メロキュア特集Part.4:栗原裕一郎『メロキュア melodic hard tour [crescent picnic]』レポ

メロキュア、初ワンマンで鮮明になった音楽性とは? バンド・サウンドが生み出した魅力を考察

メロキュアはロックである

 

 しっとりとした「しあわせ」でクールダウンしたあと、「本日のスペシャルゲスト!」という日向の呼び掛けに応えて、「メロキュアはロックだよね!」「めぐちゃん、歌うめえ!」とテンションも高く西脇辰弥が登場。メロキュアの編曲を多く手掛けた音楽家だ。「どんな手を使ってもメロキュアを存続させる!」という言葉のあと演奏されたのは、もちろん、西脇アレンジによる彼女たちの代表曲「Agapē」。西脇はピアノを弾き、この曲の印象を大きく決定づけているハーモニカソロも披露した。ハーモニカという小さな楽器の持つ、説得力の大きさ。

 ラストを飾ったのは、やはり西脇編曲の「ALL IN ALL」。岡崎の楽曲だ。「あてもなく 果てしなく たとえ見えなくとも/愛してる 感じてる 呼びあう二人」という歌詞が、この夜を予言し象徴しているようだった。

 一旦幕となったが、むろんアンコールが待っている。バンドメンバー全員このライヴのグッズであるTシャツに着替えて登場。日向はその上に、勝負服だという赤いジャージを羽織り、青とピンクのチェックのスカートといういでたち。

 メンバー紹介は、好きなサンドイッチの具を聞くという趣向でなされたのだが、ミトにだけ「サンドイッチどころじゃないですね……なにか、思いの丈を!」と振る日向。「ファンです! 今日はもう、2曲に1回、泣いてます。皆さんと気持ちは一緒です。ここでライヴができて本当にうれしい。ありがとうございます!」と日向と熱い握手を交わすミト。

 続いて、ハイレゾ版『メロディック・スーパー・ハイ・レゾリューション・ハード・キュア』配信の決定のお知らせ(10/2からe-onkyoにて先行配信中。10/9より、mora、OTOTOY、 VICTOR STUDIO HD-Music.他でも配信される)。「ハイレゾ沼に皆さんを誘おうと(笑)」と日向。ツイッターを見ていると、彼女自身すっかり沼にはまっている様子で、道連れを増やしたいという企みも感じられたのは気のせいか(笑)。

 アンコールは、岡崎が堀江由衣に提供した「笑顔の連鎖」のカヴァー、「So far, so near」、そして「今日最後は、リーダーいうところの"景気のいい"曲で」と紹介された「めぐり逢い」の3曲。リリースイベントで演奏されたメドレーにも組み込まれていたが、「めぐり逢い」間奏部分の「ダバダ~ダバダ~」というコーラスは、CDでは何となく聞き過ごしてしまいがちなところなのだけれど、生で聴くと難易度の高さが半端ではない。まさに「めぐちゃん、歌うめえ!」と唸る聴き所となっていた。

 メンバー揃っての礼のあと、日向の「ハートマークと投げキッス」(「ふたりのせかい」)で、メロキュア初のワンマンライヴは大成功裏に幕を閉じた。

 ……はずだったのだが、アンコールの声が鳴り止まず、想定外のダブルアンコールへ。アンコール中にロビーに貼り出されていたセットリストにも記載されていない、正真正銘の「想定外」である。

 演奏されたのはふたたび「ホーム&アウェイ」。先日の当サイトでのミトとの対談で、日向は、最近になってようやくこの曲の重要さに気づいたと話していたけれど、ファンのレスポンスを目の当たりにすると、メロキュアでいちばん愛されているのは、あるいはこの曲ではないかとさえ思えてくる。個人的にも、日向の歌唱の美点がもっとも良く出た曲の一つだと思っている。

「メロディック・ハード・ツアー、一生続けていけたらと思います。メロキュアを引き続きよろしくお願いします!」というメッセージのあと、マイクを外し生声で「メロキュアの岡崎律子と日向めぐみでした! ありがとうございました!」と挨拶。そして再度「ハートマークと投げキッス」をフロアに飛ばして日向が舞台袖に姿を消し、「melodic hard tour [crescent picnic]」は終幕した。

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