2016年第一弾シングル『恋心』インタビュー

MACO、ポジティブなラブソングを作った理由を語る「後ろ向きな感情が一切沸いてこなかった」

「後ろ向きな感情が一切沸いてこなかった」

――レコーディングの際に大変だったことはありますか?

MACO:「恋心」は、一度しっかりとしたレコーディングを終えたのですが、家に帰って聴いたときに納得できなくて、全部録り直したんです。いつも使っているスタジオは二つあって、うち一つは自分の中で「音楽の神が宿っているスタジオ」と思っているもので。別のスタジオで録っていてあまりうまくいかなかったものが、そのスタジオだと、すごく良いテイクが上がったりする。「恋心」もそうで、他の曲を録るついでにトライさせていただいたものがばっちりだったので、そのテイクを使用しています。ちなみに「Kiss」もそうだったんですよ。

――その分、歌の強度はしっかりとパッケージングされているわけですね。「夜明けがくるまで」はしっとりと歌い上げている楽曲ですが、こちらも録音では苦労しましたか。

MACO:ぐっさん(山口氏)から曲をいただいて、聴いた瞬間に歌詞が降りてきたんですが、レコーディングは大変でしたね。プリプロは歌詞を書き上げてすぐというタイミングもあってか、かなり良いテイクが録れたんですが、本番RECではそのニュアンスを出せなくて。結果的にプリプロ音源が一番良いということで、そのままCDにしました。

――この曲は、1番はアコースティックギターのみで、2番からトラックが入ってくるという変則的な楽曲で、ライブ映えしそうだなという印象です。

MACO:すごく自分がやりたかった曲でした。ブリッジを作る必要がないくらい、言いたいことを言えた曲だと思っていて。2番の歌詞は「恋愛って矛盾ばかりだなぁ」という気持ちを伝えるような感じで、ぐっさんもMACOもお気に入りだったので、最後にもう一度繰り返すようにしたんです。「出逢い」は自分の中から出てきた懐かしい感じのサウンドをベースに組み立てていきました。

――同世代なのでなんとなく伝わるのですが、MACOさんにとっての“懐かしいサウンド”は90年代のJ-POPですよね。

MACO:そうなんです。ZARDさんとか、古内東子さんとか……。

――MACOさんの口から古内さんの名前が出てくるのは意外でした。

MACO:古内さんといえば「誰より好きなのに」ですが、あの曲を聴いたときに自分と通ずるものを感じたんです。そこからいろんな曲を聴くようになって、懐かしい感じもするけどタイムレスで、恋愛の曲が多かったりして。ほかにも杏里さんや沢田知可子さんも大好きです。その辺りのニュアンスが自分の書いたメロディでは溢れ出てきますね。

――歌詞に関しては、懐かしさとは無縁な、いまここにいる等身大なMACOさんの視点から描かれています。「恋心」を春に合わせて書いたということですが、ほか2曲も前向きな視点になっているのが印象的でした。春は出会いと別れの季節ですが、MACOさんにとっての春はポジティブなイメージの方が強い?

MACO:春に対するイメージというより、今回の3曲を作った環境において、そういう後ろ向きな感情が一切沸いてこなかったですね。いまの私はラブソングしか書くつもりがないというか。自分から湧き出るものって、何をしていても恋愛に左右されているなと自覚していますし、それをリアルに表現できるのであれば自分でも納得がいくし、ファンのみんなも求めてくれているだろうなと思います。

――歌詞は書き溜めたりもしますか?

MACO:常に書き溜めています。早く曲を作りたくて制作したくてたまらないくらい、歌詞は日頃から書いていて、騒がしい場所にいてもパッと浮かんだらトイレに行って打ち込んだり。基本的には夜に一人で書くことが多いかも。

――なるほど。歌詞を読んで、「恋心」「夜明けがくるまで」「出逢い」の3曲は書いた時期がもしかしたら一緒なのかなと思ったのですが。

MACO:同じくらいの時期ですね。「恋心」と「出逢い」は恋愛の最初にくる“恋に惑わされる”感じで、「夜明けがくるまで」はそこから少し経って、夜中に一人で思いふける様子を描いたものです。

――とくに「恋心」と「出逢い」は同じ主人公のように読めました。髪の毛を触る癖が共通していたり。

MACO:そこはあえて入れましたね。自分自身がそういう癖を持っている人間だから、等身大を表現するなら3曲中2曲に入っていてもいいでしょと思ったので。他のアーティストさんでも、何度も出てくるフレーズはあるし、今後もどんどん使っていきます(笑)。

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