田幸和歌子のジャニーズ斜め読み

ジャニーズはいかにして“スキル重視”になったか SMAPからジャニーズJr.まで背景事情を読む

 

「顔は良いけど、スキルがまだまだ」「スキルはあるけど、華がない」今はジャニーズのタレントについて、そんな言い方が、度々されるようになった。

 でも、「ジャニーズのスキル」って何? 大きく分けると、ダンス、歌、演技、トークなどがあるけれど、こうしたスキルが問われるようになった背景には、いくつかのポイントがあったように思う。

 もともと光GENJIの「ローラースケート」、少年隊の「ダンス」など、突出した特技を特徴にするグループはあり、個々のメンバーの特性ももちろんあったものの、個別のスキルが取り出して語られるようになった起点は、おそらくSMAPの「バラエティ班」「ドラマ班」という、主な活動場所によるくくりからだろう。さらに、本来、マルチタレントであったジャニーズの中で、個別のスキルが「ジャニーズ」の枠から飛び越える存在が出てきたことも、ひとつの理由だろう。

 たとえば、「歌」においては、繊細で豊かな表現力のKinKiKids・堂本剛やキラキラ輝きのある声のTOKIO・長瀬智也、ミュージカル仕込みの安定感あるV6・坂本昌行、甘く哀愁ある歌声の嵐・大野智、声量とパンチ力ある関ジャニ∞・渋谷すばるなど、歌唱力や強い個性を持つメインボーカリストが出てきたこと。「演技」では、蜷川幸雄や倉本聰、宮藤官九郎などの大物演出家や映画監督などに絶賛され、『硫黄島からの手紙』でハリウッドデビューも果たした二宮和也のほか、CDデビューせずに「俳優」の道を切り開いてきた風間俊介、生田斗真などの存在が大きいだろう。

 そして、トークにおいては、『NHK紅白歌合戦』の司会を、NHKアナウンサーを除いて最多の6回務めた中居正広を筆頭に、『あさイチ』の井ノ原快彦や、国分太一など、やはりジャニーズの枠を超えたバラエティ対応力・機転を持つ人材が育っていることが挙げられる。

 ただし、上記のようなお茶の間・テレビにハマるスキルの他に、もともとジャニーズ内で重宝される「スキル」というのもある。

 たとえば、バイオリンなど短期での習得が困難な楽器ができると、すぐに舞台に駆り出され、デビュー組よりも年中ハードスケジュールで仕事をすることになるし、三味線、詩吟など、特殊な特技があると、やはり舞台で活躍の場を与えられることになる。

 また、最近、「ジャニーズJr.モノマネ」で注目されているジャガーズのネタのように、ダンスもアクロバットも上手な「職人系」ジャニーズJr.たちは、バックダンサーとしての役割だけでなく、「主役」のワイヤー装着や、小道具の受け渡し、早着替えの手伝い、「替え玉」、床掃除まで、無駄のない動きと動線で完璧にこなす。彼らは「舞台班」などと呼ばれ、「舞台班=デビューしそうにない人たち」のように揶揄する声も一部にはあるが、もしかしたらジャニーズファンが語る「スキル」というのはむしろ、お茶の間が指すものと違い、こうした「縁の下の力持ち」を指すことのほうが多いかもしれない。

 なぜなら、ダンスが上手い、アクロバットができる、そうしたスキルがあることによって、早々にお客さんたちからお金をもらう「舞台」という第一線に駆り出されることが多いから。だからこそ、舞台経験の多い子は、中学生でも立派に歌える、踊れる「スキル」のある子が多いのだ。

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