JUJUの歌声はなぜ時間と空間を超えるのか? 洋楽カバーベストアルバム『TIMELESS』が証明するもの

 4枚のシングルとオリジナルアルバム1枚という怒涛のリリースラッシュで2015年を駆け抜けたJUJU。そんな彼女が2016年最初の作品として送り出す『TIMELESS』(3月9日発売)は、自身初の洋楽カバーアルバムだ。Coldplayの大ヒット曲『Viva La Vida』を筆頭に、ノラ・ジョーンズの『DON'T KNOW WHY』、セブン&アイ・ホールディングス「Jean Paul GAULTIER FOR SEPT PREMIÈRES」のCMソングとなった『夢見るシャンソン人形』など時代もジャンルも飛び越えた全13曲が収められ、マスタリングにはグラミー賞受賞経験のある世界最高峰のエンジニア、テッド・ジェンセンを起用。彼が紡ぐ、どこまでも透き通った音は、彼女の歌声の真髄をあますところなく伝えてくれる。まさに“ボーカリスト・JUJU”を堪能できる1枚だ。

 そもそもJUJUとカバーの関係性はとても深い。2008年4月より12ヶ月連続で行われた彼女のカバーライブ「ジュジュ苑」は、一般からリクエストを受け付けたり、デュエットコーナーがあったりと参加型スタイルが話題を呼んだ人気イベント。現在でも定期的に開催されており、彼女とカバー曲の相性の良さが伺える代表的な例でもある。また、これを受け2010年には『Request』を、そして2014年には『RequestⅡ』と、80年代〜現在までのJ-POP楽曲をカバーしたアルバムを発売。中でも『Request』は女性アーティストのカバーアルバムとしては史上初のオリコン2週連続1位を記録するという快挙を成し遂げた。加えて、彼女のルーツでもあるジャズの名曲をカバーした『DELICIOUS』(2011)では、「JAZZ JAPAN AWARD 2013」の“アルバム・オブ・ザ・イヤー ヴォーカル部門”と、「第28回ゴールドディスク大賞」の“ジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー”の2冠を獲得している。これまでライブで披露したり、作品としてリリースしてきたカバー曲はゆうに300曲以上。JUJUにとってカバーは、もはやライフワークと言っても過言ではない。

 そしてタイトル“TIMELESS”にも注目したい。実はこのワード、2014年に活動10周年を記念して行われた「10th Anniversary Act #03 JUJU SUPER LIVE 2014 –ジュジュ苑 10th Anniversary Special-」と、翌年の「JUJU ARENA TOUR 2015 -ジュジュ苑 10th Anniversary Special-」でもテーマとして掲げていたもの。つまりは彼女がカバーを歌う上で大切にしている姿勢を表すキーワードでもあるのだ。アレンジも原曲の持ち味を活かしながら、彼女らしいジャジーでスタイリッシュな味付けがなされ、もはやそれ自体が “TIMELESS”な輝きを放っているかのよう。ただのカラオケではない、JUJUが歌うことの意味をきちんと感じさせてくれる。

 昨年末に発売した6thアルバム『WHAT YOU WANT』で、グルーヴィーなダンスサウンドやアップチューンにも挑戦し、ネクストステージへの一歩を確実に踏み出したJUJU。その姿に、過去を振り返らず、ひたすら前に突き進むイメージを見たファンも多かったのではないだろうか。しかし一方で、彼女の原点はジャズシンガーを志し、単身ニューヨークへと渡った夢見る少女。今作で歌われているベッド・ミドラーやビリー・ジョエルといった先人たちのカバーが、当時の彼女を支えていたのかもしれない。彼女がこのタイミングで『TIMELESS』をリリースした背景には、次々と新たな顔を見せながらも変わらない歌い手としての自分、普遍的でそれこそ“TIMELESS”なボーカリストとしての自分に、今一度立ち返ろうとしたことがあったのではないだろうか。跳躍の寸前に自らの足元を確かめる。1曲1曲に丁寧に向き合い、慈しむように歌う姿勢からは、そんな心持ちが垣間見えるのである。時が経っても色褪せない往年の名曲に対する敬意と、それらを歌い継いでいく覚悟。『TIMELESS』に込められたそんなJUJUの想いにじっくりと酔いしれてほしい。

(文=板橋不死子)

■リリース情報
『TIMELESS』
発売:2016年3月9日
価格:¥2,500(税込)
※初回仕様限定スペシャルパッケージ(三方背ケース)

■ライブ情報
「JUJU HALL TOUR 2016 -WHAT YOU WANT-」
4月10日(日) 埼玉 サンシティ越谷市民ホール
4月13日(水) 千葉 市川市文化会館
4月15日(金) 青森 リンクステーションホール青森(青森市文化会館)
4月17日(日) 秋田県民会館
4月22日(金) 静岡市民文化会館
4月24日(日) 岐阜 長良川国際会議場
4月26日(火) 大阪・フェスティバルホール
4月27日(水) 大阪・フェスティバルホール
5月1日(日)  富山オーバードホール
5月3日(火・祝) 石川 金沢歌劇座
5月4日(水・祝) 福井フェニックスプラザ
5月8日(日) 鹿児島市民文化ホール第一
5月10日(火) 熊本 市民会館崇城大学ホール(熊本市民会館)
5月12日(木) 福岡サンパレス
5月13日(金) 福岡サンパレス
5月18日(水) 東京 NHKホール
5月19日(木) 東京 NHKホール
5月22日(日) 群馬 ベイシア文化ホール(群馬県民会館)
5月25日(水) 兵庫 神戸国際会館こくさいホール
5月26日(木) 兵庫 神戸国際会館こくさいホール
5月28日(土) 愛知 名古屋国際会議場センチュリーホール
5月29日(日) 愛知 名古屋国際会議場センチュリーホール
6月3日(金) 香川 アルファあなぶきホール・大ホール(香川県県民ホール)
6月4日(土) 愛媛 松山市民会館
6月9日(木) 岡山 倉敷市民会館
6月11日(土) 広島文化学園HBGホール
6月16日(木) ロームシアター京都
6月18日(土) 大阪・オリックス劇場
6月19日(日) 大阪・オリックス劇場
6月23日(木) 北海道 札幌 ニトリ文化ホール
6月24日(金) 北海道 札幌 ニトリ文化ホール
6月26日(日) 新潟県民会館
6月30日(木) 東京国際フォーラム ホールA
7月1日(金) 東京国際フォーラム ホールA
7月3日(日) 福島 郡山市民文化センター 大ホール
7月6日(水) 神奈川県民ホール
7月9日(土) 宮城 仙台サンプラザホール
7月10日(日) 宮城 仙台サンプラザホール

http://www.jujunyc.net/

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