『紅白歌合戦』黒柳徹子・V6井ノ原・綾瀬はるか司会起用の意図とは? “節目の年”という視点で読み解く

 また、演歌やアニソンといったジャンルに訪れた変化や、特別企画枠で出演する小林幸子については、歌われる楽曲を予想しつつ次のように語る。

「演歌は代替わりの兆しが見え、北島三郎さんが紅白を卒業し、山内惠介や三山ひろしなど、新世代の演歌歌手が出てきました。アニソンでは、一昨年Linked Horizonを起用し、今年はμ’sが出演するなど、ネットやアニメ文化に目配りしているNHKのブッキング力がよくわかります。さらに、それらと演歌界をつなぐ存在としての、小林幸子による特別企画にも今年は注目です。最近の活動ぶりから考えておそらくボカロ曲の『千本桜』あたりを歌うのではないかと期待も込めて予想しますが、もし彼女が巨大な衣装で同曲を歌ったならば、かつてのイメージしかない元来のファンはどういう反応をするのか興味深いですね」

 最後に、同氏は『紅白歌合戦』の特徴を下記のようにまとめた。

「かつての紅白はヒットしている歌手を集めればよかったのですが、今はその年の一曲みたいなものがなかなか出てくる時代ではなくなったので、各ジャンルで高い人気のアーティストを満遍なく出してあらゆる世代に見てもらうことを目指すかたちになってきました。ただ、そこまでさまざまなタイプの音楽を網羅する番組が今少ないのも確かです。そうしたなか紅白は、この番組を見るだけで、日本の音楽シーンの現在の見取り図がある程度把握できるというような新しい役割を担うようになってきた気がします」

 番組自体にも工夫が見られ、節目の一回に向けて準備が進む『紅白歌合戦』。企画の詳細や歌唱楽曲は今後発表されるという。

(文=向原康太)

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