思うんですよね。読み取る能力が高い人って、ここまでこっちの言いたいことや伝えたいことの本質を作品にしてくれるのかと感動します。これは何のジャンルであっても同じで、その点においては壁なんてないんだなというのがわかりました。

小川:「Maybe」聴くだけでああいう風にはならへんもんね、普通。

田中:僕らとしては森に対して「羨ましい」という感情しかないですね。

白山:あんな綺麗な女優さんと近い距離で演技して……ねえ?(笑)

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる