→Pia-no-jaC←、映画音楽を通じて発見した新機軸 最新カバー作の“オリジナル性”に迫る
後半もアクの強い楽曲が続く。M-4「Oh Pretty Woman」はもはやスタンダードと呼べる1曲だが、HAYATO(Piano)のピアノが主旋律を生かしつつ、その裏でHIROがカホンをはじめとするパーカッション類で遊びまくっている。端正な色合いを残しつつも、どことなくサンバの香りも感じられるところが彼ららしいアレンジと言える。M-5「MISSION IMPOSSIBLE THEME」は→Pia-no-jaC←のライブに足を運んだことがある人ならおなじみの1曲。ライブ中に同曲のメインフレーズが披露されることは多々あるが、本作ではそこからさらにエクスパンドされ、それまでのリラックスした空気から一変し、緊張感のあるプレイを存分に楽しむことができる。この緩急も→Pia-no-jaC←の魅力と言える。
そして最後のM-6「I DON'T WANT TO MISS A THING」は、涙を誘う壮大なバラードから元気いっぱいのアップチューンに進化。人類の存亡をかけ旅立つどころか、笑顔で「いってきまーす!」と訴えかけるような落差に思わず腰砕けになってしまうのも、また→Pia-no-jaC←らしい。AEROSMITHが歌うにはどこか大袈裟なイメージの強かった同曲も、ここまで明るく力強いアレンジで生まれ変わったのなら、AEROSMITHも本望だろう……というのは考えすぎだろうか?
「原曲の中から象徴的なフレーズを軸にして、いかに→Pia-no-jaC←らしくアレンジ/リメイクしていくか」が『EAT A CLASSIC』シリーズの醍醐味だったが、今回の『Cinema Popcorn』では『EAT A CLASSIC』シリーズを踏襲しつつも、歌モノをいくつかピックアップしていることからさらに一歩踏み出した印象が強い。「歌メロを活かして、いかに→Pia-no-jaC←の楽曲として成立させるか」という命題は、彼らにとっても非常に高いハードルだったはずだ。しかし聴いてもらえばわかるように、彼らは今作でそのハードルを見事に飛び越えている。飛び越えたどころか、そこからさらにコースアウトして余興を繰り広げつつ、しっかりゴールにたどり着くという余裕すら感じさせるのだから……「感嘆」と「爆笑」という言葉がピッタリな“オリジナル”アルバムだと断言したい。
とはいえ、そんなに肩肘張らずに本作を楽しんでほしいという気持ちも強い。そう、映画館で話題作を楽しむときと同じように(それこそアルバムジャケットに描かれたHAYATOとHIROのイラストと同じように)、ポップコーンをつまみながら。なんならコーラも一緒に用意して、涼しい部屋でリラックスして聴くことをオススメする。
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■西廣智一(にしびろともかず) Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。
■リリース情報
『Cinema Popcorn』
発売日:2016年8月3日(水)
価格:¥2,100(税込)
<収録曲>
1.PROLOGUE: BOOK II AND THE ESCAPE FROM THE DURSLEY'
2.The River Kwai March ; Colonel Bogey
3.GHOST BUSTERS
4.Oh Pretty Woman
5.MISSION IMPOSSIBLE THEME
6.I DON’T WANT TO MISS A THING
■ライブ情報
『ONE NIGHT STRINGS〜AGAIN〜』
2016年9月19日(月・祝)東京・豊洲PIT
2016年10月8日(土)大阪・Zepp Namba
『→Pia-no-jaC←『Cinema Popcorn』リリース記念インストアライブ&サイン会ツアー』
2016年8月3日(水)東京・ヴィレッジヴァンガード渋谷宇田川店
2016年8月6日(土)香川・イオンモール綾川
2016年8月7日(日)大阪・ららぽーとEXPOCITY
2016年8月11日(木・祝)三重・イオンモール桑名
2016年8月13日(土)宮城・イオンモール名取
2016年8月14日(日)静岡・イオンタウン富士南
2016年8月16日(火)埼玉・イオンレイクタウン mori
2016年8月20日(土)広島・イオンモール広島祇園
2016年8月24日(水)東京・ヴィレッジヴァンガード下北沢店※サイン会のみ
2016年8月27日(土)福岡・イオンモール香椎浜
■関連リンク
→Pia-no-jaC←オフィシャルサイト